退職証明書・離職票とは?概要や記載事項を解説

最終更新日:2024年08月28日

退職証明書・離職票とは?概要や記載事項を解説
従業員が会社を辞める際に、会社はいろいろな手続きをしなければなりませんが、その中のひとつに、従業員から依頼されて、従業員が会社を退職したことを証明する書類を発行することがあります。その書類のことを退職証明書といいます。
退職証明書が必要になる場面はいくつかありますが、会社は従業員から依頼されたら、速やかに発行する必要があります。また、退職証明書に似たものとして、離職証明書や離職票がありますが、それぞれの内容および違いについて解説します。
【目次】
  • 退職証明書とは
  • 退職証明書・離職証明書・離職票の違いとは?
    • 退職証明書と離職票の違い
    • 退職証明書と在職証明書の違い
    • 退職証明書の記載項目と書き方
    • 退職証明書を再発行するには?
    • 退職証明書を再発行しない場合は罰則がある?
  • 退職する際に会社が行うべき手続きとは?
    • 会社から退職者に渡す書類
  • 離職票とは?
    • 離職票と離職証明書の違い
    • 離職票の発行の流れ
    • 離職証明書に記載する項目
    • 離職票の再発行
    • 離職票を再発行しない場合は罰則がある?
  • よくある質問
    • 退職証明書はどこでもらえますか?
    • 退職証明書は自分で作成できますか?
    • 退職証明書はいつもらえますか?
  • まとめ
無料で6,000以上の
テンプレートをDLするなら!

>会員の方はこちらからログイン

退職証明書とは

退職証明書とは、対象となる従業員が勤務する会社を確かに退職したことを証明する書類のことです。退職証明書は退職者全員に発行するわけではなく、従業員から依頼があったときのみに発行すればよいものです。

退職証明書が必要になる場面としては、従業員が転職する際に、転職先の会社が退職前の会社を確かに辞めていることを確認するときです。また、転職者が提出した履歴書や職務経歴書の内容が正しいか確認する意味もあります。

退職証明書・離職証明書・離職票の違いとは?

退職証明書と名称が似たものとして、離職証明書と離職票があります。退職証明書と離職証明書・離職票を比較しながら、それぞれの違いをみてみましょう。

用途を比較しますと、退職証明書は従業員が退職したことを証明する書類であり、離職証明書は離職票を発行するためにハローワークへ提出する書類、離職票は退職者が失業給付を受給するための手続きに必要となる書類になります。

発行元と提出先にも違いがあります。退職証明書は会社が発行して退職者に渡しますが、離職証明書は会社が発行してハローワークへ提出するものです。また、離職票はハローワークが発行して会社が受け取り退職者に渡します。

ちなみに離職証明書と離職票はともに公文書であり、正式名称はそれぞれ「雇用保険被保険者離職証明書」「雇用保険被保険者離職票」となります。なお、退職証明書は公文書ではありません。

離職証明書は3枚綴りの複写式の用紙になっているため、ハローワークのサイトからダウンロードすることができず、ハローワークの窓口まで取りに行くか、電子申請をする必要があります。なお、用紙を郵送してくれるハローワークもありますが、その場合は切手を貼った返信用封筒を送って依頼しましょう。

また、離職証明書には「本人の署名」欄があるため、離職証明書の用紙を早めに入手して、従業員から依頼を受けたらすぐに対応できるようにしておいてください。

退職証明書と離職票の違い

退職証明書は、当該従業員が確かに会社を退職したことを証明する書類であるのに対して、離職票は当該退職者が、失業給付を受給するための手続きに必要となる書類です。

退職証明書と離職票はともに、従業員あるいは退職者から依頼されたときのみ会社が対応すれば問題ありません。ただし、退職者の離職日時点の年齢が59歳以上の場合、本人の希望にかかわらず離職票を発行しなければなりません。

退職証明書は会社が発行して退職者へ渡すのに対して、離職票は会社が離職証明書を作成してハローワークへ提出し、それに基づいてハローワークが作成して会社へ発行し、会社が退職者へ渡す手順になります。

