契約書とは?作成時のポイントや注意点を例を用いて解説

最終更新日:2024年02月21日

契約書とは?作成時のポイントや注意点を例を用いて解説
この記事では、いわゆる「法務部」などの専門部署がない会社や個人事業・フリーランスで事業を行っている方が契約書を作成する際の参考になるように、契約書の書き方・構成やルールをご紹介します。
【目次】
  • そもそも、契約書とは?
    • 当事者間合意を証左する書類
    • 契約書が必要な理由
    • 契約の法的効力機能
    • 個人契約書と法人契約書の違いとは
    • 契約書・覚書・誓約書の違いとは
  • 2020年より電子署名の有効性も明確化
    • 文章の成立の真正とは
    • 書面契約書・電子契約書の違い
  • 契約書を書く前準備-契約内容を自由に書き、その内容を箇条書きしてみよう
  • 契約書の書き方
    • タイトル
    • 前文 当事者「甲乙」の決め方
    • 本文
    • 末文 契約の成立確認・保管方法
    • 作成日
    • 署名捺印または記名押印 実印と認印
    • その他
  • 契約書の書き方のポイントやルール
    • 言葉は省略せずに何回でも書く
    • 独自の用語は必ず、第三者にもわかるような説明を記載する
    • 曖昧な解釈が成り立つ表現は避ける
    • 時間や金銭など数量化が可能な事項は、可能な限り具体的に記載する
    • 法律用語に基づいて書く
    • 当事者間で契約内容を話し合う
  • 電子契約の書き方の注意点
    • 契約書基本構成は書面と同様
    • 末文の文面に注意
    • 署名と捺印は電子署名・電子サイン
    • 電子契約書は印紙不要
    • 電子帳簿保存法に対応したシステム導入が必須
    • 紛争防止の観点から書面交付が必要な契約がある
  • 契約書を郵送する際の注意点
  • 契約書を簡単に作るにはーテンプレートの利用がおすすめ
    • 契約書記載内容の抜け漏れ防止
    • 契約書作成の効率化
  • 法律に違反した内容の契約書の有効性は?
    • 任意規定
    • 強行規定
  • 契約書作成時の注意点とよくある失敗例
    • 【注意点・失敗例.1】曖昧な表現でお茶を濁す
    • 【注意点・失敗例.2】印紙を貼り忘れる
    • 【注意点・失敗例.3】製本した契約書に契印・割印を押し忘れる
    • 【注意点・失敗例4】雛形をそのまま流用する
  • まとめ

そもそも、契約書とは?

契約書とは何か、まずは概要を把握しておきましょう。契約書は書面だけに限らず、電子契約書でも証拠として用いることができます。

当事者間合意を証左する書類

「契約書」とは、2名以上の個人・法人が当事者となり、何らかの「契約」を行った際に、契約内容を文書化し、その文書は自分たちの意思で行ったことを当事者間または第三者に示すものです。契約書により、契約当事者間で合意が行われたことを証左します。

よく言われるように、契約自体は契約書がなくても、例えば口頭だけでも成立します。しかし、簡単な内容の契約や期間の短い契約では口頭だけでも問題ないでしょうが、長期間にわたる契約や複雑な内容の場合は、きちんと文書化することが必要です。
「誰と誰が」「どんな内容を」「いつ」合意し、その結果、「いつから、いつまで」「誰にどのような権利・義務が発生しているのか」が、その文書に書かれている必要があります。

契約書が必要な理由

契約書が必要な理由はいくつかあります。主だったものとしては、当事者間のトラブル防止のため、契約内容を明文化しておくことで取引をスムーズに進めるため、当事者のコンプライアンス意識の向上のためといったものが挙げられます。

(1)トラブルを事前に防止するため

契約書を作成するもっとも重要な目的といってもよいのが紛争防止です。契約書自体は必ず作成する必要があるわけではありません。しかし、契約内容を契約書の形で明文化しておくことで、取引中に金額や納期などについて確認すべき場面があった場合に契約書の内容をベースに判断することができます。

