社員のモチベーションを上げる方法|低い場合の原因や向上の成功事例を解説
最終更新日:2025年05月27日

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- 社員のモチベーションを上げる方法
- 外発的動機付け
- 内発的動機付け
- 社員のモチベーションを上げる具体的な施策
- 適切・明確な評価制度を取り入れる
- 社内のコミュニケーションを促進する
- 社員が挑戦できる環境を作る
- 社員のモチベーション向上に成功した企業の事例
- 社員のモチベーションが低い場合に考えられる主な原因
- 仕事内容に対する不満
- 待遇や労働環境への不満
- 人間関係に対する不満
- 社員のモチベーションをアップさせるメリット
- 生産性向上
- サービス品質の向上
- 離職率の低下
- チームワークの向上
- 組織の成長
- まとめ
社員のモチベーションを上げる方法
社員のモチベーションを上げるにあたっては、まずモチベーションが生まれる仕組みを知っておくことが効果的です。モチベーションが生まれる仕組みには、大きく「外発的動機付け」と「内発的動機付け」の2つがあります。
外発的動機付け
外発的動機付けとは、報酬や評価、承認、罰則といった外部からの刺激によって行動の動機が生まれる状態を指します。この動機付けを活用するためには、インセンティブや昇給、ボーナスといった仕組みを整えることが有効です。
外発的動機付けには即効性があり、報酬や評価といったポジティブな要素がある場合、社員のモチベーションを短期間で大きく高める効果があります。そのため、短期的に成果を求めたい場合には効果的です。
しかし、外発的動機付けには課題もあります。一度モチベーションが上がっても、その効果は一時的であり、持続しにくいのが特徴です。また、同じ水準のインセンティブや報酬が続くと、次第にそれに慣れてしまい、モチベーションが当初のようには上がらなくなります。たとえば、賞与や報酬の額が一定だと、社員は次第に満足感を失い、「もっと高い報酬が欲しい」という心理が働くようになります。そのため、外発的動機付けだけに頼るのは限界があるといえます。
一方で、低評価や指導、減給、罰則、降格といったネガティブな外発的動機付けも動機付けとして機能することがあります。これらは「回避したい」という心理を利用したもので、一定の行動を促す効果があるものの、社員が消極的になったり、上司への不信感を抱いたりするリスクがあるため、慎重に運用する必要があります。
内発的動機付け
内発的動機付けとは、本人の内なる意欲や興味が行動の原動力となる状態を指します。この動機付けは、仕事への興味や関心、やりがい、達成感といった要素によって促されます。
内発的動機付けが高まっている状態では、外部からの報酬や評価に影響されにくく、たとえ外発的な要因がなくともモチベーションを維持できます。また、内発的動機付けによるモチベーションは、本人の意欲が強ければ強いほど持続性が高く、業務に対する集中力も向上します。
一方で、内発的動機付けは外部から直接コントロールすることが難しいのが特徴です。本人が自発的に意欲を持たなければ発揮されないため、企業や上司ができるのは、その意欲を引き出しやすい環境を整えることです。たとえば、社員が興味を持てる仕事を割り振ったり、自分の成果を実感できるような仕組みを設けたりすることが有効です。
ただし、内発的動機付けには個々の価値観や物事の捉え方が大きく関わるため、全社員に一律の方法で働きかけることは難しい点に留意する必要があります。一人ひとりの特性を理解し、柔軟に対応することが、内発的動機付けを高める鍵となります。
社員のモチベーションを上げる具体的な施策
社員のモチベーションを向上させるためには、以下の施策が効果的です。
適切・明確な評価制度を取り入れる
評価制度を設計する上での鍵は、社員の努力や成果を正当に評価し、それを報酬やキャリアアップに結びつける仕組みを構築することです。結果だけでなく、プロセスや努力を評価対象に含めることで、社員は自身の取り組みが認められていると感じ、モチベーションが向上します。
また、評価において不満が生じた場合でも、その理由を明確に伝えることで、社員は課題を把握し、次の目標に向けて前向きに努力できるようになります。さらに、上司の主観的な判断による不公平感を防ぐため、評価基準やプロセスを透明化することが重要です。
