「ソーシャルメディア利用管理規程」策定のポイントとテンプレート

最終更新日:2024年04月11日

「ソーシャルメディア利用管理規程」策定のポイントとテンプレート

昨今、ソーシャルメディアの利用は急速に広まり、個人、法人を問わず、なくてはならない媒体となりました。日本の皇室がインスタグラムを開設したニュースも記憶に新しいところです。
利便性が高い反面、思わぬところで被害が発生する、また、発生させてしまう危険性があることは、日々のニュース等で様々なトラブル情報が報じられていることからも明らかです。これは決して他人事ではありません。
企業としても、こうした事態を起こさないよう対策を講じることは不可欠です。
そこで、本コラムでは「ソーシャルメディア利用管理規程」の策定について解説します。
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ソーシャルメディアとは?

「ソーシャルメディア」とは具体的にどういったものを指すでしょうか?
ブログ、そしてInstagram、Facebook、LINEなどのSNS、X(旧Twitter)、YouTube、TikTok、ニコニコ動画など、インターネット上において双方向でのコミュニケーションができ、情報発信ができるメディアになります。

ソーシャルメディアがはらむ危険性

昨今、迷惑動画の投稿が炎上し、企業に損害を与えるといったニュースが後を絶ちません。「バイトテロ」もそのひとつです。
このような違法行為、または所属する組織のルールや規律に違反した行為を、本人が「法を犯している」、「ルールを破っている」、「社会的に常識を逸脱している」という認識や自覚がないまま気軽に投稿してしまうという現実があります。不特定多数の方が見ている、見る可能性があり、それによってどのような影響や結果が生まれるかということを想像できていないのでしょう。

情報を発信する際には、「違法行為ではないか」、「所属する組織のルールや規程に反していないか」、「社会的に問題になる行為ではないか」、「誰かを侮辱してはいないか」、「名誉棄損になる発言ではないか」ということを常に意識し、注意力を働かせることが今後もますます重要になってきます。

「個人情報の特定」という観点からみても、注意が必要です。
その手のプロの手にかかれば、ソーシャルメディア上のちょっとした情報や写真などからいとも簡単に個人が特定されてしまいます。それによって犯罪・事件に巻き込まれたり、攻撃にさらされたりするリスクもありますから、自身を守ることに加え、他者をも巻き込んでしまう危険性を考慮し、たとえ親しい間柄であってもプライバシーを侵害する可能性がある発信は絶対にやめるべきです。

また、「発信した情報への責任」という観点からは、情報を発信する際には、その内容が本当に正しいものなのかを常に確認していくことも重要です。ファクトチェックを徹底するとともに、万が一誤った情報を発信してしまった際の対応についても想定しておきましょう。

注意する点をあげればきりがありませんが、組織としては「ソーシャルメディア利用管理規程」を策定し、メンバーが規程に沿ってソーシャルメディアを活用・運用することを徹底していくことが現代社会においてはマストです。

「ソーシャルメディア利用管理規程」策定のポイント

それでは、「ソーシャルメディア利用管理規程」の策定方法について解説をしていきます。

ソーシャルメディアを利用した情報発信は、企業においても必要不可欠な時代です。
当然良い面もあれば、前述したとおり危険と隣り合わせとなる面もあります。
いかにしてこのリスクを回避していくかという点において、社内でルールを策定することが初めの第一歩となります。スタッフの何気ない投稿が、会社の信用を失墜させてしまうことのないよう、まずはルールを明確にしていきましょう。

「どのような目的で作成するのか」を明確に

それでは、どのような目的をもって作成するべきでしょうか。
リスク回避の目的から、大きく以下の3点を明確に定めることが重要となってきます。

  1. 規程違反となる行為・ルールを社内全体で共有することによりモラルの向上を計る!
  2. 発生し得るあらゆるトラブルを想定し、回避策・対応策を明確に!
  3. 違反者への処罰等罰則規定を定め、トラブルを抑止する!


残念ながら、利用管理規程を定めたところで従業員一人一人の意識が変わらなければせっかくのルールも無意味なものとなってしまいます。また、従業員数が多くなればなるほどその徹底は難しく、一人でも認識レベルの低いスタッフがいれば、その人の何気ない行為ひとつでトラブルは発生してしまいます。
そのリスクを回避することは至難の業と感じるでしょうが、ルールの明確化・共有化となる利用管理規程を作成しないことには何も始まりません。

「なぜソーシャルメディア利用管理規程を策定したのか」という目的を明確にし、スタッフ全員がしっかりと理解できるような内容にする必要があります。

「何がルール違反になるのか」が具体的にわかるように

内容の策定にあたっては、会社内における業務を勘案し、想定し得るトラブルを洗い出し、それらを回避するために必要となる遵守事項を具体化して定めていくことが重要になります。

