バックオフィス業務の効率化方法|問題点や取り組むべきことを解説
最終更新日:2025年03月26日

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- バックオフィス業務の主な効率化方法
- ペーパーレス化の推進
- RPAツールの導入
- ITシステム・ツールの導入
- バックオフィス業務における問題点
- 業務が属人化してしまう
- 1人あたりの業務負担が大きい
- 未だにアナログ業務がおこなわれている企業もある
- 他部署との連携に時間と工数がかかる
- バックオフィス業務の効率化によって得られるメリット
- コストの削減につながる
- 生産性が向上する
- 人為的ミスを防げる
- 業務の属人化を防げる
- 内部統制やガバナンスの強化が期待できる
- 従業員の満足度が向上する
- バックオフィス業務の効率化に向けて取り組むべきこと
- 業務全体の棚卸し
- 課題に対する解決策の検討
- 解決策の実行・評価
- まとめ
バックオフィス業務の主な効率化方法
バックオフィス業務は、一般的な事務から経理や法務などの専門的な業務まで多岐にわたり、企業を支える重要な役割を果たしています。しかし、多くの業務が煩雑化し、非効率的なプロセスに依存している場合があります。効率化を図ることで、全体の生産性向上やコスト削減につながります。ここでは、主な効率化の方法を紹介します。
ペーパーレス化の推進
バックオフィス業務の効率化において、まず取り組みやすいのがペーパーレス化です。紙ベースでの業務は、資料を探す手間や物理的な保管スペースの確保が必要なため、非効率的で、紙やプリンタ関連のコストもかかります。
デジタル化によって、書類の検索や共有がスピーディーになり、業務のスムーズな進行が可能です。さらに、情報のアクセス制御などにより、情報のセキュリティレベルも向上します。
たとえば、契約書の電子化は、契約書の紛失リスクを低減し、郵送なども不要となるため、ペーパーレス化の恩恵を受けやすいです。
RPAツールの導入
定型作業の効率化において有用なのが、RPA(Robotic Process Automation)ツールです。
RPAは、定型的な業務を自動化するための技術のことで、経費精算、請求書の作成・送付、データ入力など、日常的に発生する作業の自動化が可能です。
RPAを導入し、単調な作業を自動化することで、従業員はより専門的で付加価値の高い業務に集中できるようになります。また、作業時間の大幅な短縮や人為的なミスの防止も期待できます。
ITシステム・ツールの導入
バックオフィス業務の効率化には、適切なITシステムやツールの導入も重要です。ただ、バックオフィス業務の種類は多岐にわたるため、ツールの選定には、自社の課題や業務内容に合わせた選択が必要になります。
たとえば、組織が縦割り構造になっていて部署間の連携をより向上させたい場合には、コミュニケーションツールを導入することで、コミュニケーションの円滑化を図れます。具体的には、チャットツールの導入により部署をまたいだグループを作成し、コミュニケーションを取る上での心理的な障壁を緩和したり、Web会議を導入することで、勤務地や出社の有無に関係なくコミュニケーションが取りやすくしたりできます。
また、タスクやプロセスをチーム全体で共有・可視化させたい場合は、タスク管理ツールを導入することで、進行状況がリアルタイムで全員に可視化されるため、より効果的に管理できます。
ほかにも、経理処理を効率化するための会計ソフトや給与計算システムの活用も広がっています。こうしたシステムの導入により、作業負担が軽減され、業務全体の正確性が向上します。
バックオフィス業務における問題点
バックオフィス業務は、効率的な運営が求められる一方で、さまざまな問題点を抱えています。
業務が属人化してしまう
属人化とは、特定の社員に知識や業務が集中して依存してしまう状態をいい、バックオフィス業務で頻繁に見られる問題です。この状況が続くと、担当者が不在の際や休職・離職などした際に、他の社員で対応することが難しく、業務が滞るリスクが生じます。さらに、業務の透明性が低下し、ミスや不正の発見が遅れるおそれもあります。
バックオフィス業務の属人化は、短期的には目の前の状況を捌く上で効率的な場合もありますが、長期的に見ると、上記のようなリスクに対して極めて脆弱で、企業のガバナンスの観点でも問題です。
また、特定の人に業務が紐づいてしまっているため、その人自身にとっても休暇が取りにくいなど、ワークライフバランスの面で問題がある可能性もあります。
