総額表示完全義務化がいよいよスタート!表示方法と注意点を解説

最終更新日:2020年12月28日

総額表示完全義務化がいよいよスタート!表示方法と注意点を解説
消費税増税がおこなわれるたび、小売店や飲食店などの店舗では、POSレジの設定変更だけでなく、値札の貼り替え作業や価格表示の変更などを余儀なくされます。そのような中、政府も事業者への負担を考慮し、消費税転嫁対策特別措置法により特例期間を設けていました。
しかし、2013年10月1日からスタートした特例期間は、2021年3月31日で終了します。いよいよ完全義務化の期限が目前に迫っているのです。
総額表示の完全義務化に向けて、留意点なども把握したうえで、早めに適切な対応を実施しましょう。
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消費税の総額表示義務とは?

総額表示とは、値札やチラシ、広告などの価格表記において、あらかじめ消費税を加算した価格を表示することをいいます。義務付けの対象は、消費税課税事業者です。ただし、対象外の事業者にも、総額表示の対応に努めるよう求められています。

総額表示義務の目的や、いつから完全義務化がスタートするのかなどを把握しておきましょう。

総額表示義務の目的

総額表示が義務付けられる背景には、「税抜価格表示」だと消費者が実際に支払う金額が不明瞭であることや、税抜と税込表示が混在することで価格の比較がしづらい、といった状況を解消する目的があります。消費者が値札を見ただけで、いくら支払えばよいのかがひと目でわかるよう利便性を高めると同時に、消費税への国民の理解を深めることが期待されています。

総額表示の対象となる商品やサービス

総額表示は、不特定多数の消費者に向けた価格表示であれば、すべて対象になります。

・商品に貼付する値札
・商品パッケージなどへの印字
・商品陳列棚
・店頭のチラシ
・ポスター
・商品カタログ
・ダイレクトメールなどにより配布するチラシ
・インターネットの販売ページ
・電子メールなどの媒体を利用した広告
・テレビ・新聞の広告 など

総額表示の対象外となるもの

総額表示の目的は、不特定多数の人に「あらかじめ価格を表示する」ことですので、次のようなものは対象外となります。

・見積書
・請求書
・契約書
・事業間取引における商品カタログなど

ほか、店員などが消費者に口頭で価格を伝える際は対象ではありません。

いよいよ総額表示の完全義務化がスタート

商品の価格表示があるのは、店頭だけとは限りません。上述のように、チラシや広告、ネット上の販売ページなどに掲載している場合もあります。ですから、期限ギリギリではなく、早めに準備を始めましょう。

特例期間終了迫る!

2021年3月末日をもって特例の適用期限が終了します。実は、総額表示の義務化は、消費税法改正により2004年4月1日からすでに始まっています。しかし、事業者への負担を配慮する観点から、消費税転嫁対策特別措置法により特例期間が設けられていました。特例期間は2013年10月1日から2021年3月31日までですので、いよいよ期限が目前に迫っているのです。

いつから完全に義務化されるのか

総額表示の完全義務化は、2021年4月1日からスタートすることになります。店舗内の値札をはじめ、ポスター、チラシ、インターネット販売ページ内の価格など、すべての商品価格を消費税込みに変更する必要がありますが、時間や労力がかかることを想定し、期限よりも早めに整えるよう心がけましょう。

なお、2021年3月31日までは「○○円(税抜)」など誤認防止措置を講じていれば税抜価格表示が可能でしたが、4月1日からは認められなくなりますので注意してください。

総額表示で店舗経営者が注意すべきポイント

総額表示により消費者の利便性を損なわないよう、小売店や飲食店など店舗側は次のような点に留意しましょう。

消費者が認識できない場所に表示するのはNG

各商品に価格ラベルを貼付せず、陳列棚のみに税込価格を表示している場合、消費者が別の商品と価格比較するのが困難です。特に、たくさんの商品を購入するスーパーなどの小売店では、消費者が簡単に価格を認識できるよう努めましょう。

文字が小さすぎるのはNG

あらゆる年代層の消費者がひと目でわかるよう、文字の大きさや色などにも配慮が必要です。また、文字間余白、行間余白、背景色との対比などにも留意して「読みやすい」価格表示にする必要があります。

「100円ショップ」などの看板はどうなる?