評価制度をより効果的にするには、社員の意見を取り入れることも欠かせません。社員自身が「評価されたい」と感じる基準やポイントを反映することで、納得感と公平性を備えた制度を構築することが可能です。
社内のコミュニケーションを促進する
人間関係が希薄で刺激の少ない職場では、社員のモチベーションが低下しやすくなります。特に、同じメンバーと固定的に仕事をしている場合、関係性がマンネリ化し、新しい刺激や学びが得られにくくなることがあります。これを防ぐためには、社内で積極的にコミュニケーションを促す取り組みをおこなうことが重要です。
たとえば、部署内では勉強会やレクリエーションの実施、ビジネスチャットツールの導入など、新たな形のコミュニケーションを通じて人間関係を改善することが可能です。また、部署を超えた交流の場を提供する仕組みを取り入れることで、社員がさまざまな人材と触れ合い、新しい刺激を得られる環境を整えることができます。
具体的な施策としては、フリーアドレス制による席の自由化や、社内イベントの実施、メンター制度の導入、カフェスペースの設置、そして社内SNSの活用などが効果的です。これらの取り組みは、人間関係の活性化や社員間の交流を促進し、職場全体の雰囲気を明るくする助けとなります。
ただし、コミュニケーションに対する好みや適応度は個人差があるため、頻度や深さを一律に強制するのは避けるべきです。それぞれの社員が心地よいと感じる範囲で関係性を築けるよう、配慮しながら進めることが大切です。
社員が挑戦できる環境を作る
社員が上司の指示に従うだけの環境では、自発的に考え行動する機会が限られ、やがてモチベーションの低下を招いてしまいます。しかし、挑戦しやすい環境を整えることで、仕事のマンネリ化を防ぎ、社員の意欲を引き出すことが可能になります。
挑戦意欲を高めるためには、制度や目標設定を工夫することが重要です。たとえば、社内ベンチャー制度やアイデア公募制度を導入すれば、社員が自由な発想で新たなプロジェクトに取り組む機会を提供できます。さらに、資格取得支援制度のようなスキルアップを促進する取り組みも、挑戦を後押しする手段として効果的です。
目標設定の際には、「スモールゴール」をいくつか設ける方法が有効です。高すぎる目標ではなく、少し努力すれば達成可能な小さな目標を段階的に設定することで、社員は成功体験を重ねながら自信を育むことができます。このような成功体験は達成感を生み出し、次の挑戦への意欲を維持するサイクルを作り出します。
社員のモチベーション向上に成功した企業の事例
社員のモチベーション向上に取り組む際、理論は理解していても、実際にどのような施策をおこなえばよいのか迷うこともあるでしょう。そこで、以下に社員のモチベーション向上を目的として制度や環境を整え、成果を上げた企業の具体例を3つご紹介します。
1. チャレンジできる環境作り@i.element_text1>
A社では、社員が自らのキャリアに挑戦できる環境を整えるために、いくつかの制度を設けています。その一つが「社内公募制度」です。この制度では、社員が異動したい部署に応募し、書類審査と面接を通過すれば希望の部署へ異動することが可能です。
さらに、年に1回実施される「キャリア自己申告制度」もあります。この制度では、社員が異動を希望する部署を申告し、人材不足が発生した際にその希望を考慮して異動がおこなわれます。
これらの仕組みにより、A社は社員がキャリアアップに挑戦しやすい環境を提供し、モチベーションの向上を図っています。挑戦の機会を与えることで、社員の成長を促し、会社全体の活性化にもつなげています。
2. 評価制度の見直し@i.element_text1>
B社では、社員のモチベーションを高めるため、評価制度に革新的な取り組みを導入しています。その一つが、社員同士のフィードバック内容を社内で公開する制度です。他の社員が受けたフィードバックを見ることで、自分の成長や目標設定の参考になり、自然とやる気が引き出されます。
この制度の特徴は、上司から部下だけでなく、部下から上司にもフィードバックができる点です。社員が立場を超えて相互に評価をおこなえる仕組みを整えることで、社内の風通しをよくし、信頼関係の構築につなげています。
さらに、月給の報酬額を決定するために全社員による投票をおこなう制度も取り入れています。この投票結果に基づき、ランキングに応じた報酬アップが実施される仕組みです。透明性のある評価制度が、社員のやる気と公正感を高め、企業全体の活性化に寄与しています。
3. 働き方の選択肢の提示@i.element_text1>
