バックオフィスDXとは?メリットや進め方、成功事例を紹介
最終更新日:2025年03月26日

【おすすめ資料】
バックオフィスの業務効率化 おすすめのDX手法6選と活用例
- バックオフィスDXとは
- バックオフィスDXが注目される理由
- 「2025年の崖」への対応が必要だから
- 柔軟な働き方の実現が求められているから
- バックオフィスDXをおこなうメリット
- 業務の正確性・生産性の向上
- コスト削減
- 業務の属人化の解消・防止
- 柔軟な働き方の促進
- バックオフィスDXの基本的な進め方
- バックオフィスのDXを成功させるポイント
- バックオフィスDXの具体的手法
- 会計・勤怠管理等クラウドサービスの活用
- RPAやAIの活用
- ペーパーレス化の推進
- バックオフィスDXの成功事例
- 業務のペーパーレス化成功事例
- 経費精算業務の効率化成功事例
- AI活用による業務効率化成功事例
- まとめ
バックオフィスDXとは
バックオフィスDXとは、最新のデジタル技術を活用し、バックオフィス業務を変革(デジタルトランスフォーメーション)することです。
そもそもバックオフィス業務とは、人事・経理・総務・法務のように、事業運営や組織運営が円滑に機能するようにサポートする業務を指します。これらの業務は、営業やマーケティングといったフロントオフィス業務のように、直接的に企業へ利益(売上)をもたらすものではありません。しかし、バックオフィスの下支えがなければ、フロントオフィスの担当者がコア業務に注力することは困難です。同時に、バックオフィス業務を少ない時間や人員で効率的に処理できるようになれば、それだけフロントオフィス業務に回せるリソースを増やせます。
現状、バックオフィス業務は属人的におこなわれていることが多く、デジタル化による効果も大きいと見込まれます。組織やビジネス全体を変革するには、バックオフィス業務も含めてデジタル化を推進することが大切です。
バックオフィスDXが注目される理由
バックオフィスDXが注目される理由には、以下のような社会的背景が関係しています。
- 「2025年の崖」への対応が必要だから
- 柔軟な働き方の実現が求められているから
「2025年の崖」への対応が必要だから
「2025年の崖」とは、経済産業省が2018年に公表した『DXレポート』で警鐘している経済的リスクのことです。このレポートでは、多くの日本企業が開発から数十年も経過した基幹システムを使い続けていることが問題視されています。
こうしたシステムは多くの場合、技術的に時代遅れな上、度重なる改修によって複雑化・ブラックボックス化しており、管理運用の難易度や費用が高い「IT負債」になりがちです。このように老朽化したシステムを抱え続けていると、デジタル技術の活用が鍵となる現代のビジネス環境に適応できず、市場競争力を失いかねません。
こうした背景から、経済産業省はバックオフィスも含めて、積極的にデジタル化やDXを推進する必要性を提唱しています。
柔軟な働き方の実現が求められているから
柔軟な働き方の実現や時間外労働の削減など、働き方改革が求められていることも理由のひとつです。
売上に直結しないという性質上、バックオフィスは人員拡充が後回しになりやすく、人手不足に陥っているケースが多く見られます。同様の理由から、業務改善に向けた取り組みも優先度が低くなりがちです。
これらの結果、バックオフィス業務は限られた人員がマンパワーで業務を回していることが多く、構造的に業務の属人化が起こりやすい特徴を持ちます。しかし、先述のように、企業が競争力を維持・向上させるためには、バックオフィス業務の改善も必要です。
デジタル化によって業務効率化を進めれば、バックオフィスの担当者の負担を軽くしつつ、会社として、よりフロントオフィスに注力することも不可能ではありません。また、バックオフィス業務をリモート環境で遂行できる体制を整えることで、場所の制約を受けずに業務を進められます。ただし、機密性の高い情報を扱うバックオフィスのデジタル化には、十分なセキュリティ対策が求められます。
バックオフィスDXをおこなうメリット
バックオフィスDXを実現することで、以下のように多くの効果が期待できます。
- 業務の正確性・生産性の向上
- コスト削減
- 業務の属人化の解消・防止
- 柔軟な働き方の促進
業務の正確性・生産性の向上
マンパワーに頼りがちなバックオフィス業務は、ヒューマンエラーが起こる割合も多いです。その点、自動化・デジタル化を進めれば、作業の多くを機械的に処理したり、システム側でエラーのチェック・警告をしてもらえるようになるので、ミスを防止しやすくなります。ミスが減れば、手戻りの負担がなくなる分、作業効率の向上が可能です。また、システムによる効率化・自動化が進めば、作業自体にかかる時間や労力も減らせます。これらの結果、生産性向上や経営のスピードアップが期待できます。
コスト削減
