契約書 のテンプレート一覧へ
雇用、売買、業務委託、金銭の貸し借りなど、ビジネス上で発生する様々な取引において、条件や約束事を文書化した「契約書」。契約内容別にサンプル文面を入りの契約テンプレートをご用意しました。実際の取引内容に合わせて書き換えてご利用ください。Wordで編集できます。
※テンプレートのご利用について、当社では責任を負いかねます。ユーザー様ご自身の責任においてご利用いただきますようお願い致します。
公開日:2018年02月15日 更新日:2023年01月31日
契約書とは何か、まずは概要を把握しておきましょう。契約書は書面だけに限らず、電子契約書でも証拠として用いることができます。
「契約書」とは、2名以上の個人・法人が当事者となり、何らかの「契約」を行った際に、契約内容を文書化し、その文書は自分たちの意思で行ったことを当事者間または第三者に示すものです。契約書により、契約当事者間で合意が行われたことを証左します。
よく言われるように、契約自体は契約書がなくても、例えば口頭だけでも成立します。しかし、簡単な内容の契約や期間の短い契約では口頭だけでも問題ないでしょうが、長期間にわたる契約や複雑な内容の場合は、きちんと文書化することが必要です。
「誰と誰が」「どんな内容を」「いつ」合意し、その結果、「いつから、いつまで」「誰にどのような権利・義務が発生しているのか」が、その文書に書かれている必要があります。
契約書は、当事者が作成することとなっています。しかし、自社サービスや商品について契約を結ぶ際に、相手に契約書の作成を一任すると、自社に不利な内容の契約書を作成される恐れがあるため、自社が先んじて契約書のたたきを作成すべきです。
契約書の形式は書面のみでなく、電子署名を用いた電子契約も有効です。2000年に電子署名法という法律が制定されましたが、電子署名の定義が難解であり、企業も電子契約の導入に踏み切れませんでした。
しかし、2020年7月および同年9月に、総務省・法務省・経済産業省の連名で、クラウド型の電子契約サービスに関する法的解釈を示す「利用者の指示に基づきサービス提供事業者自身の署名鍵により暗号化等を行う電子契約サービスに関するQ&A(電子契約サービスに関するQ&A)」が公開されたことにより、政府から電子署名についての見解が明確化され、企業側も電子契約への移行を進めています。
一部の契約を除き、法律で定められた「文書の成立の真正」が認められれば、電子契約による契約も有効に成立したと認められます。
「文章の成立の真正」については、民事訴訟法で、
書面契約書、電子契約書の違いは、表示すると下記のようになります。
内容 | 書面契約書 | 電子契約書 |
---|---|---|
作成形式 | 書面(紙) | PDF等のデータ |
押印 | 印鑑 | 不要 |
改ざん防止方法 | 契約印・割印 | タイムスタンプ付与 |
交付方法 | 書面郵送/手渡し | メールなどでの送信 |
保管 | ファイル・キャビネット等 | クラウド・サーバー等 |
印紙 | 契約内容・金額により必要 | 不要 |
締結スピード | 時間がかかる | 早い |
まず、契約内容を簡単な文章で表現することがスタートです。よく見かける契約書特有の言い回し、つまり法律用語などは無視して、自由に書いてみてください。
その後で、書いた内容を、「いつから、いつまで」「誰にどのような権利・義務が発生しているのか」という観点で箇条書きしてみてください。
1.タイトル
冒頭に「〇〇契約書」といった契約書名が記載されます。
実際には「契約書」の文字が入っていなくても特に問題はありませんが、一般的には契約内容を表すタイトルを付けます。「売買契約書」「業務委託契約書」「賃貸借契約書」「雇用契約書」「代理店契約書」「譲渡契約書」など、わかりやすい名称で何を目的とした契約なのか判断できるようにします。
なお、「契約書」という硬い言葉を使わずに敢えて「覚書」などの言葉を使うこともありますが、契約内容を文書化したものであるならば、「覚書」というタイトルでも問題ありません。
契約書の文章は日本語としての読みやすさは二の次で、誰が読んでも同じ意味として解釈できるように書くことが重要です。契約書の文章を書く際は、以下のことを心がけてください。