C社では、社員一人ひとりのライフスタイルに応じた働き方を選べる環境を整えています。その代表的な取り組みが、子育て中の社員向けに導入された時短勤務制度です。この制度では、社員が夕方に子育ての時間を確保できるよう配慮されています。
また、時短勤務する社員が退勤した後の業務を補完するため、企業の勤務時間が終わるまで代わりにアルバイトを雇用する仕組みが特徴です。アルバイトには事前に必要な研修をおこない、業務をスムーズに引き継げる体制を整えています。この取り組みには人材育成や確保のためのコストがかかるものの、社員が働き方を柔軟に選べる環境が整備されたことで、社員の離職率低下という大きなメリットを得ています。
社員のモチベーションが低い場合に考えられる主な原因
社員のモチベーションが低い場合、その原因として大きく分けて以下の3つが考えられます。それぞれの原因に適切に対応し、配慮や環境整備をおこなうことで、社員のモチベーション向上を図ることが重要です。
仕事内容に対する不満
社員が自分の役割や目標を正しく理解していない場合、仕事内容にやりがいを感じられなくなり、不満が生じることがあります。「自分には向いていない仕事をしている」と思い始めると、次第にモチベーションが低下し、業務への意欲を失ってしまうことがあります。
さらに、自分が何のためにその業務をおこなっているのか分からない状態が続くと、会社への愛着や忠誠心が薄れ、組織に貢献したいという意欲も減少していきます。このような状態が続くと、社員のパフォーマンスやエンゲージメントが低下するリスクがあります。
この問題を解決するには、社員一人ひとりの役割や業務の目的を明確にし、その業務が会社全体の目標や成果にどのように貢献しているのかを示すことが重要です。
待遇や労働環境への不満
人事評価や年功序列制度、福利厚生といった待遇面、さらには「残業が多い」「休日が少ない」といった労働環境は、社員が不満を抱きやすい要素です。これらの問題が改善されないと、社員は「自分が認められていない」「会社に大切にされていない」と感じるようになり、モチベーションが大きく低下してしまいます。
たとえば、公平感の欠けた評価制度や充実していない福利厚生制度は、社員にとって働く意欲を損なう原因となります。また、長時間労働や適切に管理されていない勤務体制は、心身の負担を増やし、さらに不満を助長します。
このような状況を改善するには、社員の努力や成果が正当に評価される仕組みを導入することが重要です。また、福利厚生の充実や、ワークライフバランスを重視した働き方改革を推進することで、社員が安心して働ける環境を整えましょう。
人間関係に対する不満
上司や同僚とのコミュニケーションが不足していると、仕事に関する相談や悩みを打ち明けづらくなり、不満が蓄積されてしまいます。このような状況は、職場内の人間関係の悪化を招き、社員のモチベーション低下にもつながります。上司と部下が定期的に1対1で面談する「1on1ミーティング」を導入することで、直接的なコミュニケーションを図り、日々の悩みや課題を解消するきっかけを作ることができます。また、不公平感をなくすために社員一人ひとりの仕事量を適切に調整したり、相性を考慮して席を配置したりすることも効果的です。さらに、相談窓口を設置して、業務や人間関係の悩みを気軽に相談できる環境を整えることが求められます。
情報やノウハウの共有不足も人間関係を悪化させる要因の一つです。自分に必要な情報が届いていなかったり、伝えた情報が相手に正しく理解されていなかったりすると、不信感が生まれやすくなります。このような問題を防ぐには、情報を共有しやすい仕組みを整えることが重要です。たとえば、情報発信の担当者を決めることで、伝達漏れを防ぎ、情報の流れを明確化することができます。また、上司と部下だけでなく、同僚同士のつながりを深める場を設けることで、相互理解を促進できます。さらに、部署を越えた交流の機会を増やし、情報交換が活発におこなわれるようにすることで、職場全体の風通しがよくなります。
社員のモチベーションをアップさせるメリット
社員のモチベーションが向上することで、個人だけでなく組織や企業全体にも大きなメリットがもたらされます。
生産性向上
社員が「やらされている」と感じる環境では、仕事への意欲が低くなり、組織全体の生産性が思うように上がりません。一方で、モチベーションが高い社員は集中力が持続し、自発的に効率よく業務を進めるため、生産性が大きく向上します。たとえば、主体的に課題を見つけて改善に取り組む社員が増えると、業務の質も高まり、結果として企業全体の競争力を強化することにつながります。
