経理業務を自動化する方法やメリット、自動化をする際のポイントを解説

最終更新日:2025年03月26日

経理業務を自動化する方法やメリット、自動化をする際のポイントを解説
日々の経理業務にかかる時間は、業務の自動化によって削減が可能です。データ入力やチェック作業、集計作業など、時間がかかる経理のさまざまな業務を自動化することで、大幅な業務効率化が実現します。本記事では、経理業務を自動化する方法やメリット、自動化できる業務などについて解説します。

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【目次】
  • 経理業務を自動化する主な方法
    • Excelのマクロ機能で自動化する
    • RPAツールを導入して自動化する
  • 会計システムを導入して自動化する
  • 経理業務を自動化するメリット
    • コア業務に集中できるようになる
    • 人的ミスの軽減につながる
    • 経理業務に関するコストを削減できる
    • 素早い経営判断に役立てることができる
  • 自動化できる経理業務の例
    • 請求書の発行業務
    • 経費の精算処理
    • 仕訳の入力
    • 入金消込
  • 判断が必要な財務・経理業務は自動化に不向き
  • 経理業務を自動化する際のポイント
    • 経理業務を可視化して見直す
    • 既存システム・ツールの連携や入力精度の高さを確認する
  • バックオフィス業務の課題はDXや自動化で解消しよう
  • まとめ
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経理業務を自動化する主な方法

経理業務を自動化する方法には、主に以下の3種類があります。それぞれメリット・デメリットや、自動化に適した業務などが異なります。

  • Excelのマクロ機能で自動化する
  • RPAツールを導入して自動化する
  • 会計システムを導入して自動化する

Excelのマクロ機能で自動化する

Excelのマクロ(VBA)とは、Excel上の一定の処理をあらかじめ記録しておく機能です。処理内容を登録したボタンをクリックすると、記録した処理が自動で実行されます。マクロを使用すると、データの集計、グラフや表の作成、請求書などの書類作成、印刷といったさまざまな処理の自動化が可能です。

Excelを導入している企業の場合、業務自動化の際に新しいシステムを購入するなどのコストはかかりません。ただし、マクロで複雑な業務をする場合には、処理に時間がかかります。また、マクロの作成にはVBAの知識が必要になるため、業務が属人化しやすいデメリットもあります。

RPAツールを導入して自動化する

RPAツールとは、「Robotic Process Automation(ロボティック・プロセス・オートメーション)」の略語で、パソコン上の定型的な業務を自動化できるソフトウェアです。あらかじめルールを決めて処理方法を設定しておくと、人の手で作業をする必要がなくなり、設定どおりに自動で処理が完了します。

RPAツールを使用した場合、データの自動入力・自動転記、ファイルのアップロードやダウンロード、データの集計やメール送信など、幅広い定型作業の自動化が可能です。処理速度が速いため、大量のデータを短時間で処理できるメリットもあります。

一方、導入にコストがかかる点や、法改正や業務プロセスの変更があった際に都度対応を求められる点には注意が必要です。また、単に作業を自動化する程度なら特別な知識は必要ありませんが、活用の幅を広げたい場合には、プログラミングの知識があったほうが望ましいでしょう。

会計システムを導入して自動化する

会計システム、経費精算システムなどの経理システムを用いて自動化する方法もあります。

経理システムを導入した場合、システムに応じて請求書発行や経費精算・支払いなどの業務を自動化できます。また経理システムは、特別な知識がなくとも扱える製品が多い点も特長です。一方で、システムの導入・運用には相応のコストがかかるため、費用対効果に見合うかどうか検証する必要があります。

近年主流のクラウドタイプの製品であれば、多くの場合、自動アップデート機能を備えているため、運用管理の手間が少なく、法改正などへの対応もスムーズです。

経理業務を自動化するメリット

経理業務を自動化することで、主に以下のようなメリットが期待できます。

  • コア業務に集中できるようになる
  • 人的ミスの軽減につながる
  • 経理業務に関するコストを削減できる
  • 素早い経営判断に役立てることができる

コア業務に集中できるようになる

経理業務の自動化により、これまで手作業で処理していた日々のルーティンワークの削減が可能です。

データ入力や集計などの時間がかかる業務を自動化できれば、そのぶん人手や時間に余裕が生まれ、浮いたリソースを有効活用できるようになります。自動化によって浮いたリソースを、自動化が難しい営業や企画、マネジメントなどのコア業務に注ぐことで、生産性の向上や業績アップが見込めます。

