【新情報追加】新型コロナウイルス感染症による助成金や補助金まとめ

最終更新日:2023年12月04日

【新情報追加】新型コロナウイルス感染症による助成金や補助金まとめ
新型コロナウィルス(COVID-19)の感染が拡がるにつれて、外出自粛の要請をおこなう自治体が増えています。そのために人の往来が消えた街や商店街も出てきました。この1ヶ月で個人の生活はもちろん、お店や会社の様子も一変しました。

この急激な変化に対して、国は3月早々に助成金や補助金などの支援策を打ち出しましたが、感染拡大を受けて、新たな援助策をどんどん追加しています。

今回は3月末日時点で追加された「新型コロナ感染症に関する助成金や補助金などの支援策」を中心にまとめてみました。
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新型コロナウィルスによる国の援助・救済策の種類

従来発表されていた支援策は大きく分けて次の1~3の3つでしたが、その中で対象範囲が拡がったり、条件が緩和されたり、別枠が追加されたりしています。また今回は新たに4の「支払い猶予」という支援項目も追加されました。

1.助成金(申請すればお金が支給される)
2.優遇措置(助成金や補助金をもらう時の対象や条件が拡大されたり、緩やかになる)
3.資金繰り・貸付(お金を貸してもらいやすくなる)
4.支払いの猶予(税金や厚生年金、電気・ガス料金などの支払いを待ってくれる)

それでは順番に各々の「追加支援策の内容」をご紹介していきます。

助成金の「追加策」について

「雇用調整助成金」は従来からあったものですが、新型コロナウイルス感染症の影響によって条件は通常版からかなり拡大されたり優遇されたりしていました(特例措置1)。その条件がさらに緩和されて対象者が増えました。

助成率は中小企業や小規模事業者であれば2/3、大企業であれば1/2です。支給限度日数は1年間で100日分。3年間で150日分です。

当初は4つの項目が特別に認められていました(「特例措置1」の内容)
1)休業の計画届は事後でもOK(通常は事前申請が必要)※令和2年5月31日まで
2)生産指標(売上などが10%減)の確認対象が3ヶ月から1ヶ月に短縮
3)雇用指標(最近3ヶ月の平均値)が対前年比で増加していてもOK(通常では認められない)
4)事業所設置後、1年未満の事業主も対象(通常は1年未満は認められない)

ここにさらに
5)雇用保険被保険者として継続して雇用された期間が6ヶ月未満の労働者も対象(今までは6ヶ月未満は対象外)
6)過去1年前までにこの助成金を受け取った事業主の方も対象(従来は直近1年以内にこの助成金を受給した事業主は対象外)

という、2つの項目が追加され、制約がなくなっています。

また、もし事業主の都道府県が緊急事態宣言を発出して活動の自粛を要請している場合は、特例措置1の「生産指標が10%減少」という条件も撤廃され、どの事業者も10%減として認められ助成率は中小企業と小規模事業者なら2/3が4/5に、大企業なら1/2が2/3にまで引き上げられる「特例措置2」が受けられます。
この特例措置2についても、特例措置1の5)と6)の項目がそのまま適用されて、さらに従来の「非正規も含めた雇用者」という枠組みが「被保険者以外の労働者」という枠組みに拡大されています。

◎助成金の申請手続きなど、詳しくは最寄りの労働局・助成金相談窓口でご確認ください。

「3大補助金」の優遇措置追加について

経済産業省が管轄している補助金で最も代表的な3つの補助金、「ものづくり補助金」「小規模持続化補助金」「IT導入補助金」の公募要項がそれぞれ3月上旬に公表されました。これら3つの補助金には新型コロナウイルス感染による影響を各々「加点要素」とすることはすでに発表されていましたが、新たに次の優遇措置が追加されています。

補助金で追加された優遇措置その1

令和2年度に公表された「ものづくり補助金」では、生産性向上や、賃上げに係る目標値が設定されていて、これが補助金申請の条件となっています。ですがコロナ対策のために、その目標値の達成時期を今回は1年間猶予するという追加措置がとられました。

補助金で追加された優遇措置その2

従来、「ものづくり補助金」では、対象事業となる発注は、補助金の採択後でしかできませんでした。事前に発注したものを補助金で補填することができなかったのですが、新型コロナ感染による環境の変化によって大きな影響を受ける事業者さんがすぐに対応できるように交付決定を待たず、交付決定日から遡って発注したものも補助金の対象とする優遇措置がとられました。これは従来の補助金の常識からは考えられない画期的な追加項目です。

資金繰り支援についての「追加情報」

「予想外の事態で急激に売上が落ちて資金繰りが苦しい」事業者にとって、とにかく「急場の資金」が必要です。「過去最大の支援策をとる」との安倍首相の宣言にあるように、今回はこの「資金面(融資や保証や利子の補填)」に関するものが非常に多く追加されました。
以下にその追加策を列記していきます。

