働き方改革は勤怠管理から!Excelテンプレートを使った労務管理

2019年03月11日

働き方改革は勤怠管理から!Excelテンプレートを使った労務管理
「過労死ライン」と呼ばれる月80時間以上を超える長時間労働や、実労働時間が給与に反映されない裁量労働制など、労働時間の管理に対する問題は、働き方改革を推し進める上での重要課題と位置付けられています。
2019年4月から働き方改革関連法が施行されますが、残業時間や有給取得状況など、これまで以上に厳密に管理する必要があります。この機会に勤怠管理について見直しをおこなう、という企業も少なくないと思いますが、そのポイントや気をつけるべき点について確認するとともに、勤怠管理やシフト管理、年次有給休暇管理に使えるExcelテンプレートについてご紹介します。

勤怠管理の基本

勤怠管理の見直しをおこなう前に、まずは「誰の何を管理すべきか」をしっかりと確認しておく必要があります。法律の把握はもちろん、管理の方法や役割(責任者)、労働時間の定義に関するルールを定め、運用前に周知するようにしましょう。

勤怠管理の対象となる従業員

会社ではパートタイマーや派遣社員、管理職など様々な雇用形態・職位の従業員が働いています。そこでまずは、管理の対象となる従業員を洗い出して、それらのすべてに対応できるような管理のしくみを構築する必要があります。
勤怠管理の対象となる従業員は、基本的には会社の経営者と一体的な立場で仕事をする管理監督者(いわゆる管理職)以外全員です。ただし、主に専門職などに適用される裁量労働制では労働時間が給与に反映されるわけではありませんので、厳密に把握する必要はありません。
しかしながら、勤怠管理をおこなう目的として、賃金を適正に支払うこと以外にも、近年は、労働者の健康維持の観点から「長時間労働を防止する」ことが重視されています。働き方改革の狙いもまさにそこにあります。
万が一従業員の過労死や過労自殺などの事態が起こってしまいますと、従業員の家族や関係者に甚大な影響を与えてしまうだけでなく、企業(使用者)側にとっても、賠償責任の発生やイメージダウンなど大きなダメージを蒙ります。
そのため、管理監督者や裁量労働制対象者であっても、一般の従業員ほどの厳密性は求めないまでも労働時間は記録しておく必要があるといえます。また、後述しますが、深夜時間帯や休日の労働に対しては、これらの労働者にも割増賃金が発生します。

労働時間の定義-どこまでを労働時間と見なすか

労働時間管理においてあらかじめ確認・周知しておきたいのが「どこまでを労働時間とみなすか」の定義です。法的に定められた労働時間の定義はありませんが、たとえば自宅に仕事を持ち帰った場合は残業時間としてカウントすべきか?など、判断が難しいケースがあります。
持ち帰り残業については、明らかに就業時間内に処理できない量の業務を会社が命じた場合は労働時間としてカウントする、という判断になるでしょう。ですが、いちいち判断が必要になるような状況は作らない、というのが望ましいですから、持ち帰り残業を禁止するなどのルール作り、過剰な量の業務を課さないための体制作りなども重要です。

「制服に着替える時間を労働時間と見なすかどうか?」という議論もあります。着替えが義務であれば労働時間とし、義務でなければ労働時間と見なさない、という解釈が一般的ですが、後からもめないように、あらかじめはっきりさせておく必要があるでしょう。

この他にも、判断に迷うようなことがないかどうか事前に洗い出しをおこない、法律に照らして問題のないようにルール作りをしておくことをおすすめします。

残業や深夜残業の賃金

労働基準法により、労働時間は「1日8時間・週40時間」と定められており、これを超えて働いた場合には、残業代として通常の賃金の1.25倍の割増賃金を支給する必要があります。ただし、裁量労働制の場合には多くは「みなし残業」として、また、管理監督者(管理職)の場合には経営者と一体的な立場であるとみなされ、規定の対象外となりますので、規定の労働時間を超えて働いた場合でも残業手当は基本的には支給されません。

