賃貸借契約書とは?記載内容や注意点を解説!【テンプレート付】

最終更新日:2024年02月16日

賃貸借契約書とは?記載内容や注意点を解説!【テンプレート付】
マンションやアパートなど、賃貸物件を借りる際には賃貸借契約を締結しますが、契約書に普段なじみのない言葉が並んでいて「実際にはどのようなことを意味するのか理解できなかった」と思う方も少なくないでしょう。

この記事では、賃貸借契約書に記載されている内容について、ポイントを絞ってわかりやすく解説し、実際の契約の流れや確認しておくべき注意点も紹介します。
【目次】
  • 賃貸借契約書とは
  • 賃貸借契約書の記載条項
    • 賃貸借契約の目的物
    • 賃貸借期間
    • 賃料等
    • 借主・貸主(管理会社)について
    • 連帯保証人・家賃保証会社について
  • 賃貸借契約書のテンプレート一覧
  • 賃貸借契約の流れ
  • 賃貸借契約書で確認するべき注意点・ポイント
    • 賃貸する物件の名称や所在
    • 付帯設備や付属施設
    • 契約期間・賃料等
    • 貸主や管理会社・借主と入居者の連絡先
    • 契約の解約
    • 設備の交換や修繕の負担について
    • 原状回復費やクリーニング費用の負担
  • まとめ
無料で6,000以上の
テンプレートをDLするなら!

>会員の方はこちらからログイン

賃貸借契約書とは

賃貸借契約書とは、貸主・借主間で取り決めた賃貸借契約の内容を書面化したものです。賃料や契約期間、特約事項などが記載されており、それぞれの権利と義務を明確にすることで、両者間の紛争やトラブルを防ぐことを目的としています。

昔は賃貸借契約書が存在しないケースもありましたが、現在では賃貸借契約書をかわすことで、契約内容や条件を明確にするのが一般的です。

賃貸借契約書のモデルとして、住宅宅地審議会答申が作成した「賃貸住宅標準契約書」がありますが、使用が義務付けられているわけではなく、貸主や不動産会社によって記載されている内容が多少異なることがあります。

また2022年5月に施行された宅地建物取引業法の改正により、電子契約(オンライン契約)の場合は、押印は不要になり電子署名とすることが可能になりました。したがって物件によっては紙の賃貸借契約書ではなく、電子ファイルなどが利用されることもあります。

出典:不動産取引時の書面が電子書面で提供できるようになります。~宅地建物取引業法施行規則の一部改正等を行いました~|国土交通省

賃貸借契約書の記載条項

賃貸借契約書には契約内容や貸主・借主に関する項目、貸主・借主間で定めた事項を記載します。この章では、それぞれの項目について、どのような事項が記載されるのか紹介します。

賃貸借契約の目的物

賃貸借契約の目的物となる、賃貸物件を特定するための項目です。マンションやアパートの名称や所在地、建物の構造や種類、新築年月日、間取り、床面積、部屋番号などのほか、駐車場や自転車置き場などの付属施設があればその旨も記載します。

賃貸借期間

賃貸借契約の期間を記載します。ちなみに賃貸借契約には「普通借家契約」と「定期借家契約」の2種類があります。普通借家契約の場合は契約期間を2年とするケースが多く、借主が希望すれば基本的には更新可能です。

一方で、定期借家契約の場合は通常更新はできず、期間満了とともに退去する必要があります。

賃料等

賃貸物件の賃料や共益費(管理費)、敷金(事業用の場合は保証金)、保険料(火災・家財)などを記載する項目があります。また、駐車場や自転車置き場を借りる場合は、その使用料についてもあわせて記載します。

そのほかに賃料等の支払方法や振込先口座を明示する場合は、この項目に記載されることが多いでしょう。

借主・貸主(管理会社)について

借主・貸主双方の氏名や住所、緊急連絡先などを記載します。また借主に関しては入居者全員の氏名や年齢、契約者との続柄も明示することが多く、入居者名簿の役割も果たします。

管理会社が貸主に代わって管理している場合は、その名称や所在地、電話番号などが記載されます。基本的にはトラブル発生時や解約などの連絡先は管理会社になりますが、契約時にどこへ連絡したらよいのか確認しておくと安心です。