1人あたりの業務負担が大きい
バックオフィス業務の範囲は、フロントオフィスのサポートや社内環境の整備、事務手続きなど多岐にわたります。さまざまな業務をおこなう必要があるため、担当者の負担が大きくなりがちです。
特に、決算期や入社・退社が集中する時期には、業務量が増加することが一般的です。このような状況では、従業員の身体や精神面での疲労が懸念されます。
近年は、人手不足を背景に新規採用が難航したり、転職市場の活発化により人材が流出したりするケースも起きやすくなっています。そのため、職場環境やワークライフバランスなど、従業員満足度の観点からもバックオフィス業務を効率化する必要性が高まっています。
未だにアナログ業務がおこなわれている企業もある
近年、DX(デジタルトランスフォーメーション)という言葉を耳にする機会が多くなったように、多くの企業がデジタル化を推進していますが、依然としてアナログ業務に依存しているケースも散見されます。
たとえば、「会議の資料が紙のまま」「発注書や請求書の手続きにFAXを使用している」などのアナログ管理は、業務の効率性を低下させる要因となります。この場合はペーパーレス化を推進し、システム導入による管理方法の改善を図ることが必要です。
また、経理の分野では、電子帳簿保存法が改正されたことにより、取引に関連する書類の電子化が進んでいますが、ほかの分野ではデジタル化が進んでいないケースもあります。
他部署との連携に時間と工数がかかる
バックオフィス業務は業務の性質上、他部署との連携が不可欠です。この連携がスムーズにおこなえない場合、問い合わせ対応や情報共有に多くの時間や工数が割かれてしまいます。
たとえば、営業などフロント業務をおこなう社員からの問い合わせへの対応に多くの時間が割かれてしまい、本来やるべき業務になかなか取りかかれないこともあります。コミュニケーションツールの導入やワークフローの見直し、連携プロセスを効率化することで、そのようなコミュニケーションコストを低減できます。
バックオフィス業務の効率化によって得られるメリット
バックオフィス業務の効率化は、単なる業務時間の短縮にとどまらず、経費の削減、従業員の満足度向上など、さまざまなメリットをもたらします。
コストの削減につながる
まず、バックオフィス業務を効率化することで、コスト削減効果が期待できます。
たとえば、RPAやITシステムを導入することで、それまでアナログでおこなわれてきた業務を効率化できるため、バックオフィス業務全体で必要となる人員を削減できます。ツールの導入コストやランニングコストよりも削減した人件費が高ければ、コスト削減になります。
また、ペーパーレス化をおこなえば、紙自体の費用に加えて、郵送費や物理的な保管スペースの確保にかかっていた費用なども削減できます。
生産性が向上する
バックオフィス業務の効率化は、業務全体の生産性向上にも寄与します。
たとえば、これまで手動でおこなっていたデータ入力や書類の整理などをRPAに置き換えることで、作業時間が大幅に短縮され、その業務自体の生産性が向上します。
さらに、効率化によって浮いた時間を、従業員のスキルアップやより戦略的な業務に充てられるようになり、従業員の能力向上にも寄与し、企業全体の競争力強化につながります。
人為的ミスを防げる
効率化によって、人為的なミスを防ぎ、業務の正確性の向上やリスクヘッジにもつながります。
手作業によるデータ入力や計算、書類の確認などでは、しばしば人為的なミスが発生しがちです。しかし、RPAやITシステムを活用し、これらの作業を自動化することで、ミスの発生を抑えられます。
たとえば、請求書の発行業務では、金額や取引先情報などの入力ミスがよく見られます。RPAを導入することで、データを正確に処理し、ミスを防ぐことが可能です。さらに、ミスの修正に費やす時間を削減できるため、従業員の負担軽減にもつながります。業務全体がスムーズに進むことで、社内外からの信用も高まります。
業務の属人化を防げる
属人化は、多くの企業で見られるバックオフィス業務の課題です。単に、専門的な業務だけではなく、「あの人に任せたほうが早いから」といった局所的な効率性を理由に属人化してしまうこともあります。
こうした業務の属人化は、業務マニュアルの作成やタスク管理ツールの導入を通じて、誰でも同じ水準で作業を遂行できる環境を整えることで解消できます。さらに、RPAやクラウドシステムを活用すれば、担当者に依存せずに作業を進めることが可能です。
また、属人化の解消は組織全体の柔軟性を高め、突然の人員不足や業務量の増減に対応しやすくなるというメリットもあります。
