事業者のミカタ:アナタには「貰えるお金」がある!-助成金と補助金

最終更新日:2023年12月04日

事業者のミカタ:アナタには「貰えるお金」がある!-助成金と補助金
事業やお店を切り盛りするのは、人が思っているよりも大変ですよね?特に痛感するのが「お金」が必要になったとき。個人事業主なら給料を社員さんに支払うことはないでしょうが、社員さんやパートさんを雇っているようなところでは、給料日にはお金が必要になりますし、材料を買った支払いにもお金は必要です。そんなときに「貰えるお金」があるとしたら??
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アナタにも「貰えるお金」がある!

「そんな都合の良い話ってないですよ」と諦めている人に限って「助成金」や「補助金」のことをよく知らないという場合が本当に多いです。

「助成金」や「補助金」は、国や地方団体などの機関がアナタに支給してくれるお金。もしアナタが頑張っている事業者で、国や支援機関が考える「こういう人(会社やお店)は応援したいよね」という条件に当てはまるのであれば、支給してくれます。つまり、返済する必要がない、アナタにとっては「貰える」お金です。

「え?そんな制度があるなんて知らなかったよ」とか、「そんなコトバを聞いたことはあるけれど、よく解っていないんだよね」という人のために、「助成金」や「補助金」についてわかりやすく説明します。

「助成金」って何?

「助成金」とは、主に「人」や「働き方」について支給されるものだと思ってください。難しく言えば「雇用」や「労働環境」となるのですが、「人」と「働き方」と覚えた方が身近に感じられるはずです。

人や働き方に関することですから、「助成金」を管轄して窓口となっているのは主に「厚生労働省」「ハローワーク」です。

たとえば、障害者や高齢者を雇ったり、社員さんの働き方をよくするための制度や、働き甲斐につながるような制度をアナタの会社やお店が取り入れたときに、この「助成金」が支給されることがあります。

「補助金」って何?

「補助金」とは、主に「事業の振興」や「活性化」、「生産性向上」について支給されるものです…といってもピンとこないかもしれません。簡単に言えば「売上」や「商品」「サービス」を改善して「売上」を上げることに対して、もっとシンプルに言えば、「会社(お店)が元気になる!」「会社(お店)がもっと頑張ることができる!」ために支給されるお金です。

たとえば「オーブンを新しいものにして、もっとお店に並べるパンの種類を増やしたい!」「ホームページを作って会社の新しい事業を紹介したい!」というものや「お店の看板を新しくしたい」とか「チラシを作って新しいお客さんに来てもらいたい!」というものがそれに当てはまります。

「助成金」と「補助金」の同じところ

「助成金」と「補助金」の同じところは、どちらも「貰えるお金」ということ。支給されたお金は、どちらも「返す」必要はありません。

ただどちらも「入金は後払い」です。「後で入金(振り込み)するので、それまでは自分で立て替えてくださいね」ということですね。ですから、「助成金をもらったら人を雇います」とか「補助金をもらってから機械を買います、ホームページを作ります」ということはできません。

時々「補助金をもらったら何を買おうかなぁ~?」なんて言う人を見かけますが、そんな買い物は絶対にできません(笑)

(1)返済の必要がないお金
(2)もらうまでは自分で払う立て替え式

この二つが「助成金」と「補助金」の共通点、同じところです。

「助成金」と「補助金」の違うところ

一方で、両者には違いもあります。どのような点が異なるのか、説明します。

管轄の違い

先にも述べましたが、助成金は「厚生労働省」が主に扱っています。そして補助金は「経済産業省」が管轄していて、中小企業庁や地方自治体、公的支援機関などが扱っています。窓口も数多くあって、その地域の商工会議所や商工会が担っているケースが多いです。

目的の違い

助成金は「働く人」が「働きやすく」なるため(※雇用/労働環境の改善)、補助金は「商売」が「元気に」になるため(※経済/地域の活性化、事業の振興・技術/サービスの向上)に用意されているお金です。

