その契約書、印紙は必要?金額は?どちらが貼るもの?ルールを解説

最終更新日:2023年12月05日

その契約書、印紙は必要?金額は?どちらが貼るもの?ルールを解説
契約書には、収入印紙を貼付しなければならないものがあります。
これは何かといいますと、「印紙税」という税金の納税です。
各種契約書が、法律で定められた「課税文書」に該当しますが、この場合は書面に収入印紙を貼付し、消印をします。これにより、印紙税を納税していることになります。
そして、この印紙税の納税負担者は「課税文書を作成した者」になります。
2者間で締結する契約書の場合、原本2通を作成しそれぞれが保有するケースが多いかと思いますが、2通とも課税文書となり、契約当事者である双方が印紙代を負担するのが一般的です。

ただ、すべての契約書が課税文書に該当するわけではありません。また、課税金額も一定ではありません。
では、どのような契約書が課税文書に該当し、その金額はどのように決まるのか、実務に携わる方には気になるところでしょう。
印紙の貼付漏れがあったり金額を誤ると「脱税」になってしまう可能性がありますので注意が必要です。
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タイトルが契約書でなければ課税対象にならない?

契約書を含めて課税文書に該当する文書は合計20種類あり、その要件として国税庁では以下の3点を定めています。

(1)印紙税法別表第1(課税物件表)に掲げられている20種類の文書により証されるべき事項(課税事項)が記載されていること
(2)当事者の間において課税事項を証明する目的で作成された文書であること
(3)印紙税法第5条(非課税文書)の規定により印紙税を課税しないこととされている非課税文書でないこと

課税文書に該当するかどうかは、上記の3点から判断されます。
ですので、文書のタイトルは判断対象にはなりません。たとえば「覚書」であっても、課税文書になりえます。
仮に当事者が「課税文書にはならない」と言っても、その内容が上記に該当するようであれば課税文書になりますので、契約書締結の際には確認するようにしましょう。

ここで質問ですが、もし当事者が課税文書に該当しないと判断し、収入印紙を貼っていない契約書等が、税務署から指摘されて実は課税文書であったことが発覚した場合にはどうなるでしょうか?
まず、当該契約書等の有効性が、印紙の貼り忘れにより法的に無効になる、ということはもちろんありません。しかし、印紙税法的には「過怠税」が課せられます。

どのくらいの過怠税が課せられるかといいますと、税務署から指摘された場合には、実質3倍の納税が必要となってきますので、けっこう重いですね。
ちなみに、自己申告した場合には「本来の納税額+納税額の10%の過怠税」となりますので、自ら気づいた場合は自己申告した方がよいということになります。

収入印紙はどのように貼付すればよい?

まず、収入印紙を貼付する位置ですが、特に法的に定められてはいませんので、文書の空白部分のどこに貼ろうが問題ありません。
ただし、一般的には文書タイトルのある書面の上部空白部分に貼り付けることが多いです。

大事なことは、収入印紙を貼りつけた際におこなう『消印(割印)』という処理です。収入印紙を「使用済み」として消印(割印)処理をすることで、納税したことの証明とするからです。
もし消印(割印)の処理方法を誤ってしまうと、納税の証明にならず、「過怠税」の対象となる可能性が生じてしまいます。
消印(割印)をする際には、印影が収入印紙の彩紋と貼付書面にしっかりまたがるように押印してください。

収入印紙の貼り方・消印の押し方

収入印紙が必要となる契約書の種類は?

それでは、どんな内容の契約書が収入印紙を必要とする課税文書に該当するのかを確認していきましょう。

ざっくりと説明するならば、課税文書は、以下の種類の文書に分類されます。

・第1号文書⇒不動産関係の契約書、金銭貸借契約書、運送契約書など
・第2号文書⇒請負に関する契約書
・第5号文書⇒合併契約書
・第7号文書⇒継続的な取引の基本契約書
・その他⇒信託に関する契約書、債務の保証に関連する契約書、金銭等の寄託に関する契約書、債務の移転に関する文書

もう少し詳しく各号文書の「内容」や「印紙税額」について説明します。

第1号文書

【契約内容】
〇不動産、鉱業権、無体財産権、船舶・航空機または営業の譲渡に関する契約書
〇地上権または土地の賃借権の設定または譲渡に関する契約書
〇消費貸借に関する契約書
〇運送に関する契約書

【契約書例】
不動産売買契約書
〇不動産交換契約書
土地賃貸借契約書
金銭消費貸借契約書・金銭借用証書
運送契約書・貨物運送引受書

【印紙税額】
〇1万円未満:非課税
〇10万円以下:200円
〇10万円を超え50万円以下:400円
〇50万円を超え100万円以下:1千円
〇100万円を超え500万円以下:2千円
〇500万円を超え1000万円以下:1万円
〇1000万円を超え5000万円以下:2万円
〇5000万円を超え1億円以下:6万円
〇1億円を超え5億円以下:10万円
〇5億円を超え10億円以下:20万円
〇10億円を超え50億円以下:40万円
〇50億円を超える場合:60万円
〇契約金額の記載がない場合:200円

