売れるPOPの作り方(20)その続きが気になる!

最終更新日:2023年11月30日

売れるPOPの作り方(20)その続きが気になる!
仕事でも勉強でも、私たちは「最後までしっかりとやり遂げる」ことが良いことだと教わってきました。つまり「中途半端はダメですよ」「途中で止めたらだめですよ」と教わってきたはずです。

でも、実は「広告」の世界ではまったく逆!なのです!「中途半端大歓迎!」「途中で止めることが大事!」なのです。
え?そんなことってある?と思われますか?それが実はあるのです!それでは今回はそんな心理学を利用してPOPのキャッチコピーを作ってみましょう。

その前に、あるドイツの心理学研究者がおこなった実験をご紹介します。
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人は完了されたものよりも、中途半端に終わったほうが記憶に残りやすい

その実験の内容は、被験者を数人ずつAとBのグループに分けて、2つのグループに次々と多くの簡単な課題-パズルを解いたり、計算をしたり、粘土細工を作ってもらったり-を出しました。AとBのグループの違いはひとつだけ。次々と出される課題を、Aのグループには「課題が完了」してから出したのに対して、Bのグループには「課題が完了する前」にわざと切り上げて次の課題を出したのです。

で、最後に「どんな課題があったか思い出して書いてください」と質問しました。すると、Bのグループの人はAのグループの倍の数の課題を答えることができたのです。これは何度実験しても同じ結果になったそうです。

この実験は次のことを物語っています。

人は完了されたものよりも、中途半端に終わったほうが記憶に残りやすい

実は、この心理学の現象を私たちは誰しも経験しています。たとえば恋愛。あなたは「自分で終わらせた恋愛」よりも「相手から終わりを告げられた恋愛」、もっと言えば「ふった」人よりも「ふられた」人の方が記憶に残っていませんか?これは「ふられた」ことでその恋愛が未完成に終わってしまったから記憶に強く残っているわけです。だから何も未練がどうこうということではなくて、ふられた人のことを思い出すのは人間の深層心理の影響なんですね。これで少しは安心しましたか?(苦笑)

心理学ではこの効果を実験をした人の名前をとって「ツァイガルニク効果」と呼んでいますが少し覚えにくい名前ですね。ですのでここではもっと覚えやすい名前をご紹介します。

続きが気になる現象-「ツァイガルニク効果」

私たちは、恋愛だけでなく、日常的にこの現象を目にしています。たとえばテレビ番組。CMの前に「続きはCMのあとで!」とか「驚きの理由はCMの後に!」などのナレーションを聞いたことがあるはずです。

また、面白くて読むのに熱中しだしたタイミングで切り上げられた「本の内容」や、ふとつけたスポーツ中継を、結果を見る前に用事が入って最後まで見ることができなくなった時など。「なぜか気になる、続きが気になる」ということを誰しも経験しているはずです。

そうです。人は「この後どうなるの?」「続きはどうなるのだろう?」となった時、気になってしまう動物なのです。中途半端を中途半端で終わらせたくない心理が働くのですね。

いわゆる「続きが気になる現象」です。どうですか?「ツァイガルニク」よりも身近で覚えやすいでしょう?

「続きが気になる」を、POP広告に活かす

この現象をテレビだけでなく「POP作り」にも活かしましょう!キャッチコピーをあえて「中途半端」に終わらせることで、お客様の記憶に残るPOPや商品に仕掛けていきましょう。

たとえば次のA、Bのコピーでは、どちらの方が気になりますか?

A「この美味しさの秘密は、●●●と■■■と▲▲▲の3つが入っているからです!」
B「この美味しさの3つのヒミツを食べてから実感してください」


どうですか?Bの方が気になりませんか?実はAの方が答えをしっかりと書いてくれていますが、人はBの方が気になるんですね。

最近は本のタイトルもかなりこの方法が使われています。

よくあるパターンでみると
A「人生を楽しむたった一つの方法は●●●でした!」
ではなくて、
B「人生を楽しむたった一つの方法とは?」
というタイトル付けになっています。

最近、特に広告の世界では「中途半端」があふれています。
では、もう少しこの「続きが気になる現象」を使ったPOPのキャッチコピーを考えてみましょう。

【食べてみないとこの感動は体験できません!】

【見るだけではわかりません!美味しさの秘密は買ったあとで】

【なぜこんなに支持されるのか、は、ひと口食べればわかります!】


全部、買った人にしか「完成できない」仕掛けになっています。「(続きが)気になる人は買ってみて!」というコピーですね。ちょっと気になるでしょう?(苦笑)

いかがでしたか?この「続きが気になる現象」。納得してもらえましたか?本当はこのコラムの最後の最後で「この現象のヒミツは次回に!」なんて仕掛けをしたかったのですが・・・それは無理なので最後まで説明させていただきました!
あなたもぜひいろいろな「中途半端」なPOPを作ってみてくださいね。

執筆者情報

橘高総合広告研究所 代表 橘高唯史(中小企業診断士・フリーライター)
大手百貨店系通信販売カタログのディレクター業務に20年携わり、そこで培った「売れる理由」を体系化して2017年にコンサルタントとして独立。現在は公的機関の経営相談員やセミナー講師を務める一方、ライターとして執筆活動も行なっている。
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