採択条件

この採択条件が、「助成金」と「補助金」のもっとも違うポイントです。
「助成金」は、応募の条件を満たせば原則として全員に支給されます。ですが「補助金」は全員というわけにはいきません。補助金は申請書に書かれている内容が吟味、審査されて予算枠の範囲内で支給対象者が決まります。

難しく言えば、助成金は「絶対比較」で、条件がそろっているか?要件を満たしているかどうか?だけで審査されるのに対して、「補助金」は「相対比較」で支給者が決まります。
つまり「応募者の中で申請内容が素晴らしい上位何人まで」という形で選ばれるのです。「AさんよりBさんの方が支給するにふさわしいよね」という審査が毎年おこなわれて、採択者(合格者)が決まります。

金額規模の違い

助成金は、雇用に対する補助ですから、金額規模は10万円単位、多くても100万円単位というのが一般的です。基本的には条件が合えば誰でももらえるというものですから、この規模が限界かもしれません。

一方、補助金は、機械設備もその範囲に入ってきますから、大きなものでは数百万円、場合によっては1000万円の支給額になることも少なくありません。

応募期間の違い

助成金は、応募できる期間が「この時期だけですよ!」とは決められていません。人を雇うのは一年中おこなうことでしょうし、社員さんの働き方を良くするのに、「来年の春から」とか「この夏にかけて」ということはありませんよね?ですから、一般的に助成金の応募は通年型です。期限も特に定められていませんし、決められていてもかなり長期間にわたって応募できるようになっています。

一方の「補助金」ですが、実はこれは毎年の予算によって決まるという特徴があります。予算は国会で決まりますから政府の方針が変われば予算の内容も変わります。ですから「その補助金は去年にはあったのですが、今年はありません」ということも珍しくありません。そしてその応募も基本は年に1回、決められた時期に応募が始まり、その締め切りも『1ヶ月後』など、短期間であることが多いです。

一覧すると次のとおりです。

助成金と補助金の違い

注意しておきたいこと

「助成金」も「補助金」も、その財源は雇用保険の一部や税金、基金の一部です。ですからやはり支給するためには「しっかりとした申請をしてくださいね」ということになります。まぁ、当たり前と言えば当たり前ですよね。

その申請書は、「しっかりと意気込みのある人か?」「ちゃんと運営している人か?」を見極める要素もある意味含まれているので、それなりに「ややこしい・・・」ですし「面倒」です(苦笑)。

たとえば、別に用意する「書類」が必要になる時もありますし、「見積書」などの「証拠書類」の提出を求められるときもあります。また、採択されたのちも、「本当に申請した内容通りにお金を使っているか?」という中間チェックが入るときもあります。

その面倒くささや手間の多さに申請を見送ろうとする人も多いようですが、これらは普通に商売やお店を運営していれば必要なものですし、保管しているべきものです。申請することによって、よりしっかりとした書類管理・整備のきっかけにもなるのではないでしょうか。

まとめ

「助成金」や「補助金」がどのようなものか、少しご理解いただけたでしょうか。

国や多くの支援機関は、アナタの事業が元気になってもらうために、多くの人にとって働きやすい会社(お店)になってもらうために、そしてその町に、地域に、無くてはならない存在になってもらうために、多くのサポート(お金)を用意しています。でも、それを一人ひとりに丁寧に声をかけて教えてくれるところまではやってくれません。
変な言いかたですが「知っている人だけ、活用しようとする人だけサポートする」状況になっているのです。

ぜひこの案内をきっかけに助成金や補助金を身近に感じてもらい、「貰えるお金」をしっかりと「貰って」ほしいと思います。

次回からは、助成金・補助金それぞれについて、具体的にどのようなものがあるかのご紹介と、採択されるための申請のコツなどについて説明していきます。

執筆者情報

橘高総合広告研究所 代表 橘高唯史(中小企業診断士・フリーライター)
大手百貨店系通信販売カタログのディレクター業務に20年携わり、そこで培った「売れる理由」を体系化して2017年にコンサルタントとして独立。現在は公的機関の経営相談員やセミナー講師を務める一方、ライターとして執筆活動も行なっている。
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