売れるPOPの作り方(8)言い換えのテクニック その2
最終更新日:2023年12月04日
しかし「言い換える」のは、実は数字だけではありません。もっと別の、さらに奥深いテクニックが用意されています。
今回はその「ヒミツのテクニック」を公開します(笑)。
プラスに言い換えるテクニック
こんな逸話があります。
ある2人の靴のセールスマンが、未開の地に赴任しました。そのとき見た景色は「誰も靴を履いていない裸足の人たちが歩いている」というものでした。
この景色を見て、1人のセールスマン【A】は
「ここはだめです。誰も靴を履いていません。靴は絶対に売れないです」と、本社へ報告しました。
そしてもう1人のセールスマン【B】は
「ここは凄いです!誰も靴を持っていません!売りたいだけ靴を売ることができます!早急に靴を送ってください!」と、本社へ連絡したのです。
あなたはこの話を聞いてどう思われましたか?
どちらのセールスマンに共感を覚えたでしょうか。
もう一つの例です。
今、コップに水が半分入っています。
あなたはどちらの言い方でこの水の量を伝えますか?
【A】半分しかコップに水が入っていません。
【B】半分も水がコップに入っています。
どちらも同じ事実。どちらも同じ景色です。でも、言い方や考え方で、受け取る側の気持ちは違ってきます。
おそらくこの2つの比較では、あなたは【B】に親近感を覚えたはずです。それは自然なことです。なぜなら人は「プラス」が好きだから。
同じ事実を伝えるのなら・・・
人は「マイナス」表現よりも「プラス」表現を好みます。これは非常に重要な事実です。ですから、ぜひ「プラスに言い換える」癖をつけていきましょう!
たとえば、こんな言い換え方
「マイナスをプラスに」と言われても、すぐにイメージできないかもしれませんね。
もう少しわかりやすく説明しましょう。
たとえば
「2週間の納期がかかります」
これをプラスに言い換えてみるとどうなるでしょうか?
【2週間の間、丁寧に充分な時間をかけてお届けします】
と、なります。
たとえば
「休日は1,000円割り増しです」
を、プラスに言い換えると?
【平日は1,000円割引です!(休日価格より)】
となります。
もうひとつ。
「商品はこの3つです」
を、プラスに言い換えると?
【厳選された3つの商品をご用意しました!】
となります。
いかがでしょうか。
単に事実を述べるよりも、よく聞こえるのではないでしょうか。
短所は言い方次第で長所になる
まだまだありますよ。短所は言い方次第で長所となることがあります。
× これは少し重過ぎます。
○ これは重量感溢れる壮厳さがあります。
× この店は古いですね。
○ この店には脈々と受け継がれた歴史と伝統があります。
× お値段は少し高いですが・・・
○ 価格にこだわらずに、理想を追い求めました。
× まだ世の中に知られていない作品です。
○ 今までの常識やイメージにとらわれない作品です。
× 小さな農家ですが・・・
○ 家族的なふれあいと手作りを大切にする農家です。
どうですか?難しくはないでしょう?
あなたならどう表現する?
それでは練習問題です!一度挑戦してみてください。
■大きさが不ぞろいの商品ができてしまいました。味は充分に美味しいのですが、見栄えが悪いのが難点。
こんな農作物を売りたいときのPOPのキャッチコピーを考えてみてください!
解答例です。
【それぞれの形に、それぞれの個性がギュッとつまっています】
マイナスポイントにもなりうる"不ぞろい"は"個性"に言い換えられました!そしてこのコピーにはオノマトペも使われていますね。
「ものは言いようですね」と、笑ってはいけません。そうです。本当に「ものは言いよう」なのです。あなたの作品や商品のちょっとしたポイントを、ぜひ「プラス」の表現に言い換えて、POPに書いてみてください!
きっとこれまでとは違った商品として、お客様のココロをつかむことでしょう。
執筆者情報
橘高総合広告研究所 代表 橘高唯史(中小企業診断士・フリーライター)大手百貨店系通信販売カタログのディレクター業務に20年携わり、そこで培った「売れる理由」を体系化して2017年にコンサルタントとして独立。現在は公的機関の経営相談員やセミナー講師を務める一方、ライターとして執筆活動も行なっている。
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