採用時は雇用条件の明示が義務!労働条件通知書作成のポイントとは

2020年02月05日

採用時は雇用条件の明示が義務!労働条件通知書作成のポイントとは
人手不足が叫ばれて久しい昨今。従業員の出入りも激しく、絶えず人を募集している-という担当者の方もいらっしゃるのではないでしょうか。
求人をおこなったり、従業員を採用する際に必要になるのが「雇用条件の明示」です。「どのような条件で雇い入れるか」を明らかにし、なおかつ法律を遵守しなければなりません。
これを守らない場合、罰則を受けることもあるので注意が必要です。
今回は、雇用条件にどのようなことを明示する必要があるのか、書面作成時の注意点などについて説明します。

従業員を採用する場合に決めておくべき雇用条件とは?

採用時には労働条件を明示しなければならない

労働基準法第15条第1項では、従業員を雇用する場合は従業員に対してあらかじめ労働条件を明示しておくこととされており、その内容についても規定されています。
さらに、その内容は「必ず明示しなければならないこと」と「定めをした場合には明示しなければならいこと」があります。

<必ず明示しなければならないこと>
・労働契約の期間
・就業の場所及び従事すべき業務内容
・始業および終業の時刻、時間外労働、休憩、休日、休暇など
・給与の計算および支払い方法、賃金の締切日や支払日、昇給など
・退職や解雇について

<定めをした場合には明示しなければならないこと>
・退職手当の適用される労働者の範囲、計算方法、支払い方法など
・臨時に支払われる賃金、賞与など
・労働者負担の食費の有無、作業用品の自己負担の有無など
・安全・衛生
・災害補償、業務外の傷病扶助
・表彰、制裁
・休職

<パートタイム労働者の場合の必須事項>
・昇給の有無
・退職手当の有無
・賞与の有無
・相談窓口

労働条件の明示は、労働基準法に定められた雇用主の義務ですが、これを怠った場合は、業には労働基準法第120条にて30万円以下の罰金が科せられる場合があります。

通知のタイミングと方法

それでは、労働条件の明示はどのような方法でおこなえばよいのでしょうか。
一般的に、採用が決定したら「労働条件通知書」という文書により雇用条件の通知をおこないます。あるいは「雇用契約書」を取り交わす場合もあり、労働条件はその中に含まれます。

「雇用契約書」は、使用者(雇用主)と労働者(従業員)の間での契約なので、両者の合意が必要となり、署名捺印が必要です。それに対して、「労働条件通知書」の場合は雇用主が通知するだけでよいものなので、署名や捺印は必要ありません。

以前は、「労働条件通知書」は「書面の交付」による通知に限定されていました。しかし、それでは人事や総務の業務負担が大きいこと等もあり、電磁的方法による交付が解禁されました。現在では、労働者が希望した場合には、メールの文面に内容を記載したり、PDFファイルで送ったりして通知することも可能です。

労働条件が実際とは異なる場合の罰則

「実際に入社してみたら、明示された労働条件と事実が異なる」という場合、労働基準法第15条2項により、労働者は即時に労働契約を解除(退職)することができます。
民法の定めでは、契約期間の定めのない雇用契約の場合、原則2週間前に退職の告知が必要とされ、契約期間の定めがある雇用契約の場合には、やむを得ない事由以外での退職は認められないとされています。しかし、労働条件が異なっていた場合には、民法上の制限よりも労働基準法が優先され、即時契約解除をすることができるのです。

では、求人票に書かれていた条件と異なる労働条件を企業側が提示してきた場合はどうでしょうか?いわゆる「求人詐欺」です。これは職業安定法第65条第8号により、虚偽表示による労働者の募集として、6ヶ月か月以下の懲役又は30万円以下の罰金が科せられることがあります。そのため、「求人票には労働者に有利なように見せかけて、入社させてしまったらこっちのもの」ということはできません。

また、労働契約法第8条及び第9条にもとづき、使用者が労働条件を労働者の不利益になるように変更することはできないとされています。たとえば、賃金は変わらないのに労働時間が長くなる、休日日数を減らす、などもその一例です。
もし、何らかの理由で労働条件の変更が必要になった場合には、使用者と労働者間での合意が必要となります。

「労働条件通知書」作成の注意点

労働条件通知書に明示すべき各項目について、どのような点に注意すべきかを

●雇用契約期間
無期労働契約(正社員)か有期労働契約なのか、そして有期の場合には定められた契約期間を記載します。また、有期契約の場合には、更新の方法(自動的に更新、都度検討など)、契約終了条件(経営状況によって判断など)を入れておきます。

