督促状とは?書き方を徹底解説!テンプレートも紹介
最終更新日:2024年08月27日
この記事では、督促状の概要に加えて、督促状の書き方や送り方などを解説します。督促状のテンプレートも紹介しますので、参考にしてください。
- 督促状とは?
- 督促状と催促状の違い
- 督促状を送るときの手順は?
- 督促状の書き方
- 基本構成
- 書き方【テンプレート付】
- 送り方
- 督促状に関してよくある質問
- 督促状を送るタイミングは?
- 督促状に法的な効力はあるのか?
- 支払いがない場合はどうしたらいいの?
- まとめ
督促状とは?
督促状とは、商品やサービスの売掛債権やお金の貸付債権、その他の債権を持っている者が、相手方つまり債務者に対して支払いを行うように促すための書類です。
金銭の支払い以外の何かしらの行為、たとえば商品が期限内に納品されないときに納品を促すなどの際にも督促状が使われることもありますが、一般的には金銭債権の支払いに対して使われます。
ビジネスを行う上では、金銭債権には支払期限が設けられます。即日払いならその日が支払期限になりますし、翌月末払いなら翌月末が支払期限となります。
この支払期限を超過しても支払いがない場合に、相手方に対して支払うように求める手段の一つが督促状です。
督促状と催促状の違い
督促と似たような言葉に催促という言葉があります。ビジネスの場面では督促状や催促状といった言葉で使われます。この両者については特に法的な違いはありませんが、一般的には、督促に比べて催促のほうがやわらかいイメージがある言葉です。
ただし、督促という言葉は一般的には支払いを促すという意味で使われますが、税法上も税金が未納の者に対して納付を促すという意味で使われる法律用語でもあります。そのため、催促状に比べて督促状という言葉にはより法律的な響きがあります。
さらに似たような書類で「催告書」という書類もあります。催告書は税金や社会保険料の未納者に対して支払いを督促する際に使われる書類の正式名称です。
まとめると、金銭の支払い等を促すための書類として、督促状、催促状、催告書がありますが、督促状は催促状に比べてより法的な響きが強い書類であり、特に税金や社会保険料の未納者に対する督促には催告書という書類が使われるということになります。
また、支払を行わない者に対して裁判所に申し立てる手続きを「支払督促」といいます。このように督促という言葉は裁判所の手続きでも使われる正式な言葉といえます。
督促状を送るときの手順は?
裁判所による支払督促は法律で決められた手続きに沿って送付されますが、債権者が自ら発送する督促状にはこれといって決まったルールはありませんので、相手先との関係性などを考慮して段取りを決めることになります。
支払いが1回程度遅れたからといって、いきなり督促状を発送すると角が立ちますので、実務上は以下のような流れで督促状を送付するケースが多いです。
- 電話やメールによる振り込み状況や振り込み予定日の確認
- メールや書面による支払の催促
- 督促状の郵送
- 差し押さえなどの法的措置の実行
メールの代わりにチャットツールを用いてやり取りしている場合はチャットツールによる催促も行われますが、督促状は内容証明などの郵便で行うことが通例です。
督促状の書き方
督促状の書き方は督促する内容に応じて決まります。ただ一定のルールがありますので、以下の内容を参考に作成してください。
基本構成
督促状には一般的に以下の内容を記載します。
・宛先
督促状を発送する宛名については、法人が相手先である場合はまずは法人名を記載します。請求している部署がわかれば部署名を記載します。
また、宛名については担当者ではなく責任者(法人の規模によっては代表者)の氏名を記載したほうがよいでしょう。
・発行日
督促状を送るということは、支払期限からある程度の期間遅延していることになります。そのため発行日を明記して、遅延が発生していることを明確にしておきます。
・差出人