内部統制やガバナンスの強化が期待できる
バックオフィス業務は、フロントオフィスを含め、企業活動を円滑におこなうための仕組みづくりも担っています。効率化によって業務が整理されることで、企業全体のガバナンスの強化にもつながります。
業務プロセスの可視化やデータの共有が進むことで、経営陣が迅速に意思決定をおこなえるようになるなど、正確性に加えてスピードも向上します。ガバナンスが強化されることで、企業活動全体の健全性が向上し、企業の社会的な信用も高まります。
また、バックオフィス業務は財務報告や法令遵守など、企業の透明性や信用を担保する重要な役割を果たしています。効率化が進むことで、不正の発見やミスの防止が容易になり、リスク管理が向上します。逆にいえば、バックオフィスが機能していないと不正を見落としたり、ミスが生まれやすくなったりするリスクを抱えることになるため、注意が必要です。
従業員の満足度が向上する
業務の効率化は、従業員にもさまざまなメリットをもたらします。
まず、業務が合理化されることで、単調な作業や残業が減り、ワークライフバランスが改善されます。さらに、ITシステムやクラウド環境を活用することで、リモートワークの導入も進み、柔軟な働き方を実現できます。
こうした効率化は、結果的に従業員の満足度向上につながります。従業員が働きやすいと感じる職場では、モチベーションやパフォーマンスが向上し、結果として企業の業績アップにも寄与します。また、従業員の満足度が向上することで、離職率の低下にもつながります。
バックオフィス業務の効率化に向けて取り組むべきこと
バックオフィス業務を効率化するには、計画的な取り組みと全体的なプロセスの見直しが必要です。一時的な改善ではなく、持続可能な形で業務を効率化するためには、段階的に実施すべき取り組みがあります。以下、それぞれのステップについて解説します。
業務全体の棚卸し
効率化を始める第一歩として、業務全体の棚卸しをおこない、業務プロセスを把握し、可視化することが必要です。業務プロセスを可視化することで、どの作業にどの程度時間やコストが割かれているのかを客観的に評価できます。
業務内容やプロセスを可視化した状態で、どの業務が無駄であるのか、非効率的であるのかを確認しましょう。
課題に対する解決策の検討
業務全体の棚卸しが完了したら、明らかになった課題に対し、適切な解決策を検討しましょう。たとえば、紙媒体で管理・運用している部門や業務がある場合、ペーパーレス化が可能かを検討します。具体的には、電子契約システムや電子請求書発行システムの導入などが考えられます。
また、業務自体を外部に委託するアウトソーシングも選択肢のひとつです。特定の業務を専門業者に委託することで、自社の人的リソースをコア業務に集中させられます。
解決策を選定する際には、コストと導入後の運用効率のバランスを考慮することが重要です。
解決策の実行・評価
検討された解決策が決定したら、次は実際に実行するフェーズです。
ここで重要なのは、スケジュールを決め、段階的に実施を進めることです。一度にすべてを変更しようとすると、現場の混乱や抵抗が生じる可能性があります。特にITシステムについては、従業員が使いこなせなかったり、そもそもITに対して苦手意識を持っていたりする場合があるため、実行に関するスケジュールを明確にし、丁寧に説明することが求められます。
新しいITシステムを導入する場合には、トライアル期間などを利用して、現場での使い勝手を検証するのが効果的です。その後、従業員への研修を実施し、ツールの効果的な活用方法を教育します。こうしたプロセスを丁寧に進めることで、従業員が効率化施策に前向きに取り組むことが期待できます。
また、実行後の評価も非常に重要です。実際に、新しいプロセスやツールがどの程度の効果を上げているのかを検証し、想定よりも効果が得られなかった場合には、原因の特定と解決策の検討をおこないましょう。
まとめ
バックオフィス業務の効率化は、生産性の向上やコスト削減、従業員の働きやすい環境づくりに直結します。ペーパーレス化やRPAツールの導入、ITシステムの活用などの具体的な取り組みを通じて、属人化や業務負担の増大といった課題を解消していくことが重要です。
また、効率化によって得られるメリットは、従業員満足度の向上や内部統制の強化といったものにも波及します。自社の課題に合った解決策を選び、着実に実行することで、持続可能な業務環境を構築しましょう。
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