離職票を入手する場合、会社は当該従業員が被保険者でなくなった日の翌日から10日以内に、事業所を管轄するハローワークへ「雇用保険被保険者資格喪失届」と「雇用保険被保険者離職証明書」を提出しなければなりません。一方、退職証明書については、退職から2年以内に退職者が依頼をしなければ、会社は発行の義務を負いません。

離職票は、会社が期限までに離職証明書の提出などをしなかったり、あるいは従業員から依頼されても手続きを拒んだりした場合、雇用保険法施行規則第7条に違反し、罰金が科されます。これに対して退職証明書は、従業員からの発行依頼を拒否すると、労働基準法第22条1項に抵触することになり、やはり罰金が科されことになります。

出典:
雇用保険法施行規則(昭和五十年労働省令第三号)
労働基準法(昭和二十二年法律第四十九号)

退職証明書と在職証明書の違い

退職証明書は当該従業員が確かに会社を退職したことを証明する書類であるのに対し、在職証明書は当該従業員が会社に在籍している、あるいは在籍していたことを証明する書類になります。

退職証明書は従業員から依頼を受けたら、発行することについて会社は法的義務を負うことになります。一方、在職証明書は法的義務を負うことはありません。しかし、発行を拒否すると、従業員のモチベーションが下がり、会社のイメージが悪くなるので、すみやかに発行した方がよいでしょう。

退職証明書と在職証明書の記載内容は、勤務した期間や業務内容、所属部署、給与などで、ほぼ同じです。

退職証明書と在職証明書は、決まった書式があるわけではないので、インターネット上の無料のテンプレートを使用してもかまいません。ただし、提出先に指定された書式がある場合は、その書式を使用してください。

退職証明書の記載項目と書き方

退職証明書に決まった書式はありませんが、一般的な記載内容と書式は以下のようになります。

1.書類の名前
A4の用紙を縦向き・横書きにして、一番上の行の中央に、大きなフォントで「退職証明書」と記載してください。

2.証明年月日
書類の名前の次の行に右寄せで(または証明者情報の上に)、退職証明書を発行した年月日を記載してください。この年月日によって、いつの時点で証明したか明確になります。なお、証明内容に年月日が複数記載される場合は、和暦・西暦のどちらかに統一してください。

3.退職者の氏名
証明年月日の次の行に左寄せで、退職した従業員の氏名を記載してください。氏名の漢字の間違いがないように、十分注意してください。

4.証明内容
退職者の氏名の下の行に証明内容を記載しますが、冒頭に「下記の通り、貴殿が当社を退職したことを証明します」あるいは「下記の事由により、あなたは当社を〇年〇月〇日に退職したことを証明します」などと記載してください。

5.従業員が希望する記載項目
退職証明書の記載項目は、従業員が希望した項目のみ記載します。従業員から退職証明書の発行の依頼があったら、何を記載して欲しいか確認してください。口頭では間違える恐れがあるので、書面に記載項目を列挙して丸を付けてもらうと間違いを防ぐことができます。

退職する従業員が希望する記載項目の例は、次の通りです。

・勤務期間(○年○月○日~○年○月○日)
・業務の種類
・事業における地位
・離職前の給与額
・退職事由(自己都合、定年、契約期間満了、勧奨退職、解雇など)

6.事業所住所・事業所名・事業主名
証明内容の下の行に右寄せで、事業所住所・事業所名・事業主名を記載してください。これは誰が証明したかを明確にするために必要です。また、退職者本人が作成したと疑われないためにも、会社印を押すとよいでしょう。

退職・辞職のテンプレート紹介
退職証明書

退職証明書

従業員が退職した事実を会社(雇用主)が証明する書類の雛形です。転職先や、国民健康保険・国民年金の手続きで退職の証明が必要になった場合などに使用します。
労働基準法(第22条)では、労働者が退職時に、使用期間、業務の種類、その事業における地位、賃金又は退職の事由等について証明書を請求した場合、遅滞なく交付しなければならない、また、「労働者の請求しない事項を記入してはならない。」としています。
本テンプレートには、証明項目として、使用期間、職務内容、退職年月日、最終役職、最終月収(年収)、退職理由を設けています。
なお、本書は事実を証明する書類ですので、「使用者職氏名」には社印または代表者印を押すことが望ましいです。

退職証明書を再発行するには?