業務上の公式アカウント等からの情報発信ルール策定は当然のことですが、プライベートでの企業に関する発信についてはどこまで制限をするか、業務中のプライベート端末の使用を禁止するなど、何がルール違反になるのかが具体的にわかるように提示していきましょう。また、社用パソコンやスマートフォン・タブレット端末を利用した情報発信について定期的にモニタリングを実施するなど、常に「ルールを意識させる」ことも重要です。

ルール遵守のためには罰則規定も

そして、ルールを遵守させるために重要な点が、処罰に関する規定です。
万が一、スタッフの行為により会社へ損害が発生してしまった際の「損害賠償」に関する規定や、「懲戒処分」の対象となることを明記しておくことが、ルールを徹底させることにもつながり結果としてトラブル防止に繋がります。
なお、「懲戒処分」に関しては、法律上以下の点をすべて満たす必要があります。

  • 根拠となる規定があること
  • 懲戒事由に該当する事実があること
  • 懲戒処分の内容の程度に相当性があること

以上のように、懲戒となる理由項目が明記されている必要があり、ルールが定められていなければ処分することができません。
また、懲戒事由に該当する事実がないといけないということは、証拠となるものが必要となり、疑わしいということでは処分できないということになります。
そして、処分に該当する場合でも、その処分内容が企業へ与えた損害を鑑みて相当な処分であるかどうかといった点も考慮する必要があります。
したがって、「懲戒処分」の規程を定める際には、法律上の要件も確認し検討することが大切なポイントとなってきますのでご注意ください。

社内規程・労使協定のテンプレート紹介
ソーシャルメディア利用管理規程

ソーシャルメディア利用管理規程

従業者が業務上または私生活上でソーシャルメディアを利用するにあたり、会社や取引先その他関係者の利益や権利を害しないために遵守すべき事項を定め、適正なソーシャルメディアの利用を推進することを目的とするソーシャルメディア利用管理規程テンプレートです。
用語の定義、遵守事項、規程違反による損害賠償、規程の所管等について定めています。
なお、本書は、規程の改廃を「規程等管理規程」にて行うことが前提の規程となっております。その他関連する社内規程等に応じて適宜修正願います。

<監修:エニィタイム行政書士事務所行政書士KIC事務所
※テンプレートには赤文字で解説が書かれています。使用時には削除してください。
※テンプレートのご利用について、当社では責任を負いかねます。ユーザー様ご自身の責任においてご利用いただきますようお願い致します。

まとめ

ソーシャルメディアの利用管理規程は、あくまで業務上に関するものです。
プライベート端末の利用を業務中に制限することはできたとしても、業務外まで制限することは難しいでしょう。仮にそこまで制限してしまうと、逆に慰謝料請求の対象ともなりかねません。

しかしながら、過去の判例において、「会社の社会的評価に重大な悪影響を与えるような従業員の行為については、それが職務遂行と直接関係にない私生活上で行われたものであっても、これに対して会社の規制を及ぼしうることは当然に認められなければならない」と示されています。

そこで大事なのが、これまで説明してきたとおりソーシャルメディア利用管理規程を通して、従業員全員に目的をしっかりと理解してもらいモラルの向上を計ることです。
その行為が、会社だけでなく、自身にとっても大きな損害になるリスクを含んでいることを想像できるきっかけとなることでしょう。
会社および従業員を守っていくうえでも、トラブル防止の観点からも、策定にあたっては具体的でしっかりと理解してもらえるものしていくことが大事なのではないでしょうか。

本サイトに、「ソーシャルメディア利用管理規程」テンプレートも掲載していますので、ご参考にいただき、会社の業務内容に合わせてカスタマイズして活用いただければ幸いです。

執筆者情報

エニィタイム行政書士事務所 代表 中村 充(行政書士)
早稲田大学商学部卒業後大手通信会社に入社、法人営業や法務業務に携わる。2009年に行政書士資格を取得し、2017年、会社設立及び契約書作成に特化した事務所を開業。弁護士・司法書士・税理士・社会保険労務士等各種専門家との連携体制を構築し、企業活動のバックオフィス業務すべてのことをワンストップで対応できることも強み。
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行政書士KIC事務所 代表 岸 秀洋(行政書士・銀行融資診断士)
司法書士事務所での勤務を経て、2006年に行政書士試験に合格、2014年に行政書士登録開業する。司法書士事務所勤務時代から約100件以上の会社設立サポートを経験してきたなかで、単なる手続き業務にとどまらない伴走者としてのサポートをしていきたいと考え、事業計画・損益計画の作成から融資のサポートや資金繰り計画など財務支援までおこなうのが強み。
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