文脈から判断可能な言葉を省略して記載することはしないようにしましょう。特に日本語では主語を省略することが多いですが、省略せずに必ず主語は書いてください。また、「あの」「その」「あれ」「それ」などの代名詞を使うことは避けて、指し示す言葉を何回でもきちんと書いてください。なお、頻出する言葉は、「XXXXXX(以下、「○○」という)」、という記載をして、後の方では短い略称を使う手法がよく取られています。
契約書の目的が、契約内容を第三者にもわかりやすく記載する、ということですので、当事者間しか理解できないようなその会社独自の用語に関しては、その言葉の定義を一般的な言葉で記載しておくことが重要です。また、文章中で、特定の名や語句を使用する場合は「」で括ります。
読み方によって解釈が分かれる表現は避けるべきでしょう。例えば、「議長は立ち上がって意見を述べようとする議員を制止した。」という文章も、「議長は、立ち上がって意見を述べようとする議員を、制止した。」「議長は立ち上がって、意見を述べようとする議員を、制止した。」の2通りに解釈可能です。前者の場合は「立ち上がった」のは「議員」ですが、後者は「議長」です。このようなことを避けるために、契約書の文章では、読点が多用されます。主語の明示のためや、語の列挙、従文節と主文節の明示、副詞・接続詞の明示など、いろいろな目的で使用されるため、普通の文章に比べて読点が多くなりがちです。
例えば、商品代金の支払い日に関して、「商品納入後、すぐに支払う」という記述はよくありません。「すぐに」という言葉の意味が一般的に決まっていないからです。「10日以内」「1ヶ月後」というような具体的な時間を記載しなければなりません。
たぶん、これが専門家以外の方にとって、一番難しいことでしょう。前の例で「商品納入後、すぐに支払う」という例を出しました。「すぐに」はまずい、と書きましたが、これがたとえば、「直ちに支払う」「遅滞なく支払う」「速やかに支払う」ならば、いかがでしょう。法律用語では、この3つ、意味が微妙に異なります。
即時性の強さから見ると「直ちに」>「速やかに」>「遅滞なく」となります。このような細かな言葉遣いを使い分けて契約書を作成するために、法律用語に長けた専門家に契約書の作成を依頼される方が多いのです。重要な契約やトラブルが起きそうな案件の契約に関する契約書は、やはり、専門家に作成を依頼するのが無難でしょう。
どうでしょう、こんなふうに書かれた日本語が契約書の文章です。普通の文章に比べて「くどい」文章で読みにくくなるのは仕方がないですね。しかし、読みにくい文章ながら、がんばって読めば、誰でも同じ意味として理解できるのです。
契約書作成後に、当事者間で内容について話し合いましょう。契約はあくまで当事者間の合意を取りまとめる書類です。
一方の主張のみで契約が締結されるべきではありません。契約書のたたきとリーガルチェックが済んだ時点で、先方に内容をチェックしてもらいましょう。
契約相手の目線で契約書を確認すると、納得できない事項がある可能性もあります。
必ず契約書は双方で確認し、締結前に合意形成しましょう。
電子契約と書面の契約書は、基本構成は同じですが、ポイントで記載方法が異なります。ここからは、電子契約書の書き方の注意点について、詳細に解説します。
電子契約書の基本構成は契約書と同様です。契約書の条項や記載事項は変わりません。
テンプレートを使用して契約書を結ぶ際は、次の項目から解説する注意点を改訂するようにしましょう。
契約書の末文には、契約書の発行枚数・保管方法を記載します。
しかし、電子契約書の場合はPDFファイルを用いるため、書面とは書き方が違う点に注意してください。
電子契約の場合は「電磁的記録を作成したこと」「当事者が合意後、電子署名システムを用いて、署名を施したこと」「各自電磁的記録を保管すること」を記載します。
厳密にいうと、電子契約書に捺印は不要です。電子署名や電子サインそれ自体には、法的効力がありません。
電子署名や捺印をする理由は、契約の合意の視認性が高まるためです。契約書に捺印がないと、本当に締結されたか分かりづらいです。そのため、電子署名や電子サインを用いて、契約合意されたことを視覚的にわかりやすくします。
電子契約書の署名と捺印は、電子署名や電子サインを用います。電子署名とは、暗号化技術を用いたシステムで、印鑑の代わりに契約日時・契約者情報を書面に組み込みます。
PDFファイルも改ざんは可能ですが、電子署名を利用することで、万が一書類が改ざんされた際の検知が可能です。
書面での契約書と視覚的に同一にし、また改ざん防止のためにも、電子署名や電子サインを取り入れることは一般的となっています。
