エンジニアが辞めると会社にリスクが!?離職の理由や防止策を解説
最終更新日:2024年08月28日
技術職の離職には損失やリスクが伴う
技術職が離職してしまうと、会社にとって損失やリスクが発生します。具体的には以下のとおりです。
育成コストの未回収
従業員の育成コストが、未回収の状態で離職されるかもしれません。
このような状況は、会社にとって大きな損失といえます。育成のために支払ったコストだけではなく、売上を生み出していなかった期間についての損失もあるからです。
ただ、どの程度の未回収があるかを定量的に評価することは現実的ではありません。育成が利益にどの程度影響しているか、算出することは難しいからです。
ここでは、技術職のように育成コストのかかりやすい人材の離職は、金銭的な損失を受けやすいと認識してください。
競合他社への流出
優秀な人材が競合他社へと流出してしまうリスクがあります。
離職した結果、競争相手へ転職してしまうと、売上などに影響するかもしれません。市場での立ち位置が変化するリスクもあります。
基本的に、エンジニアのような技術職は今まで習得してきたスキルを武器としています。そのため、離職させてしまうと、その武器で追い詰められることになりかねません。
残された技術職の負荷増加
重要な人材が離職することで、残された技術職の負荷が増加するかもしれません。
例えば、システム開発のプロジェクトで離職者が出ると、その人の担当内容を他のプロジェクトメンバーがカバーする必要があります。
残された技術職に余裕があるならば、リスクは最小限に抑えられるでしょう。しかし、すでに逼迫している状態の場合、遅延などのリスクになりかねません。また、高い負荷が続くとさらなる離職者を出すなど、負のスパイラルに落ちる可能性もあります。
技術職が退職してしまう5つの理由
社内の技術職が退職してしまう主な理由をあげると以下のとおりです。
スキルアップの限界
技術職として、スキルアップの限界を感じた場合に退職する可能性があります。
たとえば、現在の環境で受注できるレベルの案件では、成長できないと認識した時です。
多くの技術職は、日頃のスキルアップに加えて案件を通じたスキルアップも心がけています。そのため、参画できる案件の難易度を重視しがちです。技術職のスキルが、会社として求める能力を超え過ぎてしまうと、退職してしまいます。
業務のミスマッチ
専門性の高い分野であるため、業務にミスマッチがあると退職する理由となります。自分自身のスキルを発揮できないと感じたならば、早々に退職するかもしれません。
たとえば、同じIT系の技術職でも、プログラミングが得意な人もいればネットワーク構築が得意な人もいます。このような得意分野を無視して、技術職という括りだけで仕事を任せてしまうと、ミスマッチが起きるでしょう。
結果、仕事がつまらないなどと感じ、退職を決断させてしまいます。
独立
スキルの高い技術職を中心に、独立して退職することがあります。独立については、入社時からの目標としている人もいるため、やむを得ない面もあります。
特に、近年はフリーランスとして働く技術職が増えています。独立して会社を立ち上げるのではなく、個人事業主として稼ぐ人が増えている世界です。スキルがあれば活躍できるため、目をつぶるしかない部分はあるでしょう。
処遇への不満
毎月の給料やボーナスなど、処遇についての不満があると、退職してしまう可能性があります。
生活に直結する部分であるため、スキルに見合った処遇でないと、退職を加速させることになりかねません。特に今はエンジニアは売り手市場です。より条件のよい会社に転職してしまうリスクは大いにあります。
好ましくない職場環境
職場環境がよくないと、技術職が退職してしまいます。たとえば、人間関係が悪い、コミュニケーションが円滑に取れない、あるいは長時間残業が続く、休日が少ないなどが原因で退職のリスクは高まります。
ただ、このような退職理由は、技術職に限った話ではありません。職場は1日のうち、長い時間を過ごす場所にあるため、人が定着するかどうかを大きく左右する要素です。
技術職の離職を防止するために管理職・人事担当者が取るべき5つの対策
技術職の離職を防止したいならば、管理職や人事担当者が積極的に行動しなければなりません。具体的に取るべき行動を5つ解説します。
強みを活かせる適切な人材配置
技術職の強みを活かせる人材配置が求められます。エンジニアは専門職であるため、強みを活かせる人材配置でなければ、モチベーションの低下などを引き起こしかねません。
なお、強みを活かした人材配置のためには、以下で解説する面談などを組み合わせることが大切です。管理職が日頃の働きぶりを評価し、人材配置することも重要ですが、本人の意見もふまえるとなお良いでしょう。