第2号文書

【契約内容】
〇請負に関する契約書

【契約書例】
工事請負契約書・工事注文請書
〇加工業務委託契約書
〇広告契約書
〇請負金額変更契約書

【印紙税額】
〇1万円未満:非課税
〇100万円以下:200円
〇100万円を超え200万円以下:400円
〇200万円を超え300万円以下:1千円
〇300万円を超え500万円以下:2千円
〇500万円を超え1000万円以下:1万円
〇1000万円を超え5000万円以下:2万円
〇5000万円を超え1億円以下:6万円
〇1億円を超え5億円以下:10万円
〇5億円を超え10億円以下:20万円
〇10億円を超え50億円以下:40万円
〇50億円を超える場合:60万円
〇契約金額の記載がない場合:200円

第5号文書

【契約内容】
〇会社における合併、吸収分割、新設分割などの契約書

【契約書例】
〇合併契約書
〇吸収分割契約書・新設分割契約書

【印紙税額】
〇一律で4万円

第7号文書

【契約内容】
〇継続的な取引の際に必要となる基本契約書で以下の要件に当てはまるもの
・契約期間の記載があるもので、3月以内であり更新の定めがないもの以外の契約
・「売買」、「売買の委託」、「運送」、「運送取扱い」、「請負」のいずれかに該当する契約で、2つ以上の取引が継続して行うことが予定される契約
・営業者間で締結する契約

【契約書例】
売買基本契約書
業務委託契約書
代理店契約書
〇工事請負基本契約書

【印紙税額】
〇一律で4千円

第12号文書、第13号文書、第14号文書、第15号文書

【契約内容】
〇第12号文書:信託契約を証する文書
〇第13号文書:債務の保証に関する契約書
〇第14号文書:金銭や有価証券の寄託に関する契約書
〇第15号文書:債務の移転に関する文書

【印紙税額】
〇一律で200円

第7号文書に該当するかどうかの判別は難しい?

第7号文書は、「継続的な取引の基本契約」ということに加え、要件がありました。
この要件に該当するかどうかの判断をする際、特に「請負」か「委任・準委任」かどうかの判別は契約内容をよくよく確認しておこなわなければなりません。
継続的な取引となる業務委託契約書の中には、「請負」の契約要素と「委任・準委任」の契約要素が混合した契約内容となるものも少なくはありません。
迷った際は、税理士や税務署へ確認した方がよいでしょう。

まとめ

今回のコラムでは、「契約書印紙の要不要・金額」について解説しました。

ただ、契約の内容によっては、課税対象となる各号文書の複数に該当することがあります。そのような場合には、どの該当文書の印紙税額を適用すればよいのか、など悩むケースが発生するかもしれません。
万が一、誤った判断をしてしまうと「過怠税」を課せられることもありますから、心配ですよね。金額が大きい取引の場合は、過怠税額は相当な負担となってしまいます。もし判断に迷ったら、専門家や税務署への相談をおすすめします。

なお、課税文書に該当する契約内容でも印紙税がかからないケースもあります。
昨今では電子契約が急速に普及していますが、電子契約には印紙税がかかりません。
ちなみに、印紙税法は日本の法律ですので、適用されるのはその文書が日本国内にて行使されたときになります。海外取引の契約書を海外の会社に送付し、海外にて契約が成立した契約書は印紙が不要となります。

今回のコラムを参考に、正しく印紙の取扱いを行っていただければ幸いです。

執筆者情報

エニィタイム行政書士事務所 代表 中村 充(行政書士)
早稲田大学商学部卒業後大手通信会社に入社、法人営業や法務業務に携わる。2009年に行政書士資格を取得し、2017年、会社設立及び契約書作成に特化した事務所を開業。弁護士・司法書士・税理士・社会保険労務士等各種専門家との連携体制を構築し、企業活動のバックオフィス業務すべてのことをワンストップで対応できることも強み。
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行政書士KIC事務所 代表 岸 秀洋(行政書士・銀行融資診断士)
司法書士事務所での勤務を経て、2006年に行政書士試験に合格、2014年に行政書士登録開業する。司法書士事務所勤務時代から約100件以上の会社設立サポートを経験してきたなかで、単なる手続き業務にとどまらない伴走者としてのサポートをしていきたいと考え、事業計画・損益計画の作成から融資のサポートや資金繰り計画など財務支援までおこなう。
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