退職者が発行された退職証明書を紛失あるいは破損した場合に、退職者は改めて会社へ退職証明書の再発行を依頼することができます。

一方、会社は退職者の退職から2年間は、再発行の依頼に応じなければなりません。

退職証明書を再発行しない場合は罰則がある?

退職証明書の発行は、労働基準法第22条1項で規定されている通り会社の義務になっています。正当な理由なく退職証明書を発行しない場合は、労働基準法第120条1項で規定されている通り30万円以下の罰金が科されます。

出典:労働基準法(昭和二十二年法律第四十九号)

退職する際に会社が行うべき手続きとは?

従業員が退職する際に会社が行うべき手続きとしては、退職証明書の発行の他に次のようなものがあります。

1.離職証明書の提出
離職証明書は3枚綴りの複写式の用紙になっているため、ハローワークのサイトからダウンロードすることができません。ハローワークの窓口まで取りに行く必要があり、記入した上で提出することになります(返信用封筒を送付したうえで郵送してもらえる場合もあります)。
また、電子申請で提出することも可能です。

離職証明書の1枚目は事業主控えになっていて、2枚目はハローワークへの提出用、3枚目は退職者へ渡す「離職票-2」になります。離職証明書は3枚まとめて提出し、手続きが完了しますと、1枚目の事業主控えが返送されてきます。

会社は当該従業員が被保険者でなくなった日の翌日から10日以内に、事業所を管轄するハローワークへ「雇用保険被保険者離職証明書」と「雇用保険被保険者資格喪失届」を提出しなければなりません。

2.雇用保険被保険者資格喪失届の提出
ハローワークへ離職票の発行を依頼する際に、「雇用保険被保険者離職証明書」と一緒に「雇用保険被保険者資格喪失届」も提出します。

雇用保険被保険者資格喪失届には、喪失原因を記載する欄がありますが、離職票の離職区分の内容と齟齬がないように気をつけてください。

雇用保険被保険者資格喪失届の喪失原因の区分は、以下の通りです。

i )離職以外の理由(在籍出向するが出向先で被保険者になる場合、死亡した等)
ii )iii )以外の離職(自己都合退職、定年退職、天災による倒産など)
iii )事業主の都合による退職(解雇、退職勧奨による退職など)

雇用保険被保険者資格喪失届には、離職票の交付希望の有無を記載する欄があります。従業員が離職票を希望する場合は、「1 有」を選択してください。

3.被保険者資格喪失届の提出
従業員が退職によって健康保険や厚生年金保険の資格を失った場合は、会社は従業員の退職から5日以内に、管轄の年金事務所へ「被保険者資格喪失届」を提出しなければなりません。

被保険者資格喪失届には、資格喪失年月日を記入する欄がありますが、この欄には退職日を記入するのではなく、退職日の翌日の年月日を記入してください。

退職日までは社会保険の資格があり、その翌日に資格が喪失します。退職日は、「喪失原因」欄の「4.退職等」の右横の「○年○月○日退職等」に記入してください。

なお、全国健康保険協会管掌健康保険(略して「協会けんぽ」という)に加入している会社は、被保険者資格喪失届を提出する際に、当該従業員及びその被扶養者の健康保険証を回収して、一緒に提出してください。

当該従業員の最終出社日に必ず回収する必要がありますが、回収できない場合には「健康保険被保険者証回収不能届」を提出してください。協会けんぽではなく、各企業の健康保険組合に加入している場合は、その健康保険組合の規定に従ってください。

4.住民税の手続き
会社が給与から住民税を特別徴収している従業員に対しては、住民税の手続きが必要ですが、退職する月によって手続きが異なるので注意してください。

そもそも住民税は、前年の1月1日~12月31日の所得を基に計算して、翌年の6月から1年かけて支払う仕組みになっています。

1~5月に退職する従業員は、残りの住民税を最後の給与か退職金から全額引き落としします。6~12月に退職する従業員は、次のいずれかの方法を選択します。

・最後の給与あるいは退職金から全額引き落としにする
・普通徴収に切り替えて、自宅に送られてくる納付書で退職者本人が支払う
・転職先の会社で特別徴収にして給与から引き落としにする

