お祝いに・内祝いに のし紙のマナー
最終更新日:2019年02月14日
この「のし紙」、日本古来の贈答マナーに由来した習慣です。誤った使い方をすると失礼になることもありますので、書き方の基本はおさえておきましょう。
「のし紙」は日本古来の贈答様式
のし紙は、贈答品にかける紙で、のし・水引で構成されています(のしは付けない場合もあります)。
かつては、進物に奉書紙という厚手の和紙をかけ、紙をこよった紐で縛り、右上に縁起物の熨斗鮑を添えて贈りました。それを簡略化し、1枚の紙に印刷したものが現在ののし紙です。
そして、水引の結び方、のしには意味があります。
のし
もともとは、長寿をもたらすものとして縁起の良い「熨斗鮑(のしあわび)」を贈答品に添えていましたが、次第に簡略化され、今のような形になりました。のし=熨斗鮑ということから、生ものを贈る場合や、葬儀・法事などの弔事、病気や災害のお見舞いには付けません。
水引
かけ紙の飾り紐に由来します。見本のような蝶結びのほか、結び切り(本結び)タイプがあります。色の組み合わせも、慶事と弔事で異なります。紐の本数は、5本、7本、9本、婚礼の場合は10本の紐をかさね、結びます。
表書き
贈答品の目的を記します。
名書き
贈り主の名前(姓名または姓、親しい間柄では名だけのことも)を記します。
水引の結び方には意味がある
水引には、大きく分けて2種類の結び方があります。
蝶結び(花結び) | 結び切り(本結び) |
お祝い | |||
---|---|---|---|
婚礼 | 寿、御結婚御祝、祝御結婚 | 紅白、または金銀の結び切り(あわじ結び)、のし有 | |
出産 | 御出産御祝、御出産祝 | 紅白蝶結び、のし有 | |
結婚記念 | ○婚式御祝 結婚25年目が銀婚式、50年が金婚式、75年がプラチナ婚式 | 紅白蝶結び、のし有 | |
入学・卒業 | 御入学御祝、祝御入学、御卒業御祝、祝御卒業 | 紅白蝶結び、のし有 | |
昇進・転勤 | 御栄転御祝、祝御栄転 | 紅白蝶結び、のし有 | |
新築・開業 | 御新築御祝、祝御新築、御開業御祝、祝御開業 | 紅白蝶結び、のし有 | |
長寿 | 祝還暦、還暦之御祝 | 紅白蝶結び、のし有 | |
叙勲・受賞 | 御受章御祝、御受賞御祝 | 紅白または金銀蝶結び、のし有 | |
お祝いのお返し・内祝 | 内祝 | 紅白蝶結び、のし有 | |
病気見舞お礼 | 快気祝、快気内祝、御見舞御礼 ※病気が全快した場合は快気祝・快気内祝、引き続き養生が必要な場合は御見舞御礼 | 紅白結び切り、のし有 | |
ご挨拶 | |||
中元・歳暮 | 御中元、御歳暮 | 紅白蝶結び、のし有 | |
年賀 | 御年賀、お年玉 | 紅白蝶結び、のし有 | |
送別 | 御餞別 | 紅白蝶結び、のし有 | |
葬儀・法事・仏事 | |||
通夜・葬儀 | 御供(黒白、黄白) ※金封の場合は御霊前、御仏前(仏式)、御香典(仏式) | 黒白結び切り、のし無 黄白結び切り、のし無 ※地方により異なります | |
法事 | 御供(黒白、黄白)、御仏前(仏式)(黒白、黄白) | 黒白結び切り、のし無 黄白結び切り、のし無 | |
お返し(引き出物) | 志(黒白、黄白) | 黒白結び切り、のし無 黄白結び切り、のし無 | |
お返し(香典返し) | 志(黒白、黄白)、七七忌志、満中陰志(黒白、黄白)、忌明志 ※地方により異なります | 黒白結び切り、のし無 黄白結び切り、のし無 ※地方により異なります | |
お見舞い | |||
病気見舞い | 御見舞 | 紅白結び切り、のし無 | |
災害見舞い | 御見舞、災害御見舞 | 紅白結び切り、のし無 | |
部屋見舞い | 御部屋御見舞 | 紅白蝶結び、のし有 |
贈り主の名前はどう書く?名書きのマナー
のし紙の水引の下の部分には贈り主の姓名を毛筆で書きます。
基本的にはフルネームで書きますが、目上の人から目下の人に送る場合は、姓だけのこともあります。
家族など親しい間柄の場合は、下の名前のみの場合もあります。
また、連名で書く場合、目上の人から順に書き入れます(一番右が一番目上)。会社名を添える場合は、個人名の右上に書き添えましょう。