人的ミスの軽減につながる

経理業務の自動化は、人的ミスの削減にも効果的です。

手作業による業務では、担当者の不注意や疲労による集中力低下など、さまざまな理由により人的ミスが生じる可能性があります。特に経理は正確性が重要であり、些細なミスでも問題が発生しかねない繊細な業務です。データ入力や転記・集計などでミスがあると修正の手間を要しますし、請求書の数字を間違えた場合には、取引先からの信用にも影響します。

これらの業務を自動化することで、人的ミスの発生が抑えられ、経理業務の正確性向上や担当者の負担軽減にもつながります。

経理業務に関するコストを削減できる

経理業務の自動化により作業を削減できれば、従来よりも少ない人手で業務の遂行が可能となるため、そのぶん人件費を抑えられます。

また、自動化に伴い電子化・ペーパーレス化が進むことで、それまで発生していた紙代やインク代、郵便代といったコストの削減も期待できます。経理業務においては、未だに紙書類を用いたアナログ処理がおこなわれている企業も多く、電子帳簿保存法への対応という観点からも非常に重要です。

素早い経営判断に役立てることができる

経理業務の自動化により、データ入力や集計を自動で処理できるようになれば、経営判断に用いられる経理資料のスピーディーな作成が可能です。特に経理システムを活用する場合、企業の経営状況がリアルタイムで可視化されるため、最新データを迅速に資料へ反映できます。これにより、経営陣が求める情報をスピーディーに提供でき、経営判断の迅速化に役立ちます。

自動化できる経理業務の例

ひと口に経理業務といっても、自動化に向いている業務と向かない業務があります。自動化に向いている業務としては、たとえば以下のようなものがあります。

  • 請求書の発行業務
  • 経費の精算処理
  • 仕訳の入力
  • 入金消込

請求書の発行業務

請求書の発行は、企業が取引をする際に発生する日常的な業務です。受注データが確定してからデータを入力して請求書を作成・発行し、締め日や支払日に作成した請求書を取引先へ送るのが請求書発行業務の流れです。定型的な作業ではあるものの、作成しなければならない書類の数が多いため、作業にはかなりの時間や手間がかかります。

発行業務を自動化すれば、請求書の作成や送付といった作業をシステム上で自動処理できるため、業務の大幅な削減が可能です。人的ミスの発生も抑えられるので、より正確な請求書を作成できるメリットもあります。

また、請求書を作成する際は、各担当者に内容を確認してから責任者に承認をもらわなければなりません。請求内容に変更が生じた場合にも確認を要するため、自動化してシステム上で情報共有できると、スムーズに処理をおこなえます。

経費の精算処理

業務に必要な支出が発生した場合に、従業員が立て替えた経費の精算をする業務が、経費の精算処理です。従業員が経費申請の書類を作成・申請してから、決済された申請分の経費精算を経理担当者がおこないます。経費の精算処理には、申請から精算まで複数のプロセスがあるため、自動化によって作業負担は大幅に軽減されます。

経費精算システムには、金融機関や電子マネーと連携できるものもあります。そのようなシステムを利用すれば、取引の明細データを自動で取り込み、自動で仕訳できるため、経費精算フローの効率化が実現します。

仕訳の入力

仕訳入力は、事業活動の中で発生する入出金のデータを、適切な勘定科目に仕訳しながら入力していく業務です。

これまでは、売上や仕入、経費など、各部門が作成した伝票をもとに、1件ずつ仕訳入力をしていくケースが多く見られました。しかし、日々発生する多数のデータを手作業で入力するのは時間がかかる上、作業者の負担も大きいため、自動化による効率化が有効です。

仕訳入力の自動化は、システムの導入によって実現します。データを一元管理できるシステムを導入し、仕訳ルールを設定することで、入力された取引データの勘定科目をシステムが自動で判別・仕訳し、記帳まで対応してくれます。