なお、退職者が転職先で特別徴収を希望する場合は、「給与支払報告・特別徴収に係る給与所得者異動届出」を転職先へ送付して、転職先から市区町村へ提出してもらってください。

5.所得税の手続き
会社は従業員の給与から所得税を、源泉徴収という形で引き落としています。従業員が退職すると、会社は当該従業員が退職する年に納税した所得税額が記載された「源泉徴収票」を発行しなければなりません。

源泉徴収票には、所得税のほかに退職する年の1月1日から退職日までに支払った給与と賞与、控除した社会保険料などが記載されています。
給与年度(1月~12月)の途中で退職した場合には、年末調整はおこないませんので、「年調未済」と記載してください。

源泉徴収票は、退職後1ヶ月以内に従業員へ発行する義務があり、違反すると罰則が科されることになります。

6.社内における手続き
従業員の退職にあたり、会社から貸与している備品の回収、入退室用のIDの削除、メールアドレスの削除、従業員名簿の更新などの手続きが必要になります。

退職者のマイナンバーが書かれた書類は、不要になったらすぐに廃棄ですが、法的に保管期間が定められた書類もあるので、廃棄には注意が必要です。たとえば、源泉徴収票や扶養控除等申告書の保管期間は7年、社会保険関係の書類は2年と定められています。

これらの手続きを忘れるとあとで面倒になるので、手続き一覧表を作成して完了したものから消し込んでいくとよいでしょう。

会社から退職者に渡す書類

従業員が退職する場合に、会社が退職者に渡す書類には次のようなものがあります。

1.雇用保険の関係
新しく従業員が入社すると雇用保険に加入しますが、その際に雇用保険被保険者証が発行されます。その雇用保険被保険者証を会社が保管している場合は、退職時に従業員へ返却してください。
  
また、退職する従業員が、ハローワークから失業給付を受けるときに必要な離職票を希望する場合は、会社がハローワークから離職票を取り寄せて当該従業員へ渡すことになります。なお、当該従業員が退職時に59歳以上であれば、必ず渡さなければなりません。

出典:
雇用保険の手続きはきちんとなされていますか? ~被保険者記録に誤りがないことを確認するために~|厚生労働省 都道府県労働局 公共職業安定所(ハローワーク)
事業主の行う雇用保険の手続き|厚生労働省

2.健康保険の関係
従業員が退職後に国民健康保険に加入する予定がある場合、当該従業員から希望があれば、会社は協会けんぽあるいは健康保険組合に申請して、「健康保険資格喪失証明書」を交付してもらい、当該従業員へ渡してください。
  
国民健康保険に加入するためには、健康保険被保険者資格を喪失した日を証明する書類が必要になるので、健康保険資格喪失証明書を提出することになります。

出典:
国民健康保険等に加入するため、健康保険の資格喪失証明等が必要になったとき|日本年金機構
【国民年金】加入・喪失・変更 必要書類リスト|厚生労働省

3.住民税の関係
退職する従業員の再就職先が決まっている場合は、当該従業員に「特別徴収に係る給与所得者異動届出書」を渡します。転職先の会社から書類を提出することで、特別徴収(給与からの天引き)を継続することができます。
ただし、提出期限があるので、早く渡すようにしてください。再就職先が決まっていない場合は、退職者の居住地の市区町村へ提出してください。

4.所得税の関係
退職する従業員に、退職する年の1月1日から退職日までに支払った給与と賞与や所得税額などが記載された「源泉徴収票」を渡してください。退職者の再就職先で、年末調整や確定申告を行うときに使います。源泉徴収票は、退職した日から1ヶ月以内に発行しなければなりません。

5.その他
退職する従業員から希望があれば、「退職証明書」を発行してください。

離職票とは?

