建設現場で使える作業日報の書き方を解説【無料テンプレート付】
最終更新日:2024年09月02日
作業日報の概要
作業日報とは、日々の作業内容を報告するための書類です。上司や他の従業員に、当日おこなった業務と「ヒヤリハット」事例を報告し、進捗を共有したり、アドバイスを受けたりすることを目的とします。また自分自身でも一日の業務を振り返るため、日々の成長、作業効率の改善にも役立ちます。
作業日報にはさまざまな形式があり、業種・業態に適したものを選ぶことが一般的です。
たとえば、営業職と事務職では主な仕事内容が異なるため、最適な作業日報の形式も異なります。
記載項目について
作業日報には、当日おこなった作業内容を記します。
建設現場向けの作業日報を一例に挙げると、記載項目は次のとおりです。
●工事名
●現場名
●記入者名
●日付
●天気
●気温
●作業者氏名
●工種
●始業・終業時刻
●休憩時間
●作業時間
●時間外作業時間
●作業内容
●メモ
たとえば、以下の作業日報テンプレート(テンプレートBANK提供)なら、当日の業務内容をわかりやすく1枚のシートにまとめられます。
上司に口頭であれこれと説明しなくとも、作業日報を見せるだけで内容を報告できるでしょう。
作業日報の役割
作業日報の役割は、単なる「仕事の内容の記録」だけではありません。企業全体にメリットをもたらす、重要な役割を担います。
特に建設業界では、少子高齢化による「人手不足」や、それに伴う「長時間労働」が問題視されています。作業日報は、業界の課題解決にも役立ちます。
主なメリットは、次のとおりです。
1)作業現場における情報共有
作業日報は、現場でのコミュニケーションに役立ちます。
現場には協力会社を含め、さまざまなスタッフが出入りします。直接の報連相ができないタイミングがあったとしても、作業日報で紙面による情報共有が可能です。コミュニケーションが円滑になると伝達ミスから派生する労災事故発生リスクを低くすることができます。
2)生産性の向上
作業日報で報告した内容に、上司からアドバイスをもらうことで仕事の進め方を改善できます。
またスタッフ間で日報に記載している情報を共有することで、報連相にかかる時間を短縮可能です。
より短い時間で、より多くの作業をおこなう「生産性の向上」につながるでしょう。
3)トラブルの防止
建設現場でよくあるトラブルは、スケジュールの遅れです。
特に天候の影響を受けやすく、予定通りに工事が進まない場合もあります。顧客の信用を失いかねないため、工期遅れは避けなければなりません。
作業日報で上司と密に連携をとり、工期遅れをできるだけ抑えることが大切です。
4)労務管理(労働環境作り)
現場での生産性向上がうまくいけば、長時間労働の改善につながります。建設業界では、「週休2日制」や「有給休暇の取得」を実現できていない企業も少なくありません。
最近では、「3K(キツい・汚い・危険)」イメージを建設業に抱き、入職を避ける求職者もいます。労働環境が良くなるだけで競合企業との差別化ができ、求職者に対して自社を効果的にアピールできるでしょう。
5)人件費の最適化
作業内容に対して人員を割きすぎていたり、割り振りが偏っている場合には、作業日報の内容をもとに人員配置を最適化できます。無駄な人件費を抑え、コスト削減につながります。
また、あってはならないことですが「ダラダラと作業して、わざと残業代を請求する」などの職務怠慢を防ぐことも可能です。
作業日報の書き方・進め方
それでは、作業日報の書き方のポイントについてみていきましょう。
現場の基本情報・作業時間・作業内容などを記載
まずは、作業日報にある各項目を埋めます。
・工事名:携わっている工事の名称
・現場名:携わっている現場の名称
・記入者名
・日付:当日の日付
・天気・気温:当日の状況
・氏名:現場に携わった従業員名(協力会社を含む)
・作業時間:残業時間を除く作業開始・終了時刻
・休憩時間:休憩開始・終了時刻
・時間外:残業した場合の開始・終了時刻
・工種・作業内容:実施した作業
・備考:補足があれば記載
◎あまりにも早い時間に来ていないか等のチェックしましょう。有事の際に周囲の目がなく、死亡事故に繋がる場合があります。
・メモ:トラブルや問題、状況の詳細を記載
「氏名」には自社だけでなく、現場に携わった協力会社のスタッフ名も記載してください。就業規則で定められている業務時間外に仕事をした場合は、「時間外」に記載します。「工種」「作業内容」なども正確な情報を書きましょう。
特に有効活用できる項目が「メモ」です。上司と特別に相談したいことがあれば、記載してください。