また、万が一当事者間で紛争に発展した場合でも、契約書の内容に従って解決を図ることができます。

このように契約書はトラブル防止や、万が一のトラブル発生時の解決のために役立ちます。

(2)契約の確認をすることでスムーズな取引が可能

上記のトラブル防止の点でも述べたように、契約書に取引条件を細かく記載しておくことで当事者間での認識違いなどを防止することができ、取引をスムーズに進めることができます。

取引の最中に何か対応に迷った場合には契約書を見ればよいのであれば、お互いに取引を円滑に進められます。そのためには、契約書はあいまいな内容にせずに、細かくかつ具体的に記載しておくことが重要です。

(3)コンプライアンスの意識向上のため

契約書を作成するには、そもそも法律ではどのように規定されているか、契約書の内容が法律に違反していないかなどを細かくチェックしていく必要があります。

契約書を作成する行為そのものが法律の理解を深めることにつながり、ひいては会社のコンプライアンス意識を高めることができます。さらにしっかりと法律に則った契約書を作成することは取引先からの信用を向上させることもできるでしょう。

契約の法的効力機能

契約とは、一方の意思表示と他方の意思表示の承諾によって成立します。こうした契約自体は、民法などの法律にルールが決められていますので、契約書がなくても有効になります。

たとえば、コンビニでおにぎりを購入するという行為は、消費者がおにぎりを買いたいという意思表示に対してコンビニが受諾して売却することで成立する契約です。しかし、このような行為でいちいち契約書は作成しません。取引が小規模であり、法律に定められた内容だけで十分だからです。

しかし取引規模が大きくなればなるほど、紛争が起こった際の解決は困難になります。

そのため、法律に書いてある以外の取引上起こると考えられるイベントを想定し、それを契約書に記載しておくことで、当事者をその契約内容に拘束させることが契約書を作成する最大の目的となります。

個人契約書と法人契約書の違いとは

契約の当事者のいずれかが個人の場合を個人契約書、いずれかの当事者も法人である場合を法人契約書といいます。

なお、基本的には契約当事者が法人か個人かで契約内容そのものが変わることはありません。契約当事者というよりは、内容がビジネス関係であれば商法が適用されるといった違いがあります。つまり、契約の内容で適用される法律が変わるということを意識しておく必要があります。

契約書・覚書・誓約書の違いとは

契約書と似たような書類に「覚書」や「誓約書」といったものがあります。

覚書は、一般的な契約書から一部を抜粋して定める場合や契約条件の一部を変更する場合に使われることがあります。

契約書に比べれば条文はシンプルなケースが多いですが、内容としては契約条件を定めるものであり、契約書の一種と捉えておけばよいでしょう。

一方、誓約書は一方の当事者が他方に対して何かしらの約束をするために作成します。

契約と異なり、誓約書を受けた当事者が何らかのアクションを起こす必要はなく、成約した当事者が一方的に内容を遵守すべきものです。

2020年より電子署名の有効性も明確化

契約書の形式は書面のみでなく、電子署名を用いた電子契約も有効です。2000年に電子署名法という法律が制定されましたが、電子署名の定義が難解であり、企業も電子契約の導入に踏み切れませんでした。
しかし、2020年7月および同年9月に、総務省・法務省・経済産業省の連名で、クラウド型の電子契約サービスに関する法的解釈を示す「利用者の指示に基づきサービス提供事業者自身の署名鍵により暗号化等を行う電子契約サービスに関するQ&A(電子契約サービスに関するQ&A)」が公開されたことにより、政府から電子署名についての見解が明確化され、企業側も電子契約への移行を進めています。

一部の契約を除き、法律で定められた「文書の成立の真正」が認められれば、電子契約による契約も有効に成立したと認められます。

文章の成立の真正とは

「文章の成立の真正」については、民事訴訟法で、

民事訴訟法
(文書の成立)
第二百二十八条 文書は、その成立が真正であることを証明しなければならない。
2〜3 略
4 私文書は、本人又はその代理人の署名又は押印があるときは、真正に成立したものと推定する。
5 略