離職票とは、退職した従業員がハローワークで求職の申し込みをするときや、失業給付の受給の申し込みをするときに必要となる書類です。正式名称は「雇用保険被保険者離職票」といいます。
退職者の次の就職先が決まっている場合、あるいは開業が決まっている場合には、離職票の発行は必要ありません。あくまでも、就職先が決まらず収入が見込めない場合に失業給付を申し込むために発行されるものです。

離職票は、退職する従業員が離職票を希望する場合に発行するものであり、退職者が希望しなければ発行する必要はありません。ただし、退職者が退職する時点で59歳以上の場合は、本人の希望にかかわらず離職票を発行しなければなりません。

出典:
第5 被保険者についての諸手続き|厚生労働省
雇用保険の具体的な手続き|ハローワークインターネットサービス
第10 離職票の交付|厚生労働省

離職票と離職証明書の違い

離職票と離職証明書は、下記のような違いがあります。

・離職証明書
会社が発行する
会社がハローワークに離職票の発行を依頼するために必要

・離職票
会社からの申請を受けてハローワークが発行する
退職者が失業給付の受給手続きを行うために必要

離職証明書は離職票の発行のために、会社が発行する書類です。一方、離職票は会社が発行するのではなく、会社がハローワークへ申請して、ハローワークが発行した離職票を会社が従業員へ渡す流れになります。

離職票の発行申請のためには、会社がハローワークに離職証明書を提出しなければなりません。

なお、会社がハローワークへ提出する離職証明書の3枚目が、従業員へ渡される「離職票-2」になります。

離職票の発行の流れ

離職票は、退職する従業員の希望があった場合に発行する書類です。そのため、離職票の発行の手順としては、まず退職する従業員が離職票を希望するかを確認することから始めます。そして、離職票は会社ではなくハローワークが発行するので、ハローワークへ発行の申し込みをして離職票を入手する流れになります。

出典:雇用保険関係手続き 電子申請のご案内|厚生労働省職業安定局雇用保険課 都道府県労働局・ハローワーク

1.離職者に離職票が必要か確認する

会社は退職する従業員が、離職票の発行を希望するかどうか確認してください。当該従業員が希望する場合は、会社は離職票を入手して渡さなければなりません。

退職者が退職後の再就職先が決まっている場合は、失業給付の申し込みはできないので、離職票を発行する必要はありません。

ただし、従業員の退職時の年齢が59歳以上の場合は、本人の希望の有無にかかわらず離職票を発行しなければなりません。

退職者から発行の希望がなく、離職票を発行しなかった場合でも、後日改めて退職者から発行の依頼があったら、離職票を発行しなければなりません。

2.ハローワークに離職証明書、雇用保険被保険者資格取得喪失届を提出する

退職する従業員から離職票の発行を依頼されたら、会社は当該従業員が被保険者でなくなった日の翌日から10日以内に、事業所を管轄するハローワークへ「雇用保険被保険者離職証明書」と「雇用保険被保険者資格喪失届」を提出します。

離職証明書には、退職者する本人の署名が必要になります。離職証明書は早めに用意して、退職者の最終出社日までに署名をもらうようにしてください。

雇用保険被保険者資格喪失届は、退職者が雇用保険から脱退すなわち資格喪失した際に提出する書類です。

なお、離職票を希望しない場合には離職証明書の提出は不要ですが、雇用保険被保険者資格喪失届は離職票を希望しない場合でも、ハローワークへ提出しなければなりません。

3.ハローワークから離職票をもらう

会社が離職証明書と雇用保険被保険者資格喪失届を提出すると、ハローワークから「離職票-1」と「離職票-2」が発行されます。

離職票-1はハローワークが作成する書類で、失業給付が支給されるときの退職者の情報が記載されています。離職票-2は複写3枚綴りの離職証明書の3枚目で、離職理由や給与などが記載されています。

離職票と一緒に「雇用保険被保険者資格喪失確認通知書」と「離職証明書」の1枚目である事業主控えも、会社の保管用に発行されます。書類の名前が似ているので、従業員へ渡す書類と会社の保管用を間違えないようにしてください。

出典:雇用保険の具体的な手続き|ハローワークインターネットサービス

4.退職者に離職票を送付する

ハローワークから会社へ「離職票-1」と「離職票-2」が送られてきたら、退職者にすみやかに郵送などで送ってください。退職者は、失業給付などの申し込み手続きをするために離職票が必要となるので、早めに送付しましょう。