金融面での追加支援策その1:危機関連保証

セーフティーネット(以下SNと表記)の4号、5号を中心に資金繰りを支援していましたが、ここに「危機関連保証」としてさらに別枠の融資策を設定されました。

対象は全国の全業種(*1)の中小企業・小規模事業者です。SN4号やSN5号の対象者よりもより広い範囲の人達を対象としていて、売上高が前年同月比▲15%以上減少した事業者に「危機関連保証」として100%の保証を与える制度です。これでSN枠と併せて最大で5億6,000万円の信用保証枠を確保できることになりました。
*1…一部保証対象外の業種があります。詳しくは最寄の信用保証協会にご確認ください。

金融面での追加支援策その2:「新型コロナウイルス感染症特別貸付」創設

新型コロナウイルス感染症による影響を受けた事業者(事業性のあるフリーランスの方を含みます)に対して、信用力や担保によらない一律金利の別枠融資枠を創設しました。

以下がその要件となります。
【融資対象】:次の<1>か<2>のどちらかの人であれば対象
<1>最近1ヶ月の売上高が前年又は前々年の同じ時期と比較して5%以上減った方
<2>前年の実績がない開業1年未満の方は・・・
   A-最近1ヶ月の売上が過去3ヶ月(最近1ヶ月は必ず入れる)の平均売上高と比べて5%以上減った
   B-最近1ヶ月の売上が令和元年12月の売上高と比べて5%以上減った
   C-最近1ヶ月の売上が令和元年10月~12月の平均売上高と比べて5%以上減った
のどれかに該当する場合

【融資限度額】中小事業3億円、国民事業6,000万円
【資金の使い途】運転資金、設備資金
【担保】無担保
【貸付期間】設備資金20年以内、運転資金15年以内
【据置期間】5年以内
【金利】当初3年間は基準金利▲0.9% 4年目以降は基準金利

さらに、この貸付には
・個人事業主には、影響に対する定性的な説明でも柔軟に対応
・令和2年1月29日以降に既に日本政策金融公庫等から借り入れをおこなった場合でも、そこまで遡ってこの条件を適用
という特別な条件まで付けられています。

◎詳細は日本政策金融公庫窓口でお問い合わせください。
⇒平日の相談対応 日本政策金融公庫 事業資金相談ダイヤル:0120-154-505
⇒土日・祝日の相談対応 日本政策金融公庫(国民生活事業:0120-112-476)(中小企業事業:0120-327-790)

金融面での追加支援策その3:商工中金による危機対応融資

日本政策金融公庫の「新型コロナウイルス感染症特別貸付」とは別に、「商工組合中央金庫(商工中金)」も新型コロナ感染症による影響を受けた事業者に対して資金繰りを支援することを決めました。3月19日から受付が開始されていて4月中旬より制度適用が開始されます。

【融資対象】【資金の使い途】【担保】【貸付期間】【据置期間】【融資限度額】【金利の引き下げ率】などはほぼ「新型コロナウイルス感染症特別貸付」と同じです。

◎詳細は商工組合中央金庫相談窓口でお問い合わせください。
⇒平日・休日 9:00~17:00 0120-542-711

金融面での追加支援策その4:借り入れが無利子になる!特別利子補給制度

日本政策金融公庫の「新型コロナウイルス感染症特別貸付」と、商工中金の「危機対応融資」で借り入れをおこなった事業主の中で、特に影響の大きい事業主(事業性のあるフリーランスの方々を含む)、また売上が急減した事業者に対しては、以下のように利子補給をおこなうことが公表されました。この制度を活用することで、実質的には「利子無し」で資金を借りることができることになります。

【適用対象】上記の借り入れをおこなった者のうち、次の条件の方々
<1>個人事業主⇒売上減の要件なし(=無条件)
<2>小規模事業者(法人事業者)⇒売上高▲15%減少
<3>中小企業者(上記の<1>と<2>を除く)⇒売上高▲20%
【利子補給期間】借入後当初3年間
【補給対象上限】「日本政策金融公庫」 中小事業は1億円、国民事業は3,000万円
        「商工中金」 危機対応融資1億円

また、この利子補給制度も、令和2年1月29日以降に日本政策金融公庫で借り入れをおこなった方は遡ってこの制度を使うことができます。

◎詳細は中小企業金融相談窓口でお問い合わせください。
⇒平日・休日 9:00~17:00 03-3501-1544

金融面での追加支援策その5:生活衛生関係事業者向け融資制度

外出の自粛によって街から人が消えていくとき、もっとも影響を受ける事業者さんがおられます。たとえば寿司、麺類(うどん・そば)、中華料理、料亭、喫茶店、食堂、レストラン等の飲食業、また、食肉・食鳥肉の販売業、たとえば理美容店、クリーニング業、銭湯、旅館(ホテル、民宿等)、映画館などのサービス業の方々です。これらは「生活衛生関係事業者」として一般の事業者の方々とは別に「衛生環境激変対策特別貸付」や「生活衛生改善貸付」制度を活用できます