サービス品質の向上
社員のモチベーションが低下すると、仕事に対する責任感が薄れ、「与えられた業務をただ機械的にこなす」「とにかく終わらせればよい」といった受け身の姿勢に陥りやすくなります。このような状況では、業務の質が低下し、サービスや商品の品質にも悪影響を及ぼす可能性があります。
一方、モチベーションが高い社員は、与えられた指示を遂行するだけでなく、自ら課題を見つけ出し、それを改善しようと積極的に行動します。その結果、仕事の質が大きく向上し、より高い付加価値を生み出すことが可能になります。
モチベーションの向上を図ることで、サービスや商品の品質が向上し、顧客満足度を高めることができます。さらに、これにより企業のブランド価値が高まり、市場での競争力を強化することができます。社員一人ひとりの意欲を引き出し、働きがいを感じられる環境を整えることは、企業全体の成長と持続的な成功にとって欠かせない要素といえるでしょう。
離職率の低下
社員が会社に不満を抱くと、「この職場で働き続けたい」という意欲が薄れ、最終的に離職を選ぶケースが増えてしまいます。特に、労働環境や待遇など会社全体に問題がある場合、不満を感じる社員が多くなり、結果として離職率の上昇を招きます。
人材流出を防ぐためには、労働環境の改善や社員のモチベーションを高める取り組みが不可欠です。たとえば、柔軟な働き方の導入や公正な評価制度の実施、キャリアアップの支援など、社員が働きやすく成長を感じられる環境を整えることが重要です。
一部の経営層には、こうした取り組みにかかるコストを懸念する声もあるかもしれません。しかし、離職率の低い企業は求職者にとって魅力的に映り、優秀な人材を引き寄せる機会が増えます。さらに、離職率の低下は社会的な企業イメージの向上にもつながり、採用活動や顧客への信頼感にもよい影響を与えます。
チームワークの向上
やる気のない社員がいると、業務の進行が遅れ、その負担が他の社員に集中することがあります。また、やる気の低さから仕事を休みがちになり、責任を回避しようとする社員も現れることがあります。このような状況が続くと、負担を強いられる社員はストレスを感じ、結果的にチームワークの悪化を招いてしまいます。
チームワークを向上させるためには、まずやる気のない社員に自身の行動がチーム全体に与える影響を具体的に伝え、意識を変えるきっかけを与えることが重要です。また、チーム全体で達成すべき目標を明確にし、それに基づいて個々の役割や目標を設定することで、社員一人ひとりが自分の役割を自覚しやすくなります。さらに、社員間のコミュニケーションを促進し、意見を共有し合うことで信頼関係を深め、連携を強化することが効果的です。
組織の成長
モチベーションの高い社員は、仕事に対して主体的に取り組む傾向があります。自ら情報を収集し、目標を設定し、失敗を恐れず何度もチャレンジを重ねることで、粘り強く成果を追求します。このような社員は、多角的な視点で物事を考える柔軟性を持ち、豊かな発想力を発揮できる点が特徴です。その結果、斬新でクリエイティブなアイデアが生まれやすくなります。
さらに、モチベーションの高い社員が組織内に多いと、自然と情報交換や刺激を求める場が増え、社員間のコミュニケーションが活発になります。このような活気ある環境は、新しいアイデアの創出を促進し、これまでになかった発想や取り組みを生み出す土壌となります。
こうして生み出されたアイデアを企業が積極的に取り入れることで、イノベーションが生まれ、組織全体の成長につながります。社員の意欲を引き出す仕組みや環境を整えることは、企業の競争力を高め、持続的な発展を支える鍵となります。
まとめ
社員のモチベーションを管理するためには、外発的動機付けと内発的動機付けの両方が効果的に機能する環境を整えることが重要です。
モチベーションの低下は、仕事内容や待遇、労働環境、人間関係といった要因による不満が主な原因となることが多いです。そのため、評価制度や社内コミュニケーションの改善、社員が挑戦意欲を持てる制度の導入が効果的な対策となります。
社員のモチベーションが高まれば、生産性やサービス品質の向上、離職率の低下といった成果が期待できます。働きやすい環境を整えることで、社員の成長を支援し、企業全体の発展につなげましょう。
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