なお、同じ残業でも、22時から翌朝5時までの間は、深夜残業代として、通常の賃金の1.5倍(時間外労働割増25%+深夜労働割増25%)を支払わなければなりません。この深夜時間帯と休日(法定休日※)勤務の割増(35%)については、労働基準法の規定により、裁量労働者や管理監督者も対象になります。

労働時間を月単位や年単位で調整する変形労働時間制を採用している場合は、22時から翌朝5時までが所定労働時間内であれば時間外労働の割増は必要ありませんが、深夜勤務として1.25倍の割増賃金を支払う必要があります。

※休日出勤であっても、法定外休日に出勤した場合は割増対象外です。ただしすでにその週に40時間以上勤務している場合は1.25倍の割増賃金となります。

Excelテンプレートを使った勤怠管理

理想的な勤怠管理システムは、労働時間の把握がシンプルかつ正確におこなえて、そのデータを正しくスムーズに給与計算にも反映できる、というものでしょう。しかし、タイムカードに代表されるように、シンプルで従業員にとっては使いやすいものでも、データの手入力や計算が必要になるなど、管理や給与計算をおこなう側としては不便な上に、人為的なミスが起こりやすいというのが実情です。
始業・終業時刻の記録・データ化・管理そして給与計算への反映までをスムーズにおこなえる勤怠管理システムを導入する、あるいは外部のシステム会社に依頼して構築してもらうという方法もありますが、従業員の少ない中小企業では導入と維持のコストを考えるとなかなか踏み出せないかもしれません。
そこで、多少の省力化に役立つものとしてお勧めしたいのが、労働時間を算出する計算式が設定されたExcel勤怠管理テンプレートです。これまで労働時間を手計算していた、あるいは厳密に管理していなかった場合にご利用ください。

出勤簿テンプレート

始業時刻・終業時刻・休憩時間を入力すると労働時間を自動計算、さらに、22時から5時までの深夜早朝時間帯の労働時間を別に計算するExcel形式のテンプレートや、手書き用で計算機能の付かないもの、そして、個人別に1ヶ月分を記録するものや、日別に各従業員が記録するものなど、様々なテンプレートがあります。
用途に応じてお選びください。また、自社用にカスタマイズしてご利用ください。

テンプレート紹介

出勤簿 残業・深夜残業時間計算付(個人別)

出勤簿 残業・深夜残業時間計算付(個人別)

個人別・1ヶ月分の出勤簿テンプレート(エクセル形式)です。所定労働時間をあらかじめ入れておき、始業時刻、終業時刻、休憩時間を入力すると、実働時間や残業時間(深夜残業含む)および深夜早朝残業時間(22:00~5:00)が自動計算されます。勤怠管理、給与計算の資料としてもご利用ください。
※サンプルデータは削除してください。また、行数や計算式を変更したりする場合はシートの保護を解除してからおこなってください。

出勤簿 残業・深夜残業時間計算付(日別)

出勤簿 残業・深夜残業時間計算付(日別)

日別の出勤簿テンプレート(エクセル形式)です。印刷して、出社・退社時に各自手書きで記入してもらったり、担当者がエクセルで入力する場合は、所定労働時間をあらかじめ入れておけば、始業時刻、終業時刻、休憩時間を入力すると、実働時間や残業時間(深夜残業含む)および深夜早朝残業時間(22:00~5:00)が自動計算されるようになっています。
※サンプルデータは削除してください。また、行数や計算式を変更したりする場合はシートの保護を解除してからおこなってください。

出勤表(Excel)

出勤表(Excel)

エクセル形式の出勤表テンプレートです。従業員ごとに、1ヶ月分の出勤時間が管理できます。
出勤時刻、終了時刻と休憩時間を所定の形式(00:00)で入力すると、実働時間が自動計算されます。
A4用紙に印刷して手書きで使用することもできます。