このように定義されていますが、電子署名についても、「電子署名法3条」において、電磁的記録の成立が推定できれば、効力が認められています。

電子署名法
第二章 電磁的記録の真正な成立の推定
第三条 電磁的記録であって情報を表すために作成されたもの(公務員が職務上作成したものを除く。)は、当該電磁的記録に記録された情報について本人による電子署名(これを行うために必要な符号及び物件を適正に管理することにより、本人だけが行うことができることとなるものに限る。)が行われているときは、真正に成立したものと推定する。

書面契約書・電子契約書の違い

書面契約書、電子契約書の違いは、表示すると下記のようになります。

内容書面契約書電子契約書
作成形式書面(紙)PDF等のデータ
押印印鑑不要
改ざん防止方法契約印・割印タイムスタンプ付与
交付方法書面郵送/手渡しメールなどでの送信
保管ファイル・キャビネット等クラウド・サーバー等
印紙契約内容・金額により必要不要
締結スピード時間がかかる早い

書面の契約書の方が、電子契約書よりも信用性が高いと思っている方がいますが、それは間違いです。法律上の規定に則って作成された契約書であれば、その信用性は変わりません。
書面契約書と電子契約書は、締結スピードや署名捺印の部分において、違いがあります。

書面の契約書で用いていた印鑑は、電子署名や電子サインで代用します。また、改ざん防止のために使用していた、契約印・割印は、タイムスタンプを付与等で代替される点が大きな違いです。契約印紙も不要なため、コストも削減できます。

書面の契約書と電子契約書を比較すると、電子契約書は対面での締結作業がありません。また、交付作業も郵送や手渡しが不要であり、事務作業の手間などは大幅に削減されます。
ただし、電子契約書の作成・保存には、電子帳簿法で定められた規定に合わせたシステム・社内体制の整備が必要な点に注意しましょう。

契約書を書く前準備-契約内容を自由に書き、その内容を箇条書きしてみよう

まず、契約内容を簡単な文章で表現することがスタートです。よく見かける契約書特有の言い回し、つまり法律用語などは無視して、自由に書いてみてください。
その後で、書いた内容を、「いつから、いつまで」「誰にどのような権利・義務が発生しているのか」という観点で箇条書きしてみてください。

例A:
契約内容:「来月から株式会社Aは業務○○を株式会社Bに月額XXX円で代行してもらう」
これを以下のように箇条書きします。
「いつから、いつまで」 期間:来月(xxxx年XX月XX日)から1年間
「誰にどのような義務が発生しているのか」
・株式会社Aは、毎月業務○○代行費用としてXXX円を株式会社Bに支払う。
・株式会社Bは、株式会社Aの業務○○を代行して行う。

はい、ここまで書ければ契約書の作成準備完了です。この内容を以下の契約書の基本的な項目に落とし込んでいきましょう。以下、項目の説明とともに上の例に沿ってお話ししていきます。

契約書の書き方

契約書の書き方にはいくつかのルールがあります。法律などで書き方が決まっているわけではありませんが、一般的な契約書作成のルールに沿って作成するようにしましょう。

タイトル

タイトルは契約書の内容を一目でわかるようにするために、便宜上設けられています。一般的には「○○契約書」のように内容が判断できるようなタイトルをつけます。

例:売買契約書、雇用契約書、フランチャイズ契約書、業務委託契約書など

前文 当事者「甲乙」の決め方

契約書は、当事者を都度記載するとわかりにくくなるため、当事者を「甲」「乙」と表現する方法がよく使われます。一般的に意思表示の申込者を乙、受諾者を甲と置く場合が多いです。

例:売主株式会社○○(以下「甲」という。)と買主○○(以下「乙」という。)は、以下のとおり売買契約(以下「本契約」という。)を締結する。

本文

本文は一般的に条、項、号に分かれます。特に書き方にルールはありませんが、項は(2)、号は①のように記載するなどして条文の段階が一目でわかるようにします。


第1条(売買)
甲は、乙に対し、以下の商品の購入の申し込みをし、乙はこれを受託する。
① ・・・
(2)甲は、乙に対し、翌月末日までに売買代金を下記口座に振り込んで支払う。