別枠で1,000万円の融資が受けられたり、特別貸付を利用した事業者への利子補給などが受けられたりします。ご自分のご商売が生活衛生関係であるのであればぜひこの制度が使えるかどうか確認してみてください。

◎「衛生環境激変対策特別貸付」「生活衛生改善貸付」の詳細は日本政策金融公庫 事業資金相談ダイヤルへお問い合わせください。
⇒平日の相談対応 日本政策金融公庫 事業資金相談ダイヤル:0120-154-505
⇒土日・祝日の相談対応 日本政策金融公庫(国民生活事業:0120-112-476)(中小企業事業:0120-327-790)

金融面での追加支援策その6:個人向け緊急小口資金の特例

新型コロナウイルスの影響による休業や、失業などで非正規の方や個人事業主の方を含めて生活に困窮される方のセーフティーネット強化のために、緊急の小口資金特例が追加で用意されました。

一時的な資金が必要な方(主に休業された方)が対象ですが、新型コロナウイルス感染症の影響で近い将来の仕事がキャンセルになったりして売上収入の見込みが急激に減少する個人事業主の方も対象です。
金額は、学校などの休業や個人事業主の特例の場合は20万円以内、その他の場合は10万円以内となっており、無利子で償還期限は2年以内、据置期間は1年以内となっています。

◎詳しくは、お住まいの市町村社会福祉協議会にお問い合わせください。

新型コロナウイルス感染症の影響よる支払い猶予について

事業者の売上が急減すれば、当然ながら各種支払いの原資も足りなくなります。個人でも休業や失業で急に収入が途絶える人も出てくるかも知れません。そこで、3月24日に以下のような国税、地方税、厚生年金、また電気・ガス料金の支払い猶予について支援追加策が発表されました。

支払い猶予に関する追加支援策その1:税納付の猶予制度

以下のような4つの個別の事情などがあれば、国税や地方税の納税の猶予が認められたり、延滞税が一部免除されたり、換価(売却現金化で税金を納付すること)の猶予が認められたりします。

1)災害により財産に相当な損失が生じた
 (例=新型コロナウイルス感染症の患者が発生したので施設で消毒作業がおこなわれたために、備品や償却資産が破棄扱いとなった)
2)ご本人やご家族が病気にかかった
 (納税者本人や、同じ家に住むご家族が病気にかかった場合)
3)事業を廃止し、または休止した
 (納税者が営む事業について、やむを得ず休廃業をした場合)
4)事業に著しい損失を受けた
 (納税者が営む事業について利益が減少して、著しい損失を受けた場合)

支払い猶予に関する追加支援策その2:厚生年金保険料の猶予制度

新型コロナの影響で急激に減少した売上のために厚生年金保険料等を払うと事業の継続ができなくなるなど、指定された一定の要件に該当するのなら、申請書を管轄の年金事務所へ申請すれば換価の猶予や、納付の猶予が受けられるようになっています。

「換価の猶予」や「納付の猶予」が認められると、
・猶予された金額を猶予期間中に各月に分割して納付することができる
・財産の差し押さえや換価(売却等の現金化)が猶予される
・猶予期間中の延滞金が一部免除される
などの特例が受けられます。

◎詳しくは、最寄りの年金事務所へお問い合わせください。

支払い猶予に関する追加支援策その3:電気・ガス料金の支払いについて

経済産業省は、様々な事業者や個人事業者の置かれた状況に配慮して、電気・ガス事業者に料金の支払い猶予について、そして支払い延滞による電気やガスの供給停止については、素早くそして柔軟に対応するように要請しました。

また、一時的に電気・ガス料金の支払いに困難がきたしている方(緊急小口資金または総合支援資金の貸し付けを受けた方)を対象に、料金の支払い期日を1ヶ月繰延べたり、またその後においてもその方の状況に応じて柔軟に支払いに関して対応してもらう措置が、令和2年3月25日から開始されています。

◎詳しくは、ご契約されている電気・ガス事業者にお問い合わせください。

まとめ

新型コロナウイルス感染の影響がどこまで拡大し、いつまで続くのか?は、誰にもわかりません。ですが、いつかきっと収束に向かうはずです。それまで私たちは団結して助け合い、この困難に打ち克つ必要があります。

国や自治体も様々な支援策を講じて事業者の方々がこの困難を乗り越えられるように、このように従来にないほどの強い支援策を打ち出しています。

今後も発信される情報をしっかり把握して、ご自身の事業継続のために必要なことを冷静におこなっていきましょう。

※今回の記事は令和2年3月31日時点の情報を元に作成しています。今後の情報の更新などにご留意ください。

執筆者情報

橘高総合広告研究所 代表 橘高唯史(中小企業診断士・フリーライター)
大手百貨店系通信販売カタログのディレクター業務に20年携わり、そこで培った「売れる理由」を体系化して2017年にコンサルタントとして独立。現在は公的機関の経営相談員やセミナー講師を務める一方、ライターとして執筆活動も行なっている。
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