出典:第10 離職票の交付|厚生労働省

離職証明書に記載する項目

離職証明書は、退職者へ渡す「離職票-2」の複写元になりますが、各項目は次のようになります。

1.雇用保険被保険者番号
退職する従業員の雇用保険被保険者証に記載されている、退職者の固有番号です。

2.雇用保険事業所番号
雇用保険事業所設置届事業主控えに記載されている事業所の番号です。

3.従業員の氏名
対象となる従業員の氏名を記入します。

4.離職年月日
離職年月日は退職した日を記入します。

5.事業所名・住所・電話番号・事業主氏名
事業所名とその住所、電話番号、事業主氏名をそれぞれ記入します。

6.離職者の住所・電話番号
退職者の住所と電話番号を記入します。

7.離職理由
離職理由欄の当てはまる項目にチェックを入れます。なお、離職理由は失業給付の支給日数に影響しますので、正確に事実を記入してください。

8.被保険者期間算定対象期間
退職日からさかのぼって1ヶ月ずつ記入します。原則24ヶ月分を記載しますが、賃金支払基礎日数が11日以上の月が12ヶ月以上あれば、それ以前の月は省略しても構いません。

9.賃金支払基礎日数
被保険者期間算定対象期間の、それぞれの賃金支払の基礎になった日数を記入します。この日数には、有給休暇や休業手当の対象日も含めます。逆に、賃金が支払われない産休・育休や介護休業の対象日は含めません

10.賃金支払対象期間
退職日直前の賃金の締め日の翌日から退職日までを記入します。次に、その前の期間についてもさかのぼって記入します。原則24ヶ月分記入しますが、基礎日数が11日以上の月が6ヶ月以上あれば、それ以前は省略してもかまいません。

11.基礎日数
賃金支払対象期間のそれぞれ期間の賃金支払の基礎になった日数を記入します。この日数には、有給休暇や休業手当の対象日も含めます。

12.賃金
月給はA欄に、日給はB欄に記入します。毎月固定で支払われる役職手当や家族手当などは、A欄に記入します。A欄とB欄の両方に記入がある場合は、合計金額を計欄に記入します。記載がない欄は斜線を引きます。なお、退職日直前の賃金の締め日の翌日から退職日までの給与計算が未処理の場合は、「給与未計算」などと記載してください。

13.備考
未払い賃金や休業手当などがある場合に、原則退職日以前6ヶ月分を記入します。

14.離職者本人の判断
事業主が記載した離職理由に対して、退職者本人は異議があるかどうかをチェックします。

15.離職者の署名
退職者本人が内容を確認して署名します。

出典:離職証明書の書き方 (基礎日数・賃金額)|厚生労働省

離職票の再発行

退職者が離職票を紛失あるいは廃棄した場合は、再発行することができます。再発行する場合、次の2通りの方法があります。

1.退職者が働いていた会社へ依頼して、会社が再発行の申請をする
退職者が働いていた会社へ離職票の再発行を依頼した場合は、会社が再発行の申請を行うことになります。

会社が再発行の申請を行う場合は、ハローワークへ「雇用保険被保険者離職票再交付申請書」を提出すれば、それだけで手続きは完了します。

雇用保険被保険者離職票再交付申請書は、ハローワークのホームページからダウンロードできます。

2.退職者本人がハローワークで再発行の申請をする
すでに離職票が発行されていれば、ハローワークは履歴が確認できるので、退職者が会社に依頼せず、直接ハローワークへ行って離職票の再発行の申請をしても構いません。退職者が直接ハローワークで申請をすると、最短当日中に離職票を受け取ることができます。

退職者がハローワークで離職票の再発行を申請するときに必要なものは、次の4点です。

 ・雇用保険被保険者離職票再交付申請書
 ・写真付き身分証明書(運転免許証、マイナンバーカードなど)
 ・雇用保険被保険者証
 ・印鑑

離職票の再発行では、会社でも退職者でも電子申請ができます。ただし、電子申請を利用するには電子署名が必要になるので、あらかじめ電子署名を取得しておく必要があります。

離職票を再発行しない場合は罰則がある?