連帯保証人・家賃保証会社について

連帯保証人を立てた場合はその氏名や住所、保証する極度額を記載し、家賃保証会社を利用した場合は、その会社の名称や事務所の所在地、登録番号などを記載します。

出典:
借地借家法 | e-Gov法令検索
住宅賃貸借契約書(A) (原状回復の条件様式を「別表」として契約書の一部とする書式)|全宅連(公益社団法人全国宅地建物取引業協会連合会)

賃貸借契約書のテンプレート一覧

賃貸借契約書の種類は下記のとおりです。契約内容に合わせてテンプレートを活用してください。

●建物賃貸借契約書
 賃貸人・賃借人の間で締結する建物賃貸借契約書です。

●賃貸借更新契約書
 建物の賃貸借の契約更新をおこなう際、貸主・借主の間で取り交わす契約書です。

●店舗賃貸借契約書
 店舗の賃貸借をおこなう際、賃貸人・賃借人・連帯保証人の間で取り交わす契約書です。

●マンション賃貸借契約書
 マンション賃貸借の契約書です。

●機械・設備賃貸借契約書
 機械・設備の賃貸借に関する契約書です。

●土地賃貸借契約書
 居住用の建物を所有するための土地賃貸借に関する契約書です。

●建物一時賃貸借契約書
 建物一時賃貸借の契約書です。

●土地一時使用賃貸借契約書
 一時使用を目的とした土地賃貸借の契約書です。目的、期間、賃料、禁止事項、
 契約解除、明け渡しなどを定めています。

●社宅使用契約書
 社宅の使用に関する契約書です。

●動産賃貸借契約書
 車や商品等、動産賃貸借に関する契約書です。

●事業用定期借地権設定契約書
 事業用定期借地権を設定するための契約書です。

●定期借地権設定契約書
 定期借地権設定取引のための契約書です。

賃貸借契約の流れ

賃貸借契約書に署名・捺印し、部屋の引渡しが行われるまでの流れを簡単に紹介します。

  1. 重要事項説明書をもとに宅地建物取引士が説明
  2. 重要事項説明書に署名・捺印
  3. 賃貸借契約書の読み合わせをする
  4. 賃貸借契約書に署名・捺印
  5. 賃貸借契約が成立
  6. 鍵を受取り、部屋の引渡しを受ける

おおまかな流れとしては、まず借主は重要事項説明書にて契約内容や賃貸物件の説明を受け、問題がなければ賃貸借契約を締結します。

借主は重要事項説明を受けた証として重要事項説明書に署名・捺印しますが、この時点では賃貸借契約は成立していません。万が一齟齬があると感じる場合は、この時点で訂正や変更を相談できますし、賃貸借契約をしない選択も可能です。

その後、賃貸借契約書の内容を確認し、相違がないことを確認してから契約書に署名・捺印するようにしましょう。

賃貸借契約成立後にそのまま鍵を受領することがありますが、賃貸借契約期間が始まる前の家財道具の持ち込みや入居はできません。家財(火災)保険の対象にならず、火災などによって損害を被った場合でも保証されないため注意が必要です。

出典:重要事項説明書の作成にあたって(貸室、住宅の賃貸借)|一般社団法人 千葉県宅地建物取引業協会 東葛支部

賃貸借契約書で確認するべき注意点・ポイント

国土交通省が提供している「賃貸住宅標準契約書(改訂版)」に沿って、賃貸借契約書の内容を確認するうえで注意したいポイントを7つ紹介します。

賃貸する物件の名称や所在

通常、賃貸借契約書の冒頭に記載されている、賃貸借の目的物を確認します。借りる予定のマンションやアパートの名称や所在地、床面積、部屋番号などが間違っていないか確認します。

また、建物の構造や築年数も記載されています。たとえば「鉄筋コンクリート造だと思っていたら、実際には木造だった」ということがないように、物件を紹介されたときの図面や重要事項説明書に記載された内容と相違ないかチェックしましょう。

付帯設備や付属施設

次に住戸部分の設備の有無や、付属施設が記載されている項目があります。たとえばトイレやガスコンロなど室内の設備以外にも、共用部分にあるオートロックや宅配ボックスの有無のほか、付属施設の駐車場や自転車置き場の有無が記載されています。