コスト削減も、期待できる効果のひとつです。バックオフィス業務にはルーティン作業が多々ありますが、中でも単純な定型作業は、RPAなどのツールによる自動化が特に適した分野です。したがって、バックオフィスDXは、作業に必要な人員・時間・労力の削減など、大きなコスト削減効果が期待できます。残業時間や人件費などの変化は数字で客観的に把握しやすいので、DXの効果測定や、それに基づいた改善をしやすいのもポイントです。
業務の属人化の解消・防止
DXの実施に当たっては、自社の業務フローに合わせてシステムを構築するか、導入するシステムに合わせて業務を調整することになります。いずれにせよ、業務フローの見直しまたは再構築が不可欠です。つまりDXは、バックオフィス業務で起こりがちな属人化を解消・防止するための絶好の機会となります。これを機に、業務フローを統一したり、新人でも利用できるような扱いやすいDXツールを導入したりすることで、業務の標準化を進めることが可能です。
柔軟な働き方の促進
バックオフィス業務に際して、ペーパーレス化やシステムのクラウド化などを進めることで、リモートワークなどの柔軟な働き方が実現しやすくなります。データやシステムがクラウド化すれば、インターネット環境さえあれば、自宅からでもバックオフィス業務をおこなえるようになります。ただし、セキュリティ対策は万全にしなければなりません。通勤の負担軽減や居住地の自由度が広がるリモートワークは、多くの人にとって魅力的な働き方です。
また、たとえリモートワークを導入せずとも、DXによって業務効率化を進めれば、時間外労働などの負担が大幅に軽減されるので、従業員満足度の向上につながります。
バックオフィスDXの基本的な進め方
バックオフィスDXは、基本的に以下の手順でおこないます。場当たり的に進めると満足に効果が出なかったり、逆効果になったりすることもあるので、計画的に動くことが大切です。
- バックオフィス業務を可視化する
- DXを導入するバックオフィス業務を決める
- 業務に合わせたシステムを導入する
- 導入後は効果検証やフォローをおこなう
1. バックオフィス業務を可視化する@i.element_text1>
DXの第一歩は、現状の業務をすべて洗い出し、各業務の詳細を可視化することです。すべての業務がデジタル化に適しているとは限りません。どうしてもシステムに落とし込むのが難しかったり、費用対効果が期待できなかったりすることもあります。
業務を丁寧に可視化することで、抜け漏れなくDXを進めやすくなります。業務の可視化は管理者だけでなく、現場の担当者も巻き込んで取り組むのがおすすめです。
2. DXを導入するバックオフィス業務を決める@i.element_text1>
続いて、前のステップで調べたことをもとに、DXの対象となるバックオフィス業務を選定します。DXはスモールスタートで徐々に拡大していくほうが望ましいので、優先順位も併せて検討しましょう。優先度の比較基準としては、DXのしやすさや導入効果、緊急性などが挙げられます。
業務を可視化する時点で、各業務の概要や処理にかかる時間、工数、人員、費用、発生頻度などをまとめておくと効率的です。優先度が低い業務に関しては、「そもそもその業務は本当に必要なのか」と問い直す視点も持ちましょう。
3. 業務に合わせたシステムを導入する@i.element_text1>
DXの対象業務を選定したら、その業務に合わせたシステムを導入します。この際に重要なのは、「そのシステムで何を実現したいのか」という導入目的を明確化し、その目的に沿って必要な機能をしっかり要件定義することです。
この機能に関しても、「必要な機能」「できればほしい機能」といった具合に、優先順位を整理しておくことをおすすめします。導入コスト(予算)、使いやすさ、サポートの充実度なども確認し、自社に適したシステムを比較検討しましょう。
なお、新しいシステムや業務フローに慣れるまでは、現場の従業員に負担がかかることが想定されます。せっかくシステムを導入しても、現場で使われなければ意味がありません。そのため、従業員が前向きに変革を受け入れられるように配慮することも大切です。
4. 導入後は効果検証やフォローをおこなう@i.element_text1>
システムの導入後は、期待通りの効果が出ているか、何か問題は発生していないかなど、定期的な効果検証やフォローをおこないましょう。慎重にシステム導入を進めても、本番環境では予期せぬトラブルが発生したり、現場に十分に浸透しなかったりすることは少なくありません。実際に使用していくうちに、現場の従業員から改善の意見や要望が出てくることもあります。そのため、システムを導入したらそれでおしまいではなく、継続的なフォローや改善をしていくことが大切です。
バックオフィスのDXを成功させるポイント
バックオフィスDXを成功させるには、スモールスタートを意識することが大切です。システム導入は、業務フローに大きな変化をもたらします。そのため、一気に大規模なシステム導入をすると、現場にかかる負担が過大になる上、失敗したときのリスクも大きくなります。
