売れるPOPの作り方(10)なぜ人は、そのコトバだけを聞き分けるのか

2018年05月02日

売れるPOPの作り方(10)なぜ人は、そのコトバだけを聞き分けるのか
POP広告で重要なのは、人の心を掴むコトバ。
その人の心は何にグッとくるのか?を知っているのと知らないのとでは、POP作りに大きな違いが出てきます。そんなコツを少し知っているだけで、グンと差のつくものが作れます。

売れるPOPの作り方」シリーズでは、人の心やそのクセを読みながら、いわゆる「心理学」をもとにPOPキャッチコピーを作るテクニックをご紹介しています。
今回のテーマは、「カクテル・パーティー効果」です。

人は無意識に、興味のある情報を選り分けている

さて、あなたはこんな経験をしたことはありませんか?

『人混みの多いところ、たとえばコンサート会場やパーティー会場。騒がしくてガヤガヤしているところで、ふと自分の名前が呼ばれたような気がして振り向いてみたら、やっぱり知人が自分に声をかけていた・・・周囲の話し声の大きさからしたら、普通なら聞こえるはずがないのに』

また、こんなこともありませんか?

『仕事で疲れている帰りの通勤電車の中。つい、ウトウトとしてしまったが、ふと目を覚ましてみたら、自分の降りる駅だった』

どうですか?みなさん、ふたつとも経験があるのではないでしょうか。

それは不思議でも何でもありません。人は、「雑踏や雑音の中でも、自分が気にしている情報や、自分が注意したい(あるいは好きな)情報は聞き分けられる」という能力を備えているのです。つまり、カクテル・パーティーのような騒がしいところでも、自分の名前を呼ぶ声や自分が興味を持っている言葉などは自然と聞き取れるのです。

これを心理学では「カクテル・パーティー効果」と言います。1953年にイギリスの心理学者が実験で証明して提唱したものです。ずいぶんと昔からこのことは知られていたようですね。

カクテル・パーティー

また、同じようなことは、耳からの情報「音」の聴き分けだけではなくて、目から入ってくる情報でも起きています。

たとえば・・・

『初めて赤ちゃんを授かったあの時期、なぜかお腹の大きい女性が頻繁に目についたり、ベビーカーを押す女性が増えたように感じたり、駅や街中では、オムツやベビー用品の看板や広告を多く見かける』
とか、
『引越しを考えていたとき、なぜかテレビで引越しのCMがよく流れる気がした』
など。

つまり、人は「無意識に、自分が興味のある情報を選り分けている」のです。

それは当然かもしれません。私たちは、毎日毎日膨大な情報の中で生きています。そんな中ですべての情報を取り込んでいたら、それこそパニックになりますし、かといってすべての情報を見逃していたら、危険なことにも対応できなくなります。この「聞き分け」や「見分け」は、人間の本能なのですね。

本能ですから、あなたにも、この私にもそんな経験があるわけで、それは当然、あなたのお店に入ってくるお客様にもあることなのです。

雑踏の中で

「カクテル・パーティー効果」を使ってキャッチコピーを考える

この「カクテル・パーティー効果」をPOP広告で使ってみましょう!
といっても、POPがお客様の名前を呼ぶわけはないですよね。紙だから。
ですので、ちょっと「ひとひねり」します。名前の代わりに、キャッチコピーでお客様が「自分のことが呼ばれている」と思う、そんなコピーを考えていきましょう。

たとえば・・・

【まだお土産を決めていないアナタへ!】

【今晩のおかず、まだ迷ってる!?】

【甘くない野菜では満足できない方だけに!】


もし、あなたのお店のお客様に女性が多いとしたら、ちょっと凝ってこんな「呼びかけ」ができますよ。

【今日お越しの女性にだけ!の特別セール品です!】
(これは『売れるPOPの作り方(6)~人は限定に弱い~』にもリンクします)

こういうのもありますよ。

【今日、頑張ったな・・・私。そう思っているアナタへのご褒美に!】

このキャッチコピー、実はほとんどの人が対象なのですが、呼びかけられた方は「自分にだけ」が呼びかけられた気になります。

ターゲット

このカクテル・パーティー効果を使ったキャッチコピー。これはいわゆる「狙い撃ち」コピーです。そしてその狙いが定まれば、すごく効果のあるコピーを作り出すことができます。

基本は「○○なアナタへ!」とか「○○な方、限定!」などになります。この「○○」に入るコトバを、あなたのお店のお客様の顔や、あなたのお店の商品を買って欲しい人を思い浮かべて考えていくと、カクテル・パーティー効果の効いたキャッチコピーができあがります。
そのコピーをのせたPOPでお客様に呼びかけてみましょう。
そうすれば、きっとお客様は振り向いてくれるはずですよ。それは人間の本能ですからね!

文:中小企業診断士 橘高 唯史

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