駐車場や自転車置き場があったとしても、空きがなければ借りることはできません。空き区画の有無と併せて、使用料も確認します。

もし附属する設備として明記されていないのに、室内に備え付けられているものがある場合は、前入居者の「残置物」である可能性があります。貸主が備えたものでなければ基本的には修理等をしてもらうことはできません。不要と感じた場合は、撤去する方向で相談してみましょう。

契約期間・賃料等

契約期間と賃料や共益費、敷金(保証金)、付属施設の使用料などの金額を確認します。賃料などは支払期限や支払い方法が記載されています。口座振替でない場合は、支払い期日に遅れないように注意します。

契約期間は2年とするケースが多いですが、普通借家契約であれば基本的に更新可能です。また基本的には2年を経たずに解約することができますが、フリーレント付きの場合は、短期間で解約すると違約金が発生することがあります。特約条件を事前に確認しておきましょう。

貸主や管理会社・借主と入居者の連絡先

貸主や管理会社の住所や氏名、名称などが記載されています。更新や解約時の申出をする際やトラブルが発生したときなど、内容によって連絡すべき相手が異なることがあります。

賃貸借契約書は、契約後はしまい込んでしまうことが多いものです。事前にケースごとの連絡先を確認し、スマートフォンなどの電話帳に登録しておきましょう。いざというときに焦らずにすみます。

また借主(契約者)や入居者、緊急連絡先などが記載されています。電話番号が変わったときは、管理会社に変更した旨を連絡するようにしましょう。

契約の解約

賃貸借契約書によって記載の仕方が異なることがありますが、解約する場合の通告期限が記載されています。

借主が解約する場合は「退去の1か月前までに申し出る」とするケースが多いものの、2か月前までとしている契約もあります。

退去する場合、新居の家賃と合わせて二重で支払う期間が長くなってしまう可能性があるため、解約時の流れについて確認しておくことをおすすめします。

設備の交換や修繕の負担について

通常、賃貸借契約書には、設備などが故障した場合のルールが記載されています。経年劣化による故障は貸主の負担で修理することになりますが、借主が故意に壊した場合は、借主が費用負担して修理や交換をします。

電球の交換などは借主が交換することが多いですが、貸主や管理会社が交換する場合もあります。

万が一設備を壊してしまった場合、家財(火災)保険が使えることがあります。保険金を請求する際に写真が必要になることがあるため、勝手に修理や交換せず、まずは管理会社に相談しましょう。

原状回復費やクリーニング費用の負担

退去時に借主は原状回復費用を負担する必要があり、預けておいた敷金(保証金)からその費用を差し引かれ、残った金額が返還されます。

国土交通省が提供している「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」によれば、通常生活している中で汚れたり摩耗したりするものについては、貸主の負担とすべきとしています。

契約によっては、特約で原状回復費用を一定額と定めておき、退去時の状態にかかわらず敷金から差し引かれるケースもあります。

退去時の原状回復費やクリーニング費用について特約があれば確認し、国土交通省のガイドラインに沿った内容なのかチェックしておきましょう。

まとめ

賃貸借契約書に記載されている内容だけでなく、裏面などに記載されている細かい条項もきちんと目を通し、不明点はその場で確認するようにしてください。

借主に不利な内容は基本的には無効ですが、賃貸借契約書には特記事項(特約)が記載されていることがあり、賃貸物件ごとに内容が異なります。

トラブルを避けるためにも今回紹介した注意点を参考にし、賃貸借契約に記載されている内容を把握したうえで、契約に臨むようにしましょう。

執筆者情報

桜木 理恵(宅地建物取引士)
大学在学中に宅地建物取引士に合格。新卒で大手不動産会社に入社し、売買仲介営業担当として約8年勤務。結婚・出産を機に大手ハウスメーカーのリフォームアドバイザーに転身し約5年勤務。その他信託銀行にて不動産事務として勤務経験あり。現在は不動産の知識と経験を活かし、フリーランスのWebライターとして活動。不動産や建築にまつわる記事を多数執筆。
プロフィールを見る >

賃貸借契約書 のテンプレート一覧へ

貸借契約書は、建物や機械などを借り受ける際、借主が貸主へ賃料の支払いが発生する場合に、賃料や期間、賠償責任などのルールを書面として取り交わすものです。金銭のやり取りが絡みますので、しっかり内容を確認したうえで取り交わすとトラブルを防げるでしょう。Word(ワード)形式のテンプレートは無料でダウンロードしていただけます。

[PR]
[PR]
このコラムをシェアする