離職票の発行及び交付は、雇用保険法第76条3項で定められているとおり会社の義務です。退職者の退職時の年齢が59歳未満、かつ離職票の発行を希望しない場合を除き、すべての退職者に離職票を発行しなければなりません。

正当な理由がなく離職票の発行手続きをしない場合、あるいは発行された離職票を退職者に渡さない場合は、雇用保険法第83条4項の違反になり、6カ月以下の懲役または30万円以下の罰金が科されます。

退職者が離職票の発行を希望しても、会社から離職票が送付されない場合、退職日の翌日から12日目以降であれば、離職票が届いていなくてもハローワークで失業給付の仮受付ができます。仮受付するには、マイナンバーカード、退職証明書など退職日がわかるもの、通帳、証明写真が必要になります。

出典:
雇用保険法(昭和四十九年法律第百六十号)
雇用保険を受給する方へ|厚生労働省 福岡労働局

よくある質問

退職証明書はどこでもらえますか?

退職証明書は、退職予定の会社でもらえます。退職する従業員が会社へ発行を希望した場合、会社は当該従業員に退職証明書を発行しなければなりません。退職証明書の発行は、労働基準法第22条1項で定められた会社の義務になっています。

退職証明書は、従業員から希望があれば必ず発行しなければならない書類なので、会社は退職証明書をすみやかに発行できるようにしておく必要があります。

退職証明書は自分で作成できますか?

退職証明書は、当該退職者が働いていた会社を確かに退職したことを会社が証明する書類です。退職証明書の最後には、事業所名・住所・事業主名を記載して、会社印を押印します。つまり、会社が証明していることを明らかにしています。

従って、当該退職者が自分で退職証明書を作成することはできません。

退職証明書はいつもらえますか?

退職証明書は会社が積極的に発行する必要はありませんが、退職者から請求があればすぐに発行しなければなりません。

また、退職証明書は公文書ではありませんが、退職者の再就職先が退職の証明を求めた場合には、すぐに提出する必要があります。

従って、退職者が退職証明書を請求したら、すぐにもらえると考えてよいでしょう。

退職・辞職のテンプレート紹介
退職証明書

退職証明書

従業員が退職した事実を会社(雇用主)が証明する書類の雛形です。転職先や、国民健康保険・国民年金の手続きで退職の証明が必要になった場合などに使用します。
労働基準法(第22条)では、労働者が退職時に、使用期間、業務の種類、その事業における地位、賃金又は退職の事由等について証明書を請求した場合、遅滞なく交付しなければならない、また、「労働者の請求しない事項を記入してはならない。」としています。
本テンプレートには、証明項目として、使用期間、職務内容、退職年月日、最終役職、最終月収(年収)、退職理由を設けています。
なお、本書は事実を証明する書類ですので、「使用者職氏名」には社印または代表者印を押すことが望ましいです。

まとめ

退職証明書と離職票は、退職する従業員が必要とする書類ですが、用途と発行元が違います。退職証明書は、従業員が会社を確かに退職したことを証明する書類で、再就職先からの求めに応じて提出するものです。公文書ではなく、会社が発行します。
一方の離職票は、退職者が失業給付の受給手続きをする際に必要な書類で、会社からの申請に応じてハローワークが交付する公文書です。
このように、退職証明書と離職票は取り扱いが異なりますので、内容や違いをしっかり理解して、適正に使用できるようにしてください。

執筆者情報

塚越FP社労士事務所 代表 塚越 一央(1級FP技能士・社会保険労務士)
東京都立大学法学部を卒業後、大手都市銀行及び銀行系のシンクタンクに41年間勤務し、定年退職を機に1級ファイナンシャル・プランニング技能士及び社会保険労務士のダブルライセンスで「塚越FP社労士事務所」を立ち上げ、現在に至る。
日本FP協会東京支部主催の「神保町FPフォーラム」に参加し、相続のセミナー講師及び相談員を務める。また、外部メディアへの記事執筆や監修、コンサルティング業務を手掛ける。
経営理念「お客様に喜んでいただき、信頼される仕事を目指します」
プロフィールを見る >

[PR]
[PR]
このコラムをシェアする