社名のほか部門を記載します。氏名については担当者でもよいですが、重要な文書であることを強調するために上役(法人の規模によっては代表者)名を記載したほうがよいでしょう。押印については必須ではありませんが、押印しておくことで単なるお知らせではない文章であることを印象づけられます。
・タイトル
タイトルについては、単に「督促状」とするよりは「○○代金支払いに関する督促状」とすればよいでしょう。督促状という言葉を使うことがはばかられる場合は「○○代金支払いに関するご依頼」などでもよいでしょう。ただ、文書を発送するくらいに遅延しているのであれば相手に対してそれほど遠慮する必要はないかもしれません。
・内容
督促状には以下の点を言及しておきましょう。
- 請求書を発行した日
- 支払いが遅延している請求の内容
- 支払いが遅延している金額
- 督促状を発行するまでの経緯(メールや電話などで何回支払いを催促したかなど)
- 支払いの最終期限と、期限を過ぎれば法的措置をとる旨
- 場合によっては取引継続のためには前金制にする旨など
言葉遣いには気をつけつつも、法的措置に入る直前段階であることをしっかりと相手方に認識してもらう必要があります。
書き方【テンプレート付】
督促状の書き方を項目ごとに解説します。
宛先の書き方
または
○○株式会社 部署名・役職名 ○○○○様/代表取締役社長 ○○○○様
発行日の書き方
差出人の書き方
担当:○○支店○○○部 ○○○○(担当者名)
〒000-0000東京都○○区○○ 1-2-3
○○ビル 1F
電話番号:03-0000-0000
タイトルの書き方
・○○代金支払いに関する督促状
・お支払いのお願い
・商品代金のお支払いについて
・○○代金お支払いについてご確認
・○○代金支払いに関するご依頼
※上記のいずれか
内容の書き方
かねてよりお支払いが遅れております□□の代金につき、○月○日付で督促状を差し上げ、その後再三にわたってご連絡をしておりますが、いつもご不在とのこと、ご送金はおろか、誠意のあるご回答もいただいておりません。
当社といたしましては、このような状態でいつまでもお待ちすることはできませんので、○○年○月○日までにお支払いいただけない場合には、遺憾ながらしかるべき法的措置を取らせていただきます。
何卒、至急のお支払い、もしくは誠意あるご回答を願い申し上げます。
草々
督促状は法的措置に入る前の最終段階です。目的は支払いを受けることなので、時候のあいさつなどは記載せずに「前略」としてもよいでしょう。淡々と事実を記載して支払いを促すことが重要です。
送り方
督促状は信書に該当するので、郵便で発送します。一般的には普通郵便が使われますが、確実に相手に届いたことを確認するために書留やレターパックなどを使ってもよいでしょう。
督促状にはどの請求書に関する督促なのか判別しやすくするために、請求書のコピーも入れておくと相手方にもわかりやすいでしょう。
封筒には「督促状在中」「要開封」などと記載して重要な郵便物であることを示しましょう。
ただし、よほど相手が悪質であると思われるケースでは、のちの法的措置に備えて内容証明郵便での発送も検討したほうがよいでしょう。
督促状に関してよくある質問
督促状を作成するにあたってよくある質問をまとめました。督促状を作成する際の参考にしてください。
督促状を送るタイミングは?
先ほども記載した通り、支払期限を過ぎたとしても、いきなり督促状を郵送することは通常ありません。まずは相手に電話やメールなどで請求書の存在を認識しているか、支払いはいつになるのかといったことを確認します。
そのうえで、取り決めた期日を超過した場合に改めて支払期日を指定して催告を行います。それでも支払ってこなければ督促状を発送することになります。催告した期日を1日でも超過すれば督促状を発送してもよいでしょう。
上記は一般的な流れであり、支払遅延が複数回続いているようなケースでは、請求書記載の支払期限を過ぎたら督促状を発送するといった措置も必要になります。
ただ、複数回遅延するような事業者については、前金でないと取引しないといったことや保証金を預けてもらうといった別の措置も考える必要があるでしょう。
督促状に法的な効力はあるのか?