末文 契約の成立確認・保管方法

契約書の最後には、契約書の作成枚数や原本、写しの作成を明らかにするために末文を記載します。契約書の成立には影響しませんが、特に紙で作成した契約書であれば作成数などを記載しておけばトラブル防止にもなります。電子契約の場合は通数といった概念がないので、それぞれがファイル(契約書の条文では一般的に電磁的記録と記載します。)を保管する旨を記載しておけばよいでしょう。

例:本契約締結を証するため、本契約書を2通作成し、甲乙相互に各1通を保有する。(紙の場合)

本契約の成立を証するため、本書の電磁的記録を作成し、甲乙合意の後電子署名を施し、各自その電磁的記録を保管する。(電子契約の場合)

作成日

契約締結日は、契約書の作成日や契約書の有効期限の起算日の確認のために記載します。

口頭で契約した場合には契約書作成日と契約成立日が異なるケースもありますが、一般的には契約書作成日に契約成立とするケースが多いです。

例:令和5年12月1日

署名捺印または記名押印 実印と認印

最後に契約締結を行う当事者が署名、または記名押印(電子の場合は電子署名)します。押印については認印などでも契約書の効力に影響はありません。

非常にまれなケースですが、偽造されたものではないということを明確に示すために実印で押印し、契約書に印鑑証明書を添付することもあります。

例:
甲 株式会社○○
代表取締役○○ (印)
乙 ○○(印)

その他

契約書の内容によっては印紙の貼付が必要になります。ただし、電子契約であれば印紙は必要ありません。どのような契約書に印紙が必要になるかということについては国税庁のホームページなどで確認しましょう。

契約書の書き方のポイントやルール

契約書の文章は日本語としての読みやすさは二の次で、誰が読んでも同じ意味として解釈できるように書くことが重要です。契約書の文章を書く際は、以下のことを心がけてください。

言葉は省略せずに何回でも書く

文脈から判断可能な言葉を省略して記載することはしないようにしましょう。特に日本語では主語を省略することが多いですが、省略せずに必ず主語は書いてください。また、「あの」「その」「あれ」「それ」などの代名詞を使うことは避けて、指し示す言葉を何回でもきちんと書いてください。
なお、頻出する言葉は、「XXXXXX(以下、「○○」という)」、という記載をして、後の方では短い略称を使う手法がよく取られています。

独自の用語は必ず、第三者にもわかるような説明を記載する

契約書の目的が、契約内容を第三者にもわかりやすく記載する、ということですので、当事者間しか理解できないようなその会社独自の用語に関しては、その言葉の定義を一般的な言葉で記載しておくことが重要です。また、文章中で、特定の名や語句を使用する場合は「」で括ります。

曖昧な解釈が成り立つ表現は避ける

読み方によって解釈が分かれる表現は避けるべきでしょう。
例えば、「議長は立ち上がって意見を述べようとする議員を制止した。」という文章も、「議長は、立ち上がって意見を述べようとする議員を、制止した。」「議長は立ち上がって、意見を述べようとする議員を、制止した。」の2通りに解釈可能です。
前者の場合は「立ち上がった」のは「議員」ですが、後者は「議長」です。このようなことを避けるために、契約書の文章では、読点が多用されます。主語の明示のためや、語の列挙、従文節と主文節の明示、副詞・接続詞の明示など、いろいろな目的で使用されるため、普通の文章に比べて読点が多くなりがちです。

時間や金銭など数量化が可能な事項は、可能な限り具体的に記載する

例えば、商品代金の支払い日に関して、「商品納入後、すぐに支払う」という記述はよくありません。「すぐに」という言葉の意味が一般的に決まっていないからです。「10日以内」「1か月後」というような具体的な時間を記載しなければなりません。

法律用語に基づいて書く

たぶん、これが専門家以外の方にとって、一番難しいことでしょう。前の例で「商品納入後、すぐに支払う」という例を出しました。「すぐに」はまずい、と書きましたが、これがたとえば、「直ちに支払う」「遅滞なく支払う」「速やかに支払う」ならば、いかがでしょう。法律用語では、この3つ、意味が微妙に異なります。

