支払調書と源泉徴収票の違いを整理、マイナンバーは義務?

2020年01月10日

支払調書と源泉徴収票の違いを整理、マイナンバーは義務?
毎年1月になると、経理では「法定調書」の作成に追われます。そのひとつは源泉徴収票で、会社勤めの方なら皆さんご存知かと思いますが、そのほかに「支払調書」もあります。こちらは個人事業主やフリーランスの方に関係が深いものかもしれませんね。
この支払調書、会社員が受け取る「源泉徴収票」とはどのように違うのでしょうか?
今回は、支払調書と源泉徴収票の違いを整理しながら、よくある疑問について解説していきます。

支払調書と源泉徴収票とは

どちらも「法定調書」の一つ

「法定調書」とは、税法等の規定により税務署に提出が義務づけられている資料をいいます。税務署が適正な課税をおこなうことを目的としたもので、現在約60種類の法定調書があります。
その中の一つが、「支払調書」と「源泉徴収票」となります。
報酬や給与を支払った事業者が、1月から12月までの1年分の支払金額と源泉徴収税額(所得税額)などについて報告します。

支払調書とは

支払調書とは、たとえば原稿の執筆やデザイン制作、講演の依頼をおこないその報酬を支払った源泉徴収義務者である事業者が、その明細を書いて税務署に提出する書類のことです。支払調書にはいくつか種類がありますが、個人事業主の方が受け取ることが多いのが、「報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書」です。そのため、支払調書といえばこれを指していることが多いです。

支払調書は、支払いを受けた者がきちんと申告しているかを、税務署が照らし合わせるために利用されています。もしも、副業等で支払いを受けている人が確定申告をしなかった場合でも、税務署はその人が支払いを受けたことを、支払調書によって把握することができます。

支払調書は、「特定の支払い」に対して事業者が源泉徴収をおこない、その金額を税務署に提出するもので、これは事業者の「義務」です。一方、報酬を支払った相手に対して交付することもありますが、「義務」ではありません。

なお、支払調書の提出が必要な支払いは、次のようなものと規定されています。

<支払調書の提出が必要な支払い>
1. 外交員、集金人、電力量計の検針員、プロボクサー、バー、キャバレーなどのホステスの報酬で、年間の合計金額が50万円を超える場合
2. 競馬の賞金で75万円を超えている場合は、その年すべての支払金額を提出
3. プロ野球選手をはじめプロスポーツ選手の報酬や契約金で、年間の合計が5万円を超える場合
4. 弁護士や税理士への報酬、作家や画家への原稿料や画料、講演料で、年間の合計が5万円を超える場合
5. 社会保険診療報酬支払基金が支払う診療報酬が50万円を超える場合

源泉徴収票とは

法定調書の中で皆さんが最もよく耳にするのは、源泉徴収票でしょう。源泉徴収票は、給与などの支払いをする者が、その支払額と源泉徴収した所得税額を証明する書類のことです。源泉徴収票は、雇用主から給与を受け取っている労働者に対して、必ず発行しなければなりません。
労働者が確定申告をする際にも、源泉徴収票は資料として添付する必要があります。

支払調書と源泉徴収票の違い

ここまでで、支払調書と源泉徴収票に違いがあることを説明しました。その違いをまとめると、次のようになります。

・支払調書…特定の支払いをした場合に税務署へ提出する義務があり、報酬を受け取った者への交付義務はない。
・源泉徴収票…給与の支払いをする者が作成し、1通を税務署へ提出、もう1通は給与を受け取った本人に交付する義務がある。

確定申告に支払調書は必要?

確定申告の時期になると、フリーランスや個人事業主の方から「支払調書が取引先から送られてきていないので困る」というような話が聞かれます。経理担当者の元にも、「確定申告に必要だから支払調書を送ってほしい」という要望があることがあるでしょう。

実際のところ、フリーランスや個人事業主に対して、支払調書を交付している事業者もありますが、果たして、個人事業主やフリーランスの方に対して、支払調書の交付は必要なのでしょうか?