電子契約書には印紙を貼る必要がありません。書面での契約書の場合は、「印紙税法第2条および第3条」に定められています。
なぜ電子契約書に印紙が不要なのか気になりますね。
この根拠は「印紙税法基本通達」上の条文、および国税庁の見解によって、示されています。
電子契約書を作成・保管するためには、電子帳簿保存法に対応したシステム導入が必須となります。
具体的なシステム要件は以下のようなものです。
1.契約書を『取引年月日』『取引金額』『取引先』で検索できること
2.上記条件の2つ以上を組み合わせた検索が可能なこと
3.上記3つの情報をファイル名に設定すること
電子契約書を検索し、速やかにデータを確認できるよう体制を整える必要があります。
電子帳簿保存法によると、電子データ保管の際は全てのログが残り、検索してすぐにデータを抽出可能なことが求められます。また必要な際に、出力が可能など、システムの要件が定められているため、システムの導入なども検討しましょう。
すべての契約が電子化できるわけではなく、一部の契約においては書面交付が必須です。各法律で書面化が義務つけられている場合は、電子契約では効力を発揮しません。
具体的に電子化できない契約の一例を紹介します。
・事業用定期借地権設定のための契約書(借地借家法23条)
・農地の賃貸借契約書(農地法21条)
・任意後見契約書(任意後見契約に関する法律3条)
・特定商取引(訪問販売等)の契約等書面も、2022年11月時点では電子化ができない契約書です。しかし、2023年6月に法改正が予定されており、法改正が施行された後は電子化できます。
また、契約締結に「公正証書」が必要な場合も、電子契約は不可能です。公正証書の電子化が認められていないため、契約も電子化できません。
このように、すべての契約書を電子化できるわけではないため、締結内容に応じて契約書の形式を変える必要があります。
契約書のポイントを理解したところで、次は簡単に契約書を作成する方法を説明します。
契約書を簡単に作成するなら、テンプレートの利用がおすすめです。なぜ契約書テンプレートが便利か、その詳細やメリットを解説します。
契約書の記載事項は一切の抜け漏れが許されません
契約内容:「来月から株式会社Aは業務○○を株式会社Bに月額XXX円で代行してもらう」
この内容を表現するために、ということで話を進めてきましたが、実は明示されていていない事項が多くあります。
たとえば、株式会社Aは業務○○を3日間で行っていたとします。当然、代行後、株式会社Bは同じ3日間で行うということが期待されているでしょう。このように、業務の納期としての時間や業務を行う場所など、ここには明示されていない内容がたくさんあります。
一般的に契約書では、関連するすべてについて記載しておく、つまり、漏れなく網羅することが重要です。その際に「いつ」「どこで」「だれが」「なにを」「何のために」「どうする」という観点で、詳細に記載していくと抜けが少なくなるでしょう。
さらに、この契約書の有効期限、契約破棄の条件、契約条項に違反した場合の罰則、契約に書かれてない事項でのトラブル解決の方法も記載しておくことをお勧めします。
このような関連事項も含めて「網羅」した条文を一から作成するのは大変です。そのために、契約書のテンプレートがよく使われます。例えば、「売買」を目的とした契約の場合、必要な事項を網羅したテンプレートが「売買契約書」です。当サイトに掲載している契約書テンプレートをうまく活用いただければ幸いです。
当サイトの契約書テンプレートは、汎用性を高めるためにWord形式で配布しています。編集後にPDFファイルへ変換し、適切に保管しましょう。
最後に、契約した内容が法律と矛盾していた場合の問題についてお話しします。法律には、その強制力の観点から以下のように区分されます。
民法の契約に関する規定の多くは任意規定で、これと矛盾した内容を契約書で合意した場合は契約書の合意が優先されます。そもそも、契約書でその事項について触れていない場合は、この任意規定に従うことになります。
例えば、家賃は月末に払うよう法律で定められているのはご存知でしょうか?民法第614条には次のように記載されています。
「賃料は、動産、建物及び宅地については毎月末に、その他の土地については毎年末に、支払わなければならない。ただし、収穫の季節があるものについては、その季節の後に遅滞なく支払わなければならない。」