督促状の発行はあくまで支払いを促すために行います。もともと相手方には支払いの義務があるわけなので、督促状を発行することで新たに相手に義務が発生するというわけではありません。
ただし、もし督促状を内容証明郵便で送れば、それは法的措置をとったときの重要な証拠になります。内容証明郵便は、郵便局で控えが保存されるので、万が一相手が請求書や督促状を受領していない旨を主張したとしても、内容証明郵便で発送したことを郵便局側で証明してくれます。
話は変わりますが、税金を滞納した場合に差し押さえの前段階としても「催告書」が税務署から滞納者に発送されます。この催告書は民間でやりとりする督促状と異なり、法律で定められた手続きです。催告書の発送から10日以内に国税が完納されない場合は差し押さえ手続きが開始されます。逆にいえば催告書を発送しないと税金の滞納に基づく差し押さえはできないということになります。
民間でやりとりする督促状と、税金の滞納による催告書はまったく別の書類なのでしっかりと区別しておきましょう。
出典:第37条関係 督促|国税庁
支払いがない場合はどうしたらいいの?
督促状に指定した期限までに相手が支払ってこなかった場合には、いよいよ法的措置を取ることになります。
まずは「催告書」(「催告状」とは異なります)を作成しましょう。催告書とは、請求したお金が期日までに支払われない、貸金が返済されないといった場合に「早急に支払ってほしい」「支払われなければ法的処置をとる」という旨を催告するための書面です。
催告書は基本的に内容証明郵便で送付します。内部証明郵便は指定された郵便局でしか取り扱いがないので、事前に郵便局に問い合わせましょう。
催告書を送付しても支払いがない場合、検討するのが「支払督促」です。督促状と名称が似ていますが、支払督促は法律に定められた債権回収の手段の一つです。
支払督促は相手先の所在地を管轄する簡易裁判所に対して申し立てます。申し立てが認められると簡易裁判所から相手方に対して支払督促が発送されます。
相手方に支払督促が到着してから2週間以内に相手方からの異議申し立てがなければ所定の手続きを経て差し押さえが可能となります。なお相手方からの異議申し立てがあれば、支払督促は失効して訴訟に移行します。そのため、支払督促は相手方から異議申し立てがなさそうなケースで有効です。
また、支払督促は裁判所から発送される書類なので、督促状以上に届いたときのインパクトがあります。相手が支払遅延していることを認識していれば、支払督促まで届けば何かしらのアクションを起こしてくれることも期待できます。
また、差し押さえができる段階になっても、手間やコストがかかるため、できるかぎり相手が自発的に支払ってくれることが望ましいでしょう。いつでも差し押さえできることをほのめかしつつ、相手と最後の交渉を行うことも重要です。
まとめ
ビジネスにおいては商品やサービスを販売することも重要ですが、代金回収も重要です。どれだけモノを売っても、代金が回収できなければ会社は倒産してしまいます。督促状は代金回収のための手段の一つであり代金を回収することが目的です。会社の経営を守るためには、大幅に支払遅延している相手先に対して遠慮しすぎるわけにはいきません。督促状などを使って代金回収は確実に行いましょう。
監修者情報
司法書士事務所V-Spirits 代表 渋田貴正(税理士・司法書士・社会保険労務士)法書士事務所V-Spirits代表、税理士法人V-Spirits社員税理士。
税理士法人V-Spiritsでは、開業時の融資サポートや事業計画の策定支援、会社設立支援、開業後の税務顧問など起業家のためのワンストップサービスを行っている。
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督促状とは、取引上の約束が、実行されていなかったり遅れている場合に、相手に催促をする目的で書かれる手紙です。そのテンプレートをご用意しました。督促状を送る必要がある場合に、ひながたとしてご利用ください。督促状のWord(ワード)形式のテンプレートは無料でダウンロードしていただけます。