電子帳簿保存法改正 PDFの請求書、領収書はどう管理すればいい?

2022年03月10日

電子帳簿保存法改正 PDFの請求書、領収書はどう管理すればいい?
テレワークやECの普及により、見積書や注文書はもちろん、請求書や領収書もPDFなどの電子データでやり取りするケースが増えてきました。
これまでは、PDFで受け取った伝票やWebサイトからダウンロードした領収書なども、プリントアウトして紙の伝票と一緒に一元管理することが可能でしたが、2022年1月1日の電子帳簿保存法改正により「電子データで授受したこれらの電子取引書類はデータで保存しなければならない」ことになりました。つまり、原本がデジタルデータの伝票類は、デジタルのまま保存してください、ということです。
そして、電子保存するにあたってはいくつかの要件が定められています。
※義務化については2023年12月末まで猶予期間が設けられました。

電子保存の要件とは

電子帳簿保存法が規定する電子保存要件は、「電子帳簿等保存」「スキャナ保存」「電子取引」の各区分でそれぞれに設定されていますが、電子データで授受される請求書や領収書などは「電子取引」にあたります。
その保存要件としては、大きく「可視性」「真実性」の要件が定められています。

可視性の要件

これはつまり、いつでも目的の伝票(取引関係書類)がすぐに探せて、誰でもわかるよう内容を表示・出力できる状態にしておくこと、ということです。具体的には次のように規定されています。

(1)保存場所に、電子計算機(パソコン等)、プログラム、ディスプレイ、プリンタ及びこれらの操作マニュアルを備え付け、画面・書面に整然とした形式及び明瞭な状態で速やかに出力できるようにしておくこと
(2)電子計算機処理システムの概要書を備え付けること(自社開発のプログラムを使用する場合)
(3)取引年月日およびその他の日付、取引金額及び取引先を検索の条件として設定することができること
※日付または金額の範囲指定や2つ以上の任意の項目を組み合わせた条件で検索できること

なお、(3)の検索要件については、電子取引が行われた年度の前々年度の売上高が1,000万円以下の場合は対象となりません。

(1)については、すでにクリアしている企業がほとんどでしょう。(2)は、自社開発のプログラムを使用しているのでなければ不要です。
問題は(3)の保存要件ですが、これも、検索しやすいようにファイル管理をすればOKです。国税庁の「電子帳簿保存法一問一答」ページで配布されている【電子取引関係】の一問一答集にその方法の一例が案内されていますが、ファイル名に検索対象項目「取引年月日、取引先、取引金額」を記載して、ファイル検索で探せるようにしておく方法や、これらの情報をリストアップしたファイル索引簿を作成する方法なども紹介されています。

真実性の要件

もうひとつ「真実性の要件」というのがあります。これはつまり「不正な訂正・削除などの改ざんがおこなわれないようにすること」です。

この要件を満たすために、タイムスタンプの付与、あるいはそれに代わるシステムを導入しなければいけない、と考えてしまうかもしれませんが、そんなことはありません。後述しますが、「訂正削除の防止に関する事務処理規程を策定し、それに従って適切に運用する」方法でもよいとされています。

書類の検索に「索引簿」を利用する

電子保存の検索要件を満たす、ということはつまり、取引日付や取引先、金額によって検索ができ、目的の書類をすぐに探し出して提出できるように管理する、ということです。それさえできればどのような方法でもかまわないのですが、そのひとつとして「索引簿」を作って管理する方法があります。
電帳法で指定された検索項目だけでなく、伝票番号や顧客コード、担当者など、別項目でも検索したい場合には、管理項目に幅を持たせられるこの方法が便利です。

索引簿テンプレート

テンプレートBANKでは、索引簿テンプレート(Excel用)を提供しています。
最もシンプルなものには、「ファイルNo」(ファイルとの照合用)、「日付」、「取引先」、「金額」、「備考」の各項目を設定しています。それ以外に「種別」(請求書、領収書、注文書など書類の種類)、「伝票No」、「(取引先)コード」、「担当」、「受領日」などを記入するタイプもありますので、検索時によく使用する項目が含まれるテンプレートをお選びください。
備考欄の使い方は自由ですが、訂正があった場合はその記録、あるいは関連づけたい伝票のNoなど、特記事項を記入してください。
Excelなら、フィルター機能や文字列検索機能を使えばすぐに目的のものを探し出すことができます。

なお、管理したい伝票・書類の件数が多い場合は、月ごとにシートを分けたり、特定の相手先との取引が多い場合は、取引先別にシートを分けるなどしてご利用ください。

ところで、原本ファイルだけでなく、この索引簿自体も適切に管理する必要があります。
伝票ファイルの保存場所、保存時のファイル名の付け方、索引簿記入担当者、チェック担当者など社内でルールを決めて管理・運用するようにしてください。
ファイルの保存先フォルダにアクセス権限を設けたり、索引簿ファイルにパスワードを付すのも有効です。