これが任意規定です。貸主と借主間の契約書で、「家賃は月初めに支払う」、と契約されているならば、そちらが優先されるわけです。契約書に支払い日について記載がなければ、任意規定に従って月末払いとなります。
これに矛盾した契約書の内容は無効になり、法律が優先されます。例えば、消費者契約法第10条には次の記載があります。
「民法、商法その他の法律の公の秩序に関しない規定の適用による場合に比し、消費者の権利を制限し、又は消費者の義務を加重する消費者契約の条項であって、民法第1条第2項に規定する基本原則に反して消費者の利益を一方的に害するものは、無効とする」
民法第1条第2項とは「権利の行使及び義務の履行は、信義に従い誠実に行わなければならない」ということですので、信義に従わず誠実に行われなかった消費者の利益を一方的に害する契約は無効、ということです。政府広報オンラインに掲載されている「これだけは知っておきたい消費者契約のABC」には、契約書に書かれていても無効な条項となる例が記載されています。
以上の確認のため、やはり重要な契約書は専門家のチェックを受けたほうがいいでしょう。
実際の契約書でおこりがちなことですが、当事者間で意見が対立し、折り合いがつかず、契約書では、わざと曖昧な表現にして現時点では何も決めないケースです。「…については甲乙協議により定める」などと書いておくわけです。
現時点で合意に至らなくとも特に不都合がない場合は、これでも問題ないのですが、実際発生するとトラブルになる可能性が高いので、この表現を使う場合は慎重に判断したほうがいいでしょう。
契約の内容によっては印紙を貼る必要がある場合があります。
どういった契約書が課税対象になるかについては、印紙税法によって定められています。たとえば、不動産の譲渡や賃借、金銭の賃借に関する契約書や、報酬を伴う請負(委託)契約書などが課税文書に該当します。
また、契約金額によって印紙の金額も変わりますので、国税庁のホームページなどで確認して貼り忘れのないようにしましょう。
重要な契約書などの場合、複数枚になる場合は、改ざんや抜き取りを防ぐために「契印」を押すことがあります。契印は、製本テープで綴じてある場合、一部がテープにかかるように押したり、あるいはページとページの間に押したりします。これを怠ると偽造しやすくなってしまいます。なお、契印は当事者全員が押すようにしましょう
契約書作成の効率を上げ、ミスを防止するためにテンプレートの使用は非常におすすめです。しかし、雛形をそのまま流用してはいけません。契約書テンプレートは、あくまで汎用性を重視して作られています。そのため、商品やサービス名などが白抜きされていたり、自社契約に適合しない条項があったりする可能性もあるでしょう。雛形を利用して概要を作り、詳細は目視で確認するようにしてください。
契約書は、法律と同様の文書体系で書かれた、ある意味特殊な文書です。そのため、作成にあたっては専門家に丸投げするしかなかったのですが、今では、テンプレートを利用することによって、専門家でなくてもある程度の内容のものが作成できる時代になりました。
しかし、一方ではテンプレートに記載された内容を理解することなく安易に使いトラブルを招く、ということも発生しています。一般的な契約書テンプレートではカバーできない独自の契約内容の場合は専門家に作成をお願いする、一般的な契約書テンプレートでカバーできる内容ではあるが、重要な契約やリスクが高い契約の場合は、テンプレートを利用して作成したものを専門家にチェックだけお願いする、というようにうまく使い分けることが大切です。専門家にお願いするのには費用も時間もかかりますので、テンプレートを利用することによって、うまく費用をコントロールしましょう。
監修:日暮里中央法律会計事務所 弁護士 下地 謙史 (第一東京弁護士会)
慶応義塾大学法学部より、慶應義塾大学法科大学院へ飛び級入学。司法試験に合格後、都内の法律事務所勤務を経て日暮里中央法律会計事務所を開業。
雇用、売買、業務委託、金銭の貸し借りなど、ビジネス上で発生する様々な取引において、条件や約束事を文書化した「契約書」。契約内容別にサンプル文面を入りの契約テンプレートをご用意しました。実際の取引内容に合わせて書き換えてご利用ください。Wordで編集できます。
※テンプレートのご利用について、当社では責任を負いかねます。ユーザー様ご自身の責任においてご利用いただきますようお願い致します。