なお、出産内祝いの場合は、生まれたお子様の名前をお披露目するという意味合いから、お子様の名前を書き入れます。読みがなも添えておくとよいでしょう。
内のしと外のしの違い
贈答品にのし紙をかける場合、包装紙の上、つまり、相手に見えるようにかける場合(外のし)と、のし紙をかけてから包装紙で包む場合(内のし)があります。
その使い分けについて特に定められているわけではありませんが、通常は、目的と贈り主がわかりやすい「外のし」、配送する場合は、のし紙が破れないように「内のし」、また、内祝いなど控えめにしたい場合は「内のし」にすることが多いようです。
表書きの注意点
表書き・名書きは毛筆で
「寸志」は慶事にも弔事にも使われる
慶事、弔事の表書きは通常異なりますが、稀に両方に使われるものがあります。
たとえば、「寸志」は、ちょっとしたお礼を渡すときに使います。ですから、通常は紅白蝶結びか略式の赤棒を用います。ですが、この「寸志」は、葬儀や法事の際にも使うことがあります。お葬式や法事をお手伝いしてくださった方へのお礼などです。この場合は、黒白または黄白の結び切りになります。
お祝い事とお悔み事を間違えてしまっては大変です。依頼する側も、される側も、双方しっかり確認することが大切です。
目上の方には失礼な表書き
「寸志」は、目上の方に渡すものに使っては失礼にあたります。表書きは「御礼」としましょう。
葬儀の際の表書きは宗教に注意
葬儀や法要に際し、「御香典」「御仏前」という表書きで金銭をお渡しする場合があります。ただし、これらは仏教のことばですので、神道やキリスト教など、仏教以外の宗教の場合は使いません。
通夜・葬儀で金銭をお渡しする場合、「御霊前」でしたら宗教を問いませんし、神道の場合は「玉串料」、キリスト教でしたら「お花料」を使うこともあります。
なお、「御仏前」は、忌が明けてから使います。忌明までの期間は、故人がこの世とあの世の中間にあり、四十九日が明けて仏のもとに至るという考え方からです。
終わりに
最近では、「ありがとう」「いつまでもお元気で」などカジュアルな表書きや、絵柄の入ったデザインのし紙など、自由な表現も増えてきました。
のし袋も、従来の形式にこだわらないスタイリッシュなデザインや布地を使ったもの、華やかな水引など、バリエーション豊富になってきました。
親しい相手に対してなら、時代に合わせて表現が自由になるのもよいことと思いますが、格式を重んじる場や相手に対しては、マナーにのっとった使い方をすることが求められます。
目的や相手によって様式が異なるため、迷うこともあるかもしれませんが、「のし紙」にこめられた意味を理解すれば、判断しやすいのではないかと思います。
店頭でのし紙をお願いする場合、お店の方が適切な様式ののし紙を選んで、表書きや名前を書き入れてくれる・・・というイメージをお持ちかもしれません。ですが最近は、百貨店でさえ、人手不足でアルバイトの方が大勢働いていて、中にはのし紙の慣習を習うことなく売り場に立つ、というケースも増えているようです。実際、百貨店の苦情の中には、のし紙の慶弔の間違いや、表書きをボールペンで書いたという事例などもあるといいます。
ですから、私たちは、販売員に知識がないことを覚悟して依頼する必要があります。
完全に包装される前に、のし紙は必ず確認して、納得がいけば包装してもらうようにしましょう。
<ご注意>
のし紙の様式や表書きについては、地方や宗教、宗派によって習慣が異なる場合があります。ご了承ください。
のし紙 のテンプレート一覧へ
結婚、出産、入学などのお祝いや内祝い(返礼)、葬儀や法事のお供え、お中元・お歳暮などを贈るとき、贈答品にはのし紙をかける習慣があります。
のし紙にはいくつか種類がありますが、大まかにいえば、一般的なお祝いには「紅白蝶結び」、結婚のお祝いには「紅白結び切り・水引10本」を用い、葬儀や法事の際のお供えには「黒白結び切り」または「黄白結び切り」を用います。
のし紙には、「御祝」「御供」といった贈り物の目的をあらわす表書きと、誰から贈られたものかがわかるよう、贈り主の名前を書き入れます。
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