スキルに見合った評価や処遇
専門的な職種に見合った評価や処遇を設けることが大切です。たとえば、スキルの高さを評価し、給与や賞与に反映させたり、相応の職位や役割を与えることなどです。
その場合、評価指標は明らかにしておきましょう。技術職には「裏方」の立場もあるため、売上など目に見える数値以外でも指標を作り、評価することが大切です。
面談など意見を吸い上げる機会の用意
定期的に面談を実施するなどして、本人の意見を吸い上げることが大切です。管理職や人事部の考えと、本人の考えが異なっていることは多々あります。放置すると、離職の原因になりかねないため、コミュニケーションを取ることが大切です。
本人の意見を確認することで、働きやすい環境を提供できます。たとえば、経験してみたいプロジェクトへ参画させたり、家庭の事情に鑑みて残業を減らしたり在宅勤務(リモートワーク)を許可するなど柔軟に対応することが望まれます。
労働環境・働き方の見直し
会社全体として、労働環境や働き方の見直しに着手することが重要です。特に離職者が多いならば、環境面の問題が考えられます。
たとえば、会社全体として残業が多く、帰りにくい風土ができあがってしまっているのかもしれません。残業や休日出勤が当たり前になってしまうと、結果、心身ともに負担となり、退職へとつながってしまいます。
また、ハラスメントの発生なども会社として防がなければなりません。近年は法律でもハラスメントの対策が求められているため、何かしら問題が生じる前に、行動することが大切です。
スキルアップ支援など教育の強化
技術職がスキルアップできるように、教育などの支援を強化してみましょう。従業員がスキルアップすれば、会社として受注できる案件も増えるため、一石二鳥です。
教育の内容にもよりますが、個人に任せようとすると、レベルの高いものは受講費用が高額になりがちですし、教育が長期間におよぶものは業務の調整がつけにくく、断念せざるを得ない、ということにもなりかねません。しかし、会社としての支援があれば、金銭的な負担や業務への影響を意識せず教育を受けられます。
労務管理のテンプレート紹介
離職時のスムーズな引き継ぎに備えておこなうべき対策
技術職が離職することは避けられません。そのため、離職時のスムーズな引き継ぎに備えて、日頃からおこなうべき対策があります。
担当業務の詳細な把握
管理職は、引き継ぎを見据えて、日頃から詳細に把握しておきましょう。もし、把握していないと、引き継ぎが不十分になる可能性があります。
手順書作成など業務の明文化
エンジニアが作業するにあたっては「手順書」を作成するケースが多くあります。これに沿って作業することで、間違いがなくなったり他人でも作業したりできるからです。
基本的には、作業の正確性を高めるものですが、引き継ぎに備えて日頃から作成しておくと良いでしょう。これが用意されていることで、引き継ぎ時に作成する必要がなくなります。
ノウハウやナレッジのキャッチアップ
ノウハウやナレッジを溜め込んでいる場合があるため、これらをキャッチアップしておくことが大切です。
特に、エンジニアの業務は属人化している場合があり、退職するとすべてが失われる可能性があります。長期間にわたって同じエンジニアが対応している場合は、その人だけで知りうることがあるため、資料化してもらうなどの対応が必要です。
まとめ
技術職・エンジニアが辞めてしまうと、会社には損失やリスクが発生します。退職はやむを得ない事象ではありますが、離職の理由を理解して可能な限り防ぐことが大切です。解説した防止策を踏まえて、できることから取り組みしてみましょう。
なお、辞めてしまう場合は、残ったエンジニアへと引き継ぎしてもらう必要があります。引き継ぎに不足があると、トラブルの原因となるため、退職が決まってからではなく日頃から引き継ぎに備えた対策に取り組むことも重要です。
監修者情報
福川 郁(株式会社ZERO TALENT CMO)立命館大学在学中に人材ベンチャーを立ち上げ、事業をグロースさせる過程で500人のキャリアに携わる。 その後現職の株式会社ZERO TALENTへ入社。 既存の採用マーケットでは構想外であったキャリアの人材延べ1500人を上場企業の幹部候補生含めたハイキャリアにグレードアップを実現。 サービス設計からマーケティング戦略までを携わる。設立3年で会社をM&Aした後も、株主、代表からの強い要望により同社のマーケティング責任者として3000人のキャリアを応援し続けている。
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