●業務内容と就業場所
実際に勤務する場所や、従事する業務内容について記載します。配属後の転勤の有無なども明示しておいた方がよいでしょう。

●就業時間や残業
始業と終業の時刻や、休憩時間、休日日数、休暇の有無や時期、残業の有無、シフト制かどうかなどを記載します。

●賃金に関する事項
給与の金額や計算方法(時給、月給、歩合など)、締め日、いつ支払われるのか、支払い方法、昇給の有無や、昇給の基準と時期について記載します。

退職や解雇に関する事項
退職をする場合の、申し出方法やその時期、定年退職の有無と年齢、解雇になる場合の事由について記載します。

「労働通知書」テンプレート(ワード)もご用意していますので、ご利用ください。

テンプレート紹介
労働条件通知書

労働条件通知書

労働者を雇用する際、労働条件を書面にて明示する必要があります。これは、厚生労働省より配布されている「労働条件通知書」をワード上で入力しやすく編集したテンプレートです。

働き方改革で変わった!労働条件に注意

同一労働同一賃金

働き方改革により、2020年4月からは「同一労働同一賃金制度」の適用が開始されます。これは、同じ職務内容等に従事している従業員には同じ額の賃金を支払うべき、という制度です。
これにより、各企業では、賃金や昇給、賞与、福利厚生や手当などの点について、職務内容が同じ正規雇用者と非正規雇用者との間で違いが発生していないかどうか確認し、もし待遇差が生じていた場合には見直しが必要になります。

見直しのポイントは、その待遇差に「合理性があるかどうか」です。待遇差の理由が「非正規社員だから」「短時間勤務だから」「慣行で」という場合には合理性がないと判断されますが、「転勤があるから」「職責が重いから」という場合には合理性があるとされています。

たとえば、同じ場所・業務内容に従事する社員Aと社員Bで、社員Aには転勤がないが、社員Bには転勤がある場合、住居にかかる費用は社員Bの方が大きいとして住宅手当に差がつくことがあり得ます。
また、昼食のための休憩時間をはさんで勤務する社員には食事手当があり、休憩時間を挟まない時間帯(例えば、午後1時~5時など)の短時間勤務の社員には、食事手当がないということも問題がありません。

では、どんな場合に格差があると判断されるのか、過去の事例「ハマキョウレックス事件」をご紹介します。この事件は、無期契約社員には皆勤手当があるのに有期契約社員にはないという格差の点が、最高裁で不合理であると判断されました。
その理由としては、
・皆勤手当は人手を一定数確保する目的から、皆勤を奨励する趣旨で支給されるものである
・正社員と契約社員とで、業務内容や人手確保の必要性が変わらない
・労働契約では、勤務成績を考慮して昇給とあるが実際には昇給しないことが原則である上、皆勤の事実を考慮して昇給がおおなわれたとの事情もうかがわれない、
という事情が挙げられています。

厚生労働省では、この他にもどのような待遇差が不合理に当たるか等を例示している『同一労働同一賃金ガイドライン』を公開していますので、参考にするとよいでしょう。

時間外労働の上限規制で残業が変わる

雇用条件を明示する際に、残業についても触れるため知っておきたいのが、大企業は2019年4月1日、中小企業も2020年4月1日から施行となる「時間外労働の上限規制」です。ここでいう時間外労働というのは、法定労働時間(1日8時間、1週間40時間の制限)を超えて働くことです。

改正前の制度では、時間外労働の上限時間は月45時間かつ年360時間とされており、これを超えると違法となるのですが、特別な事情があって労使協定(36協定)を締結していれば、特別条項によって年間6か月だけ上限なしで時間外労働をおこなわせることが可能でした。

改正後の制度でも、36協定を締結していれば、年間6か月だけは月45時間以上の時間外労働が可能ですが、年間720時間以内、および月100時間未満(休日労働を含む)、さらに2ヶ月~6ヶ月での複数月平均80時間以内(休日労働を含む)とする、と細かく上限が決められました。
改正前は実質「上限なし」だった時間外労働に年間で上限を設け、さらに複数月平均でチェックすることで、「単月だけ時間外労働が膨大に増える」といったこともできなくなります。

なお、この規制に違反した場合には、6ヶ月以下の懲役又は30万円以下の罰金が科されることとなります。

まとめ

労働者を雇ったら、雇用条件を明示することは企業の義務です。これを怠ると罰則を受ける可能性があります。
同一労働同一賃金や、時間外労働の上限規制によって、労働条件の見直しや変更が必要になる企業も多いでしょう。これまでの慣行を変更することは大変ですが、業務効率化や新しい働き方による社員のモチベーションアップの可能性もあると考えて、社内全体で理解を進めながら、しっかりと取り組む必要がありそうです。

■参考サイト
厚生労働省「採用時に労働条件を明示しなければならないと聞きました。具体的には何を明示すればよいのでしょうか。」

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