バックオフィス業務は、部門単位・業務単位でシステム導入しやすい特徴があります。DXに取り組む際は、この特徴を活かし、デジタル化しやすい領域から影響範囲を絞って少しずつ進めていくのがおすすめです。小さく成功体験を積み重ねていくうちに、DXに向けた従業員のモチベーションが向上することも期待できます。
また、DXを成功させるために重要な心構えや取るべきアクション、進捗管理の方法などを知るためには、経済産業省が公開している「DX推進指標」などの資料を活用するのも効果的です。
バックオフィスDXの具体的手法
バックオフィスDXといっても、具体的に何をすればよいのかイメージが湧かない人も多いかもしれません。バックオフィスDXでは、主に以下のような取り組みが効果的です。
- クラウドサービスの活用
- RPAやAIの活用
- ペーパーレス化の推進
会計・勤怠管理等クラウドサービスの活用
第一におすすめなのが、クラウドサービスの活用です。クラウドサービス、特にSaaSを活用すれば、会計システム、勤怠管理システム、販売管理システムなど、バックオフィス業務を支援する多種多様なツールを低コストで迅速に導入できます。また、クラウドサービスの活用によって、リモートワークを導入しやすくなるのも大きなメリットです。
RPAやAIの活用
RPA(Robotic Process Automation)とは、パソコン上の作業を自動化するツールです。RPAは、特に定型的な反復作業の自動化を得意とします。単純なルーティン業務が多い企業・部門では、RPAの導入によって、ヒューマンエラーの防止や業務効率化などの高い効果が見込めます。
また、AIを搭載したRPAは、通常のRPAより柔軟な運用が可能です。昨今では、契約書や請求書の作成などの業務に生成AIを活用する動きも見られます。
ペーパーレス化の推進
デジタル化の適用範囲や効果を拡大するためには、ペーパーレス化を同時に推進することも大切です。紙ベースで業務や管理をおこなうと、余計なコストや工数が生じやすくなります。保管スペースの確保や、紙の劣化リスク、データのアクセスや活用のしにくさなどの問題も無視できません。さらに、紙の資料はかさばり、紛失のリスクもあるため、テレワークの実現も困難です。
ペーパーレス化の推進は、上記のような問題を一挙に解決する手段になります。ペーパーレス化を進める際は、紙から情報をスキャンしてデジタルデータ化するAI-OCRや、RPAなどを活用すると効率的です。
バックオフィスDXの成功事例
バックオフィスDXを進める際は、他社の成功事例を参考にするのがおすすめです。ただし、実際にDXに取り組む際は、自社の状況に合わせて調整するようにしましょう。
業務のペーパーレス化成功事例
ある企業では、総務部門の業務効率化を目指してペーパーレス化に取り組みました。その企業では、契約書や社内文書などの資料を紙で管理することで、情報の検索や共有が不便な状態でした。
そこで同社が取り組んだのが、紙資料をデジタルデータ化し、クラウド上で一元管理することです。これによって、情報の検索や共有が容易になり、さらに紙資料の保管が不要になったことで、オフィススペースも有効活用できるようになりました。
経費精算業務の効率化成功事例
ある企業では、急速な事業拡大に伴う社員数の増加により、経費精算業務の負担が大きな課題となっていました。従来の経費精算システムでは、申請者が手入力した情報を経理部門が全件チェックしており、精算エラーの多発など、作業が非効率的な状態でした。
そこで同社が実施したのが、クラウドベースの経費精算管理システムの導入です。このシステムは、法人カードや二次元バーコード決済とのデータ連携が可能で、データ入力の負担を大幅に軽減しました。さらに、規定適合チェックの自動化や業務の標準化も進められました。これらの結果、年間約4万6,000時間もの業務時間削減に成功しています。
AI活用による業務効率化成功事例
ある企業は、経営判断を高度化するために、AIを用いたデータ分析を導入しました。バックオフィス部門には、事業運営にかかわる膨大なデータが蓄積されます。これらのデータは企業経営に重要な示唆を与えますが、人が手ずから分析しようとすると、高度な専門知識や時間、労力が必要です。しかし、AIを用いてデータ分析すれば、これらの問題はかなりの部分が解消されます。実際、その企業ではAI分析によってリアルタイムにデータを活用し、迅速に高度な経営判断ができるようになりました。
まとめ
バックオフィス業務は、DXの導入効果が大きく見込める領域です。ルーティン的な業務をRPAで自動化したり、属人的な業務をシステム導入で標準化したりすることで、業務を効率化し、組織全体の生産性向上につなげられます。まずはDXのしやすい業務から始め、成功体験を積みながら、全社的な変革へ拡大していきましょう。
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