即時性の強さから見ると「直ちに」>「速やかに」>「遅滞なく」となります。このような細かな言葉遣いを使い分けて契約書を作成するために、法律用語に長けた専門家に契約書の作成を依頼される方が多いのです。重要な契約やトラブルが起きそうな案件の契約に関する契約書は、やはり、専門家に作成を依頼するのが無難でしょう。

どうでしょう、こんなふうに書かれた日本語が契約書の文章です。普通の文章に比べて「くどい」文章で読みにくくなるのは仕方がないですね。しかし、読みにくい文章ながら、がんばって読めば、誰でも同じ意味として理解できるのです。

当事者間で契約内容を話し合う

契約書作成後に、当事者間で内容について話し合いましょう。契約はあくまで当事者間の合意を取りまとめる書類です。
一方の主張のみで契約が締結されるべきではありません。契約書のたたきとリーガルチェックが済んだ時点で、先方に内容をチェックしてもらいましょう。
契約相手の目線で契約書を確認すると、納得できない事項がある可能性もあります。
必ず契約書は双方で確認し、締結前に合意形成しましょう。

電子契約の書き方の注意点

電子契約と書面の契約書は、基本構成は同じですが、ポイントで記載方法が異なります。ここからは、電子契約書の書き方の注意点について、詳細に解説します。

契約書基本構成は書面と同様

電子契約書の基本構成は契約書と同様です。契約書の条項や記載事項は変わりません。
テンプレートを使用して契約書を結ぶ際は、次の項目から解説する注意点を改訂するようにしましょう。

末文の文面に注意

契約書の末文には、契約書の発行枚数・保管方法を記載します。
しかし、電子契約書の場合はPDFファイルを用いるため、書面とは書き方が違う点に注意してください。
電子契約の場合は「電磁的記録を作成したこと」「当事者が合意後、電子署名システムを用いて、署名を施したこと」「各自電磁的記録を保管すること」を記載します。

電子署名の末文の例:
本契約成立の証として電磁的記録を作成し、〇〇(電子署名システム)を用いて電子署名を施し、各自当該電磁的記録を保管する。なお、本契約においては電磁的記録である、本電子契約書ファイルを元本とし、同一ファイルを印刷した場合は写しとする。

署名と捺印は電子署名・電子サイン

厳密にいうと、電子契約書に捺印は不要です。電子署名や電子サインそれ自体には、法的効力がありません。
電子署名や捺印をする理由は、契約の合意の視認性が高まるためです。契約書に捺印がないと、本当に締結されたか分かりづらいです。そのため、電子署名や電子サインを用いて、契約合意されたことを視覚的にわかりやすくします。

電子契約書の署名と捺印は、電子署名や電子サインを用います。電子署名とは、暗号化技術を用いたシステムで、印鑑の代わりに契約日時・契約者情報を書面に組み込みます。
PDFファイルも改ざんは可能ですが、電子署名を利用することで、万が一書類が改ざんされた際の検知が可能です。

書面での契約書と視覚的に同一にし、また改ざん防止のためにも、電子署名や電子サインを取り入れることは一般的となっています。

電子契約書は印紙不要

電子契約書には印紙を貼る必要がありません。書面での契約書の場合は、「印紙税法第2条および第3条」に定められています。
なぜ電子契約書に印紙が不要なのか気になりますね。
この根拠は「印紙税法基本通達」上の条文、および国税庁の見解によって、示されています。

電子帳簿保存法に対応したシステム導入が必須

電子契約書を作成・保管するためには、電子帳簿保存法に対応したシステム導入が必須となります。
具体的なシステム要件は以下のようなものです。

1.契約書を『取引年月日』『取引金額』『取引先』で検索できること
2.上記条件の2つ以上を組み合わせた検索が可能なこと
3.上記3つの情報をファイル名に設定すること


電子契約書を検索し、速やかにデータを確認できるよう体制を整える必要があります。
電子帳簿保存法によると、電子データ保管の際は全てのログが残り、検索してすぐにデータを抽出可能なことが求められます。また必要な際に、出力が可能など、システムの要件が定められているため、システムの導入なども検討しましょう。

紛争防止の観点から書面交付が必要な契約がある

すべての契約が電子化できるわけではなく、一部の契約においては書面交付が必須です。各法律で書面化が義務つけられている場合は、電子契約では効力を発揮しません。
具体的に電子化できない契約の一例を紹介します。