入金消込

入金消込の作業は、掛取引で入金があった際に、その分の売掛金を消し込む作業です。誤った処理をすると重大な問題につながるため、正確性が求められます。

手作業での入金消込は、入金データと請求書データを照合して、金額や取引先名が一致しているかなどを確認していく必要がありました。しかし、手作業では人的ミスが発生しやすいこともあり、取引件数が多い企業では業務効率化が大きな課題となっていました。

入金消込の自動化は、クラウド会計システムなど専用ツールの活用によって実現が可能です。ツールが自動的に銀行口座の入金情報を取り込み、請求書データと照合する流れで入金消込作業が自動化され、業務効率化やミスの削減に役立ちます。

判断が必要な財務・経理業務は自動化に不向き

先述したように、経理業務には自動化に向かない業務もあります。判断が必要な業務や、一定のルールに当てはまらない臨機応変な対応が求められる業務は、自動化には不向きです。

たとえば、経営判断のために特定のニーズに応じたレポートを作成する場合、手動での調整が必要です。また、事業戦略が財務的に実現可能か判断する際には、財務・経理データを分析し、それをもとに企画・戦略を立案することが求められます。このように、経験や知識に基づいた判断が必要となる非定型業務は、自動化が難しいとされています。

自動化で効率化できる部分と、人の判断が求められる部分を明確に区別することで、経理業務を効率的かつ正確に進めることが可能です。

経理業務を自動化する際のポイント

経理業務の自動化にあたっては、注意すべきポイントもあります。自動化による十分なメリットを得るためには、以下のポイントを押さえておくことが大切です。

  • 経理業務を可視化して見直す
  • 既存システム・ツールの連携や入力精度の高さを確認する

経理業務を可視化して見直す

経理業務の自動化の際には、自社の業務フローに適したシステムを導入します。ただし、業務フローのどの部分を効率化すべきかわからない状態では、目的に合うシステムを導入できません。現在の業務で効率化すべき部分を明確にするには、経理業務の可視化と見直しが必要です。

そのため、事前に日次や月次、年次など期間ごとの経理業務を洗い出し、各業務にかかっている時間・人員などを詳しく書き出すことが重要です。非効率な業務が明確になったあとに、効率化が求められている自動化すべき業務を決定しましょう。

また、併せて業務フローを見直すことも重要です。自動化によって必要な時間や人員など、業務に少なくない変更が生じるため、それに合わせて業務フローの最適化を図りましょう。

既存システム・ツールの連携や入力精度の高さを確認する

業務のさらなる自動化のために新しいシステムを導入する際には、既存のシステム・ツールとの連携も考慮しましょう。既存の会計システムや給与システムと連携可能な経費精算システムを導入した場合、経費が発生した際にシステムに入力した情報が他システムへ自動で転記されるため、入力作業が削減されます。

また、領収書やレシートを読み取るOCR機能の入力精度も重要です。入力精度が低いシステムでは、読み取った内容を何度も手作業で直さなければなりません。手書きの領収書なども読み取りが可能だと、入力の手間が大幅に削減できるため、自動入力の精度は事前に確認しておきましょう。

バックオフィス業務の課題はDXや自動化で解消しよう

経理、総務、人事などのバックオフィス業務には、属人化しやすい、人的ミスが生じやすいといったさまざまな課題があります。また、専門的な知識・スキルが必要な業務、大量のデータの入力やチェック業務、紙ベースでの作業も多いため、DXや業務の自動化がまだ進んでいない企業も多く見られます。

人的ミスや属人化などの課題は、ワークフローシステムなどを導入し、経理業務のDXや自動化を進めることで解決可能です。バックオフィス業務のDXや自動化によってさまざまな業務が削減されると、業務の効率化が実現し、企業全体の生産性向上にもつながります。

まとめ

経理業務の自動化には、Excelのマクロ、RPAツール、経理システムなどさまざまな方法があり、それぞれメリットやデメリットは異なります。自動化が実現すると、人的ミスの削減や業務効率の向上など、多くのメリットが期待できます。ただし、中には自動化が難しい業務もあるため、自動化する業務の選択は重要です。

経理業務の自動化においては、自社の業務フローを可視化し、効果的に業務を効率化できるシステムを導入することが成功のカギを握ります。バックオフィス業務の課題は、DXや自動化によって解決できるものが多くあります。自社の経理業務に課題を感じている方は、ぜひ検討してみてはいかがでしょうか。


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