答えを先にいうと「NO」です。

すでに説明した通り、支払調書は「この1年間に、誰にいくら支払ったのか」を支払者である事業者が税務署に提出する書類です。そのため、フリーランスや個人事業主に対して支払調書を交付する義務はありません。とはいえ、どうして支払調書を交付している事業者があるのかというと、おそらく「親切で」とか「過去の慣習で」、という理由のようです。

では、フリーランスや個人事業主の方が確定申告をする際に、支払調書が手元になくても困らないのかというと、これも心配はいりません。確定申告での支払調書の提出は、義務づけられていません。「いつも確定申告に支払調書を添付している」という方もいるかもしれませんが、本来所得税の確定申告に支払調書の添付は不要です。

支払調書は年間の報酬額と源泉徴収額がまとめられているため、手元にあれば便利かもしれませんが、事業者には交付する義務がない以上、個人事業主やフリーランスの方はそれがなくてもいいように準備をしておきましょう。確定申告の時期になってからあわてないように、日頃からこまめに記帳しておくようにします。また、契約書や請求書などで報酬や源泉所得税についても明確にして、請求書に源泉所得税額を記載しておくようにすれば、支払調書がなくても困ることはありません。

支払調書の作成方法

支払調書は、毎年1月末までに提出しなければいけません。支払調書の書式は、国税庁のホームページでも公開されているので、参考にしてください。

どのような内容を記載するのか確認しましょう。

<支払調書への主な記載事項>
1. 支払を受ける者の住所や所在地、氏名や企業名
2. 支払を受ける者のマイナンバーまたは法人番号 ※支払者控えには書かない
3. 報酬や料金の区分(原稿料、弁護士報酬、税理士報酬、など)
4. 報酬や料金の細目(支払い回数、関連する作業名や事件名、など)
5. 年間の合計支払額
6. 年間の源泉徴収額
7. 支払者の住所や所在地、氏名や企業名
8. 支払者のマイナンバーまたは法人番号 ※支払者控えには書かない

支払調書には、法人番号とマイナンバー(個人番号)を記載しますが、もしも支払先に対しても控えとして渡す場合には、番号法上の特定個人情報の提供制限を受けることとなるため、法人番号とマイナンバーのどちらも記載してはいけません。注意しましょう。

「区分」には支払先の業務内容を記載し、「細目」には区分に関連した名称を記載します。
支払額と源泉徴収額には、それぞれ1年間の総支払額、源泉徴収税額を記入します。

支払調書にマイナンバーは義務?

支払調書には、マイナンバーの記載欄があります。マイナンバーは、重要な個人情報に紐づくため「あまり人に教えたくない」と思う方います。そのため、取引先の個人事業主やフリーランスの方から、「マイナンバーを教えてもらえない」という経理担当者もいるかもしれません。

もしも、個人事業主やフリーランスの方が、支払調書に記載するためのマイナンバーを教えなかった場合でも、罰則規定はありません。しかしながら、支払調書へのマイナンバーの記載は義務になっているので、支払調書を税務署に提出する企業はマイナンバーの収集をしなければならず、いわば板挟みの状態になることがあり得ます。

税務署でも、マイナンバー制度に対する国民理解の浸透には一定の時間を要すると考えていて、今のところは、マイナンバーの記載のない場合でも書類を受け取ってもらえます。しかし、支払調書へのマイナンバーの記載は義務ですので、企業に対しては次のような対応を求めています。

・安易にマイナンバーの記載のない支払調書を提出しないようにする
・支払者に対してマイナンバーの記載が義務であることを説明する
・それでもマイナンバーの提供を受けられない場合には、提供を求めた経過等の記録、保存をする

あくまでも、後になって「どうしてマイナンバーが未記入のまま提出されたのか」を説明できるようになっていればよいようです。

まとめ

給与を支払ったり、上述の条件に該当する報酬を支払った事業者は、1月31日までに源泉徴収票、支払調書を税務署に提出しなければなりません。
そして、源泉徴収票は、給与を受け取っている人はもらえますが、支払調書は報酬を受け取っていたとしても必ずもらえるものではありません。
この違いを理解して、報酬を受け取る側は、確定申告の際に困らないように、源泉徴収税額を含めた取引記録をしっかりと管理しておきましょう。

■参考サイト
「法定調書に関するFAQ」/国税庁

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