・事業用定期借地権設定のための契約書(借地借家法23条)
・農地の賃貸借契約書(農地法21条)
・任意後見契約書(任意後見契約に関する法律3条)

なお、特定商取引(訪問販売等)の契約等書面も、2022年11月時点では電子化ができない契約書です。しかし、2023年6月に法改正が予定されており、法改正が施行された後は電子化できます。

また、契約締結に「公正証書」が必要な場合も、電子契約は不可能です。公正証書の電子化が認められていないため、契約も電子化できません。
このように、すべての契約書を電子化できるわけではないため、締結内容に応じて契約書の形式を変える必要があります。

契約書を郵送する際の注意点

契約書を郵送する際に注意しておくべきポイントは、製本テープなどでしっかりと袋とじしておくことです。また、相手に押印してもらう箇所があれば、その箇所がわかるようにふせんなどで明示しておくことも重要です。

また、折れ曲がらないようにクリアファイルに入れることや、送付状をつけることもマナーとして対応すべきポイントです。

なお、契約書は信書に該当するため、郵便以外の方法で発送することはできません。

契約書を簡単に作るにはーテンプレートの利用がおすすめ

契約書のポイントを理解したところで、次は簡単に契約書を作成する方法を説明します。
契約書を簡単に作成するなら、テンプレートの利用がおすすめです。なぜ契約書テンプレートが便利か、その詳細やメリットを解説します。

契約書記載内容の抜け漏れ防止

契約書の記載事項は一切の抜け漏れが許されません。

契約内容:「来月から株式会社Aは業務○○を株式会社Bに月額XXX円で代行してもらう」

この内容を表現するために、ということで話を進めてきましたが、実は明示されていない事項が多くあります。

たとえば、株式会社Aは業務○○を3日間で行っていたとします。当然、代行後、株式会社Bは同じ3日間で行うということが期待されているでしょう。このように、業務の納期としての時間や業務を行う場所など、ここには明示されていない内容がたくさんあります。

一般的に契約書では、関連するすべてについて記載しておく、つまり、漏れなく網羅することが重要です。その際に「いつ」「どこで」「だれが」「なにを」「何のために」「どうする」という観点で、詳細に記載していくと抜けが少なくなるでしょう。
さらに、この契約書の有効期限、契約破棄の条件、契約条項に違反した場合の罰則、契約に書かれてない事項でのトラブル解決の方法も記載しておくことをお勧めします。

契約書作成の効率化

このような関連事項も含めて「網羅」した条文を一から作成するのは大変です。そのために、契約書のテンプレートがよく使われます。
例えば、「売買」を目的とした契約の場合、必要な事項を網羅したテンプレートが「売買契約書」です。当サイトに掲載している契約書テンプレートをうまく活用いただければ幸いです。
当サイトの契約書テンプレートは、汎用性を高めるためにWord形式で配布しています。編集後にPDFファイルへ変換し、適切に保管しましょう。


参考記事:賃貸借契約書とは?記載内容や注意点を解説!【テンプレート付】

法律に違反した内容の契約書の有効性は?

最後に、契約した内容が法律と矛盾していた場合の問題についてお話しします。法律には、その強制力の観点から以下のように区分されます。

任意規定

民法の契約に関する規定の多くは任意規定で、これと矛盾した内容を契約書で合意した場合は契約書の合意が優先されます。そもそも、契約書でその事項について触れていない場合は、この任意規定に従うことになります。
例えば、家賃は月末に払うよう法律で定められているのはご存知でしょうか?民法第614条には次のように記載されています。
「賃料は、動産、建物及び宅地については毎月末に、その他の土地については毎年末に、支払わなければならない。ただし、収穫の季節があるものについては、その季節の後に遅滞なく支払わなければならない。」
これが任意規定です。貸主と借主間の契約書で、「家賃は月初めに支払う」、と契約されているならば、そちらが優先されるわけです。契約書に支払い日について記載がなければ、任意規定に従って月末払いとなります。

