売れるPOPの作り方(18)「マジカルナンバー」を意識する

最終更新日:2023年12月04日

売れるPOPの作り方(18)マジカルナンバー
突然ですが・・・「八百屋さん」というのはなぜ「八百屋」と名付けられたかご存知でしょうか?八百屋さんは文字通り「800」の物を取り揃えているお店、という意味です。

商品の種類や品ぞろえが今ほど豊富でなかった昔は、「800の品がある」というお店の「売り文句」(今でいうと「ストア・コンセプト」になるのでしょうか)は「非常に品揃えが豊富」ということを表していました。

ではなぜ「800」なのでしょう?1000の「千屋」でもなく、「七百屋」でもない・・・。その答えは「心理学」が教えてくれます。
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マジカルナンバー-人が瞬時に覚えられる情報は"7つ"まで

実は、人が瞬時に覚えられる情報量は「7」まで、というのが心理学上は定説となっています。「無くて七癖」というのはよく言ったもので「7つまでなら覚えられるでしょ?」という意味で「七癖」と言う数字が使われたと言われています。

これで「八百屋」の意味が解りますね。「八」というのは「七」以上、つまり「覚えられないくらいたくさんありますよ」ということなのです。

この実験結果はPOPを作る時の大きなヒントを与えてくれます。というよりも、知っておくと非常に有利な事実です。それは「人は一瞬にはそれほど多くのことを覚えられない」ということを表しています。

この数を心理学上では「マジカルナンバー」と言います。ある実験で、人間が瞬間的に記憶できる情報の最大数は個人差を含めても5から9の間。つまり7を中心として±2であることが判明しました。

マジカルナンバー

たとえば、次のようなコピーを並べた広告があったとします。これを目にしたあなたはどう反応するでしょうか。

1.この野菜は甘くて美味しい新鮮な野菜です!(←情報は3つ)
2.この野菜は有機栽培で作られています!(←情報は1つ)
3.この野菜はビタミンがたっぷりで、栄養満点です!(←情報は2つ)
4.この野菜はお店の一番人気で、毎日15個の限定品です(←情報は2つ)


この時点でもう情報は8つになっていますね。

5.そのうえ、今日はお得な特売日で10%OFFです!(←また1つ情報が増えました)

情報量が多すぎて、読む気にもならない、スルーしてしまう・・・そんなところではないでしょうか。
この広告の情報量は「マジカルナンバー=7」より多く、人が覚えられる情報量を越えてしまっている、ということです。

言いたいことを絞り込む

実はこれ、すごく陥りやすい「POP(広告)の罠」なのです。売り手はとにかく自分たちの商品の良いところを「いっぱい言いたい」ですから、書けば書くほど「良い広告」のように感じてしまいます。
でも、受け取るほうはどうでしょう。情報が多すぎて結局なにも記憶に残らない・・・ということになってしまいます。

ですから、あなたがPOPを作るときは「マジカルナンバー」を必ず意識するようにしましょう。これは、POPを作るときに限らず、です。
最も伝えたいことを絞りこんで相手に伝える」ということが重要です。

言いたいことを絞り込む

現代人は本当に多くの情報(広告もその中の一つです)に囲まれて生きています。今、改めて実験してみたら、たぶんマジカルナンバーはもっと小さな数字になるかもしれません。実際のところ、最近では「マジカルナンバー=4」という説も発表されています。
あなた自身に問いかけてみてください。一度に覚えられることっていくつですか?

上の宣伝文句の例にあるように、言いたいことはたくさんあるもの。でも、欲張りすぎると伝わらない。何を残して(POPに書いて)、何を捨てるか(POPに書かないか)を選り分ける作業が必要です。
これって「POPに何を書いたらいいのかな?」と悩む以上に難しいことなのです。昔、先生に「作文って原稿用紙に10枚書くよりも3枚で書く方が難しいのだよ」と言われませんでしたか?

情報のあふれる時代、まず、マジカルナンバーを「4」か「3」にして考えてみましょう。
取捨選択は難しいけれど、そうやってあなたが悩み抜いて残したコピーはお客様のココロをぐっと引きつけることになるはずです!

執筆者情報

橘高総合広告研究所 代表 橘高唯史(中小企業診断士・フリーライター)
大手百貨店系通信販売カタログのディレクター業務に20年携わり、そこで培った「売れる理由」を体系化して2017年にコンサルタントとして独立。現在は公的機関の経営相談員やセミナー講師を務める一方、ライターとして執筆活動も行なっている。
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