「100円ショップ ○○」など、店舗の名称や、店舗名の前に枕詞のようにつくコピー/フレーズに価格が盛り込まれている場合は、店舗の名称(屋号)またはそれに類するものと考えられるため、看板やチラシなどに掲示しても総額表示対象とはなりません。

「1万円均一セール」などイベントの名称は?

イベント時、たとえば「○円均一セール」のように価格をキャッチコピーとして盛り込むことがありますが、これも「誤認を与えるかどうか」という観点からすれば、総額表示対象とはならない、という見解を財務省は示しています。
参考)総額表示に関する主な質問/財務省

税抜のメーカー希望小売価格が印刷されている場合は?

商品パッケージなどにメーカー希望小売価格が税抜で印刷されていることがありますが、店舗側が値札や棚札、POPなどを活用して、税込価格がひと目でわかるようにすれば問題ありません。

値引価格表示はどうする?

スーパーなどの「○%OFF」といった値引価格の表示に関しては、総額表示義務の対象ではありません。ただし、値引前と値引後の価格を表示する際は、総額表示とする必要があるので注意してください。

罰則はある?

仮に、消費税課税事業者が総額表示をしなかったとしても、今のところ特段の罰則はありません。財務省のHPには以下のような記載があります。

「総額表示」の義務付けは、価格表示を行う場合を対象とするものであって、価格表示を行っていない場合について表示を強制するものではありません。

参考)消費税における「総額表示方式」の概要とその特例 /財務省

しかし、消費者が勘違いを起こすような価格表示を意図的にしている場合、消費者庁が定める「不当景品類及び不当表示防止法(景品表示法)」に違反する可能性があります。

値札・チラシ・広告などへの総額表示例

値札やチラシ、広告などに総額表示をする際は、消費者に誤認されないことが大切です。1万円の商品に消費税率10%適用時の、OK表示例とNG表示例を参考に、適切に表示してください。

総額表示OK例

・11,000円
・10,000円(税込11,000円)
・11,000円(税込)
・11,000円(税抜価格10,000円)
・11,000円(うち消費税額等1,000円)
・11,000円(税抜価格10,000円、消費税額等1,000円)

最上部のように支払総額となる税込価格を表記するだけでも構いません。また、税抜価格の後ろに税込価格を表記してあれば、総額表示に該当します。

総額表示NG例

総額表示に該当しない表示の一例として、飲食店などの入り口に設置する「手書きメニューボード」をNG例に挙げます。

【本日のランチメニュー】
・スパゲッティナポリタン 1,000円(税込)
・ピラフ 1,000円
・キーマカレー 1,000円
※コーヒーセットは各1,300円


一番上のナポリタンには「税込」という記載があるものの、ほかのメニューには記載されておらず、お客様にとってすべてが税込なのか理解しにくい表示例です。さらに、コーヒーをセットで頼んだ場合の消費税もわかりにくくなっています。

このような場合は各メニューは金額のみにとどめ、ボードのわかりやすい位置に大きめの文字で「当店の価格はすべて税込です」と書くとよいでしょう。また、店頭の見やすい位置に税込であることがわかるポスターを設置するほか、店内のテーブルまたはメニュー表などに税込表示であることを明示しておけば、消費者の誤認を防止できます。

まとめ

消費税を含む総額表示の義務化は、消費者が値札を見ただけで、いくら支払えばよいのかが明確にわかるようにするのが目的です。2021年4月1日から完全義務化に向けて、まずは値札などを税込表記に切り替え、ポスターなども活用して適切に総額表示に対応しましょう。

■参考サイト
No.6902「総額表示」の義務付け|国税庁
消費税における「総額表示方式」の概要とその特例/財務省
総額表示に関する主な質問 /財務省


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