たとえば作業の遅れを報告するために、作業が遅れている理由や、現在の現場状況などを詳しく補足します。上司には早めに内容をチェックしてもらい、今後の打ち手を考えましょう。
明日の作業内容と目標を設定
当日の振り返りを終えたら、次に明日の作業内容と目標を考えます。
上記のフォーマットでは、「備考」や「メモ」に明日以降におこなう作業内容や目標を記載してください。明日の天候や人員、当日までの進捗状況を踏まえて決めます。
もし、作業を進めるうえで「人員が足りない」「資材が届いていない」などの問題がある場合は、同じくメモ欄に記載しましょう。
ただし、緊急性のある問題は、作業日報ではなく電話や対面ですぐに上司に報告しなければなりません。
上司からのフィードバック
「明日の作業内容と目標」を書き終えたら、すぐに上司へ作業日報を提出してください。その後、上司からのフィードバックを受けます。
上司は、明日の作業内容や目標が適切かをチェックしてください。もしトラブルがある場合は、打ち手を指示します。その他にも細かな動きの指示や、応援時の連絡先、問題点に対するアドバイスなどを記載しましょう。
部下はフィードバックを受けたら、必要に応じて作業内容や目標を修正します。トラブル次第では、当日中に対応することになるかもしれません。
作業日報の準備方法
作業日報の主な準備方法ですが、ワードやエクセルで作成したテンプレートを使用する方法と、建築現場管理システム・アプリを使用する方法の2種類あります。
ワードやエクセルでテンプレートを作成
社内で統一して作業日報のテンプレートを作成する方法です。ワードやエクセルはほとんどの企業に導入されており、また従業員も使い慣れているため、操作方法を指導する必要もありません。
自社内でテンプレートをゼロから作成することも可能です。しかし、建設現場に必要な項目を考える知識や、ワード・エクセルを編集するスキルが必須となります。専門知識・スキル、両方を有する従業員が社内にいないこともあるはずです。
もし社内でテンレプート作成が難しい場合は、インターネット上で公開されている無料テンプレートの利用がおすすめです。これらのテンプレートを使うことで、知識・スキル関係なく、誰でも作業日報を作成できます。また豊富なテンプレートが用意されているため、自社に最適なものを選べるでしょう。
建設現場管理システム・アプリ
建設現場管理システム・アプリとは、業務内容をIT化するツールです。タブレットやスマートフォンを通して、外出先からも利用できます。
システムでは、たとえば、作業日報以外にも施工管理や見積もり管理、実行予算管理などさまざまな業務をカバーしている「AnyONE」などがあります。作業日報に特化した「もうけ太郎」などのアプリも便利です。
現場管理システム・アプリを導入すれば、業務の利便性は高まります。しかし、導入には初期費用などのコストがかかります。「作業日報だけを効率的に作成したい」場合にはそこまでの予算を確保できず、日報作成以外の機能まで使いこなせないかもしれません。
まずはワード・エクセルの無料テンプレートから使用してはいかがでしょうか。
コストを抑えられるだけでなく、テンプレートを自社の業務に合わせてカスタマイズできます。
カスタマイズは、持続的に取り組むことができ、適宜修正を加えられます。また、フォーマットはどこにしまってあるのかわからないという状態では取り組みが形骸化してしまう場合があります。必ず格納場所を従業員と共有しておくことが重要です。
まとめ
今回は、作業日報の概要や役割、書き方について解説しました。
作業日報は、単に作業を上司に報告するだけでなく、企業そのものの生産性向上や労働環境の改善にもつながります。
自社で負担なく準備するためには、ワード・エクセルのテンプレートを使う方法がおすすめです。
以下では、建設現場に特化した作業日報テンプレートを無料でダウンロードできます。
豊富な種類のフォーマットが用意されているため、自社に最適なものを選んではいかがでしょうか。
監修者情報
みのだ社会保険労務士事務所 代表 蓑田真吾(社会保険労務士)大学卒業後、鉄鋼関連の企業に総合職として就職し、その後医療機関人事労務部門に転職。約13年間人事労務部門で従業員約800名、新規採用者1,000名、退職者600名の労務、社会保険の相談対応にあたる。社労士資格取得後にみのだ社会保険労務士事務所を開設し、独立。東京都社会保険労務士会所属(登録番号 第13190545号)。
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