契約書の割印とは?契印とは違う?必要な理由と押印の方法

最終更新日:2024年09月14日

契約書の割印とは?契印とは違う?必要な理由と押印の方法
企業間や対個人の取引で契約を締結する際に、割印を用いるケースがあります。「割印はどのような場面で使用するべきなのか」「割印と契印はどのような違いがあるのか」といった疑問をお持ちの方も多いのではないでしょうか?

本記事では、契約書で割印を押す目的や割印を押す際のルールなどについて詳しく紹介しています。また、割印以外にビジネス上で用いられる契印・契約印・捨印などの各種押印の特徴についても紹介します。ぜひ参考にしてください。
【目次】
  • 割印とは?
  • 契約書に割印を押す目的
  • 契約書に割印を押す際のルールとは?
    • 割印を押す人
    • 割印を押す位置
    • 使用する印鑑の種類
  • 契約書に押す割印と契印の違いとは?
  • 割印・契印以外の押印の種類
    • 契約印
    • 捨印
    • 消印
    • 訂正印
    • 止印
  • 契約書に割印を押す際の印章のルール
    • 割印用の縦長の印章
    • 篆書体や古印体を用いる
  • 契約書に割印をきれいに押すコツ
    • 印鑑マットを使用する
    • 複数枚にまたがる契約書の場合はページを開いて押す
  • 契約書の割印に関するQ&A
    • 割印をうまく押せなかった時は?
    • 割印を忘れてしまった場合はどうする?
  • まとめ
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割印とは?

割印とは、契約当事者それぞれが受け取る契約書にまたがって押印することです。

企業間や個人同士などで契約を締結する際は、契約当事者の人数分の契約書を用意するケースが多く、一つの印鑑をそれぞれの契約書にまたがる形で押印します。
また、領収書とその控えのように、同一内容を示す際にもこの割印は用いられます。

契約書に割印を押す目的

割印は、2部以上の契約書を用意する際に、それぞれの契約書が作成された時期や内容などを含めて同一のものであることを証明する目的で押印されます。
「後から契約内容を勝手に変更されて、トラブルになってしまう」そんなことにならないために、割印は重要な役目を果たすことになります。

割印自体に法的効力はありませんが、お互いが保管している契約書の内容に相違があった場合に、割印があることによってどちらか一方の改ざんが明らかとなります。

そのため、不動産の売買契約などで契約書を作成する場合は、不正な改ざんや複製を防止するために割印を押すケースが多いです。

契約書に割印を押す際のルールとは?

割印の押し方などについて法的なルールはありません。ただし、慣例的に正しいとされる押し方はあります。具体的には次の3つのポイントを抑えておくのがいいでしょう。

  • 割印を押す人
  • 位置
  • 使用する印鑑の種類

それぞれ簡単に紹介します。

割印を押す人

契約書に割印を押す際は、契約当事者のいずれか一方ではなく、契約当事者の全員がそれぞれの印鑑を割印として使用するのが一般的です。関係者全員が割印を押印することによって、文書が真正かつ改ざんされたものでないと確認できます。

割印を押す位置

割印は、通常は契約書の上部の余白に押印します。契約当事者が3名以上の複数人存在する場合や、上部の余白に当事者分の割印を押せるスペースがない場合は、文書の横に割印するケースもあります。

複数存在する契約書が同一であることを証明するために、それぞれの契約書をずらして重ね、印鑑が2つに分かれる形で押されます。これにより、ページが意図的に変更されることを防ぎます。また、契約書が3部以上存在する場合は、2部ごとに割印を押印して同一の文書であることを証明します。縦長の印章が用意できる場合は、3部まとめて割印を押印するケースもあります。

契約書への割印の押し方(2部)
契約書への割印の押し方(3部)

使用する印鑑の種類

割印に使用する印鑑の種類は、通常、当事者の実印や会社の代表者印が好ましいとされています。これにより、押印者が正式な権限を持っていることが示されます。実印や代表者印は信頼性が高く、文書の真正性を保証する役割も持ちます。

ただし、割印自体に法的効力はないため、私的な文書など認印が使われるケースもありますが、企業間などで割印を使用するケースでは、実際に契約書に押印した印鑑(契約印)と同様の印鑑を割印時に使用することが実務では一般的です(ただし、契約書が3部以上になる場合等はこの限りではありません)。

契約書に押す割印と契印の違いとは?

契約書に押す印鑑として、割印とよく似たものに「契印」も存在します。まず、契印は、押印の仕方が「割印」とは異なります。

次に、契印は、一部の契約書が複数のページにまたがる場合に、ページの抜き取りや差し替えを防ぐために、ページごとの境界部分に押印されます。当事者それぞれの契約書が同一のものであることを証明する割印と併用して押印されるケースもあります。

割印・契印以外の押印の種類

契約書などに押印される印鑑は、これまで紹介した割印や契印以外にも次のようなものが存在します。

  • 契約印
  • 捨印
  • 消印
  • 訂正印
  • 止印

それぞれ目的や効果などについて簡単に紹介します。

契約印

契約印は、契約書や合意書などの正式な文書に押される印鑑です。契約当事者が署名とともに押印することで、契約内容に同意し、正式に成立したことを示します。
なお、よく似た名称である「契印」は、文書の改ざんや複製を防止する目的で押印されるものであり、契約印とは効力や目的が異なります。