タイムスタンプなしで不正な改ざんを防止する

紙でやり取りされる伝票には通常社判が押されていますから、容易に改ざんはできません。ですが、電子データとなると、編集可能なソフトがあれば書き換えができてしまいます。
それを防ぐための手段として、「タイムスタンプの付与」が推奨されますが、コストがかかるうえに新たな事務処理が発生するわけですから、二の足をふんでしまう企業の方も少なくないのではないでしょうか。
今回の電帳法改正では、電子データで授受した伝票の電子保存を要求する一方で、タイムスタンプの付与は必須要件とはされていません。「電子計算機を使用して作成する国税関係帳簿書類の保存方法等の特例に関する法律施行規則」第4条にいくつかの方法が示されていますが、より対応しやすい方法として下記(4)「訂正削除の防止に関する事務処理規程を策定、運用、備付け」があります。これなら、コストをかけることなく対応できます。

(1) タイムスタンプが付与されたデータを受領
(2)速やかに(又はその業務の処理に係る通常の期間を経過した後、速やかに)タイムスタンプを付与
※取引情報の授受から当該記録事項にタイムスタンプを付すまでの各事項に処理に関する規程を定めている場合に限る
(3) データの訂正削除を行った場合にその記録が残るシステム又は訂正削除ができないシステムを利用
(4)訂正削除の防止に関する事務処理規程を策定、運用、備付け

電子取引データの訂正及び削除の防止に関する事務処理規程

とはいえ、事務処理規程を設けるにしても、どんな内容にすればよいのか?悩みますよね。
テンプレートBANKでは、国税庁が配布している見本をベースにした事務処理規程のテンプレートを提供しています。
内容は、自社に合わせてカスタマイズしてご利用ください。

テンプレート紹介
電子取引データの訂正及び削除の防止に関する事務処理規程

電子取引データの訂正及び削除の防止に関する事務処理規程

電子帳簿保存法改正により、PDFなどの電子データで授受した請求書や領収書等の電子取引関係書類は、データのまま保存する必要があります(義務化は2024年1月から)。それに伴い、不正な訂正・削除がおこなわれないように適切に管理しなければなりませんが、その手段のひとつが、改ざん防止のため事務処理規程を設けて運用する、という方法です。
この「電子取引データの訂正及び削除の防止に関する事務処理規程」テンプレートは、国税庁がサンプルとして配布している事務処理規定の雛形をベースにしています。自社の状況に合わせカスタマイズしてご利用ください。
また、「取引情報訂正・削除申請書_完了報告書」テンプレートもご用意していますので、合わせてご利用ください。
※テンプレートには赤文字で解説が書かれています。使用時には削除してください。

取引情報訂正・削除申請書/完了報告書

規程では、基本的に書類の訂正や削除は禁止していますが、発行後に訂正が入ることもありますよね。そのような場合は、処理責任者が申請し、管理責任者の承認を得たうえで、訂正・削除をおこない報告する、ということになっています。
その際に使用する「取引情報訂正・削除申請書/完了報告書」テンプレートもご用意しました。申請から完了報告まで、1枚で完結するようになっています。

申請・報告書は紙に印刷、またはメールや社内コミュニケーションツールなどでやり取りしてご利用ください。ただし、デジタルでやり取りする場合、「書き換え」も簡単にできてしまいますから、申請から完了までの流れを、処理責任者、処理担当者、管理責任者の関係者全員が見えるようにしておくとよいでしょう。

申請書・完了報告書は、記録を残すため、対象となる伝票の保存期間のうちは合わせて保存しておくことをおすすめします。
また、訂正前の書類が破棄されずに残ってしまうことがないよう、ファイル管理もしっかりとおこない、索引簿を使用している場合は、備考欄に記録を残しておきましょう。

デジタル化の第一歩として

今後、様々な書類がデジタル化されていくことが予想されます。今回、電子取引データの電子保存義務化については猶予期間が設けられましたが、今から徐々に対応を進めていっても早すぎるということはありません。
デジタルデータは、場所を取らない、検索がしやすい、といったメリットもたくさんあります。まずは導入しやすい方法でスタートしてみてください。そして、運用する中で徐々にブラッシュアップしていけば、義務化への対応だけでなく、経理部門の作業効率化にもつながるのではないでしょうか。

■参考サイト
電子取引データの保存方法をご確認ください(令和3年12月改訂)|国税庁(PDF)
電子帳簿保存法一問一答【電子取引関係】|国税庁(PDF)
電子帳簿保存法関係 参考資料(各種規程等のサンプル)|国税庁



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印刷された紙ではなく、PDFなど電子データとしてやり取りされるようになった取引関係書類などを、2022年1月に改正された電子帳簿保存法に則り電子保存・管理するための索引簿や事務処理規程、また、規程に基づき使用する申請書、報告書等のテンプレートです。

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