出勤表

出勤表

各社員の出勤表です。1か月分の毎日の出勤・終了時間を書き込みます。

出勤簿

出勤簿

出勤時に出欠の判を押します。A3サイズの用紙に、1ヶ月、23名の出欠印を押す欄と、有給・遅刻早退・残業などをカウントする欄があります。

年次有給休暇の取得義務

働き方改革関連法により、新たに義務化されたことがあります。それは、年5日の有給休暇の取得義務(年10日以上の年次有給休暇が付与される労働者の場合)です。労働基準法では、「使用者は、労働者ごとに、年次有給休暇を付与した日(基準日)から1年以内に5日について、取得時季を指定して年次有給休暇を取得させなければならない」(ただし、すでに5日以上の年次有給休暇を請求・取得している労働者に対しては、使用者による時季指定は不要)としています。
また、労働者ごとに年次有給休暇管理簿を作成し、3年間保存しなければなりません(システム上にデータがあれば可)。
このことが守られないと労基法違反となり、罰則も課されますから、管理者側は従業員の有給取得状況の把握と記録をしっかりとおこなう必要があります。

有給休暇管理テンプレート

テンプレート紹介

有給休暇管理表

有給休暇管理表

従業員の年次有給休暇の取得日数を月ごとに記録し、残日数が計算される、エクセル形式の有給休暇管理表テンプレートです。入社年月日から勤続年数が自動算出されるため、新たに付与日数を入力する際にも便利です。有休残日数の把握や取得状況の確認のためにご利用ください。
※サンプルデータは削除してください。また、行数や計算式を変更したりする場合はシートの保護を解除してからおこなってください。

年次有給休暇取得計画表

年次有給休暇取得計画表

計画年休制度(計画的付与)を採用されている会社などで使える、個人別の年次有給休暇取得計画表テンプレートです。また、2019年4月より、年10日以上の年次有給休暇が付与される従業員を対象に年5日以上の取得が義務付けられましたが、それに伴い、会社側で有給取得日を一部指定するケースも出てくると思われます。そのような場合にもご利用ください。
※サンプルデータは削除してください。また、フォーマットの編集をおこなう場合はシートの保護を解除してからおこなってください。

部門別有給消化率管理

部門別有給消化率管理

年次有給休暇の消化率を部門別にチェックするためのエクセルテンプレートです。期のはじめに在籍人数と有給保有数を入力しておきます。確認時に有給消化日数を入力すると、その時点での有給消化率が算出されます。消化率のよくない部・課・係には取得を促すなど、なるべく部門で偏りが出ないよう管理するためにご利用ください。なお、部門の名称は、部・課・係としてありますが、自社の組織に合わせて書き換えてください。
※サンプルデータは削除してください。また、行数を増やしたり、計算式を変更したりする場合はシートの保護を解除してからおこなってください。

労働時間の見直し

勤怠管理をきちんとおこなうことで、各従業員の労働状況が一目で把握できるようになります。そのため、健康への影響が懸念されるほど長時間労働をしている従業員がいないか、長時間労働をする部署に偏りはないか、常に目を配ることができ、社内の人事異動などの参考にもなります。
また、計画通りにスケジュールが進んでいても、作業時間ベースでみると多くの従業員が長時間の残業続きになっているなど、労働時間を「見える化」することで浮かび上がってくる課題があるかもしれません。
繁忙期などをなくすことはできませんが、労働時間の把握を通して、特定の個人や部署に仕事が偏りすぎないよう調整するなど、問題を放置しないようにすることが大切です。

まとめ

長時間労働による過労死や過労自殺の問題がテレビやネットで取りざたされる機会も多いですが、その背景には労働時間管理の欠如があります。立派な勤怠管理システムがなくても、Excelの勤怠管理テンプレートなどを活用して従業員全員の労働時間をしっかりと把握し、仕事量の調整や、必要であれば人員の補充や異動などをおこなうことによって、一人ひとりが生き生きと働ける社内環境を目指したいですね。

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