捨印

捨印は、将来の軽微な訂正を許可するために文書の余白にあらかじめ押しておく印鑑です。通常、修正内容に同意するための印鑑が不要となり、迅速な処理が可能となります。ただし、捨印によって認められる修正は、一般的には契約内容などについてではなく、誤字脱字など軽微な修正に限られます。
なお、これはあくまで一般的な使用方法であり、法律上の決まりはありません。捨印は相手方に文書の訂正を許可することに等しい行為であることから、捨印を求められた場合誤字脱字以外の修正を行わないことを明確にしておく必要がありますのでご注意ください。

消印

消印は、郵便物の切手や収入印紙が再利用されないようにするために押される印です。その文書と印紙の彩紋の両方にかかるようにはっきりと押します。なお、消印は、当事者双方で押す必要はありません。
契約書に収入印紙を貼付した場合、消印を行うことが印紙税の納付条件になりますのでご注意ください(印紙税法第8条)。

訂正印

訂正印は、文書の内容を訂正した際に、その訂正部分が正式なものであることを示すために押される印鑑です。当事者全員が訂正箇所に印を押すことで、全員が訂正に同意したことが確認されます。

止印

止印は、文書の最後に押される印鑑で、内容がそこで終了することを示します。通常、ページの終わりや文書の終端に押され、文書の内容が改ざんされないようにします。

契約書に割印を押す際の印章のルール

契約書に割印を押す際に使用する印章には、法的なルールなどは特にありませんが、一般的に割印に推奨される印章は次の通りです。

  • 割印用の縦長の印章
  • 篆書体や古印体を用いる

それぞれ簡単に紹介します。

割印用の縦長の印章

割印として用いる印章は、割印用の縦長の印章がおすすめです。一般的には、通常の書類に押印する実印や会社印などをそのまま割印として使いますが、3部以上契約書が存在し、まとめて割印を押すシーンなどでは12×30mmなどの縦長の印章が便利です。

篆書体や古印体を用いる

割印として用いる印章は、篆書体や古印体がおすすめです。これらの書体は、複雑で偽造しにくく、文書の改ざんや複製を防ぐという割印の目的に合致しています。また、伝統的で権威ある印象を与えるため、公式文書や契約書において信頼性を高める効果も期待できるでしょう。

契約書に割印をきれいに押すコツ

契約書に割印をきれいに押すために、次の2つのコツをおさえておきましょう。

  • 印鑑マットを使用する
  • 複数枚にまたがる契約書の場合はページを開いて押す

それぞれ簡単に紹介します。

印鑑マットを使用する

印鑑マットを使用すると、印鑑の押印面が均一になり、きれいに押すことができます。マットは柔らかく、適度な弾力があるため、紙がしっかりと押されてインクが均一に広がります。これにより、割印がかすれず、鮮明で見栄えの良い印影を得られるでしょう。特に重要な契約書や公式文書において、割印の見栄えは信頼性にも関わるため、印鑑マットの使用が推奨されます。

複数枚にまたがる契約書の場合はページを開いて押す

複数枚にまたがる契約書の場合、紙が分厚くなるため、通常通りに重ね合わせて押印すると下に重ねた契約書に朱肉がつかない恐れがあります。

その場合は、2部の契約書それぞれの1枚目のページを開き、重ね合わせて押印すると綺麗に割印を残せます。

契約書の割印に関するQ&A

最後に、契約書の割印に関してよくある質問をまとめます。

割印をうまく押せなかった時は?

割印をうまく押せなかった場合は、失敗したものはそのままにして、別の箇所に改めて割印を押しましょう。同じ箇所に重ねて複数回押印するのは、不正な改ざんが疑われる原因となります。また、失敗した割印を二重線で消したり、訂正印を押したりするなどの処置も不要です。

割印を忘れてしまった場合はどうする?

契約時に割印に適した印鑑を用意できなかった場合は、あとから割印を押させてもらうように相談しましょう。契約当事者の一方が割印をしていないと、一方の不正な改ざんなどを防ぐことができず、契約上不利になる可能性があります。また、あとから割印する場合は、契約書の各項目に変更がないかよく確認してください。

まとめ

本記事では、契約書の割印の目的や適切な押印方法などについて解説しました。割印自体に法的効力はありませんが、契約書の不正な改ざんや複製を防ぐうえで割印は非常に重要な役割を果たします。
なお、電子契約の場合は割印も契印も押す必要がありませんし、製本や郵送の手間もかかりません。ただし会社の方針や契約相手の意向により、書面で契約書を締結する機会もまだまだあるでしょう。そのような場合は、適切に契印や割印を用いて、公正公平な契約を実現してください。

監修者情報

エニィタイム行政書士事務所 代表 中村 充(行政書士)
早稲田大学商学部卒業後大手通信会社に入社、法人営業や法務業務に携わる。2009年に行政書士資格を取得し、2017年、会社設立及び契約書作成に特化した事務所を開業。弁護士・司法書士・税理士・社会保険労務士等各種専門家との連携体制を構築し、企業活動のバックオフィス業務すべてのことをワンストップで対応できることも強み。
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