強行規定

これに矛盾した契約書の内容は無効になり、法律が優先されます。例えば、消費者契約法第10条には次の記載があります。
「民法、商法その他の法律の公の秩序に関しない規定の適用による場合に比し、消費者の権利を制限し、又は消費者の義務を加重する消費者契約の条項であって、民法第1条第2項に規定する基本原則に反して消費者の利益を一方的に害するものは、無効とする」
民法第1条第2項とは「権利の行使及び義務の履行は、信義に従い誠実に行わなければならない」ということですので、信義に従わず誠実に行われなかった消費者の利益を一方的に害する契約は無効、ということです。
政府広報オンラインに掲載されている「契約トラブルから身を守るために、知っておきたい「消費者契約法」」には、契約書に書かれていても無効な条項となる例が記載されています。

以上の確認のため、やはり重要な契約書は専門家のチェックを受けたほうがいいでしょう。

契約書作成時の注意点とよくある失敗例

【注意点・失敗例.1】曖昧な表現でお茶を濁す

実際の契約書でおこりがちなことですが、当事者間で意見が対立し、折り合いがつかず、契約書では、わざと曖昧な表現にして現時点では何も決めないケースです。「…については甲乙協議により定める」などと書いておくわけです。
現時点で合意に至らなくとも特に不都合がない場合は、これでも問題ないのですが、実際発生するとトラブルになる可能性が高いので、この表現を使う場合は慎重に判断したほうがいいでしょう。

【注意点・失敗例.2】印紙を貼り忘れる

契約の内容によっては印紙を貼る必要がある場合があります。
どういった契約書が課税対象になるかについては、印紙税法によって定められています。たとえば、不動産の譲渡や賃借、金銭の賃借に関する契約書や、報酬を伴う請負(委託)契約書などが課税文書に該当します。
また、契約金額によって印紙の金額も変わりますので、国税庁のホームページなどで確認して貼り忘れのないようにしましょう。

【注意点・失敗例.3】製本した契約書に契印・割印を押し忘れる

重要な契約書などの場合、複数枚になる場合は、改ざんや抜き取りを防ぐために「契印」を押すことがあります。契印は、製本テープで綴じてある場合、一部がテープにかかるように押したり、あるいはページとページの間に押したりします。これを怠ると偽造しやすくなってしまいます。なお、契印は当事者全員が押すようにしましょう。

【注意点・失敗例4】雛形をそのまま流用する

契約書作成の効率を上げ、ミスを防止するためにテンプレートの使用は非常におすすめです。しかし、雛形をそのまま流用してはいけません。
契約書テンプレートは、あくまで汎用性を重視して作られています。そのため、商品やサービス名などが白抜きされていたり、自社契約に適合しない条項があったりする可能性もあるでしょう。雛形を利用して概要を作り、詳細は目視で確認するようにしてください。

まとめ

契約書は、法律と同様の文書体系で書かれた、ある意味特殊な文書です。そのため、作成にあたっては専門家に丸投げするしかなかったのですが、今では、テンプレートを利用することによって、専門家でなくてもある程度の内容のものが作成できる時代になりました。
しかし、一方ではテンプレートに記載された内容を理解することなく安易に使いトラブルを招く、ということも発生しています。一般的な契約書テンプレートではカバーできない独自の契約内容の場合は専門家に作成をお願いする、一般的な契約書テンプレートでカバーできる内容ではあるが、重要な契約やリスクが高い契約の場合は、テンプレートを利用して作成したものを専門家にチェックだけお願いする、というようにうまく使い分けることが大切です。
専門家にお願いするのには費用も時間もかかりますので、テンプレートを利用することによって、うまく費用をコントロールしましょう。

監修者情報

司法書士事務所V-Spirits 代表 渋田貴正(税理士・司法書士・社会保険労務士)
法書士事務所V-Spirits代表、税理士法人V-Spirits社員税理士。
税理士法人V-Spiritsでは、開業時の融資サポートや事業計画の策定支援、会社設立支援、開業後の税務顧問など起業家のためのワンストップサービスを行っている。
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※テンプレートのご利用について、当社では責任を負いかねます。ユーザー様ご自身の責任においてご利用いただきますようお願い致します。

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