稟議書とは?必要性と書き方のポイント、テンプレートを紹介
最終更新日:2024年08月28日
この記事では稟議書の概要や必要となるシーン、稟議書の記載項目や書き方のポイントを解説します。稟議書のテンプレートも紹介するので、ぜひ活用してください。
- 稟議書とは自分では決定できない承認を得るための書類
- 稟議書が必要なシーン
- 稟議と決裁、起案との違い
- 稟議書の書き方
- 稟議書に必要な6つの項目
- 稟議書のフォーマットと例文
- 稟議書を書く際のポイント
- 要点を簡潔にまとめた文章にする
- 説得力を上げるための情報収集を行う
- 事前に話して通りやすくする
- まとめ
稟議書とは自分では決定できない承認を得るための書類
稟議書とは、自身の裁量や権限で決定できない事項について、複数の関係者や上層部からの承認を得るために必要な書類です。
「会議で話し合うほどではないけど承認は必要」といったときに書面上で承認を証明するために用いられます。
たとえば、社内で決められた一定の金額を超える資産を購入するときなどに使用されます。
稟議書が必要なシーン
稟議書が必要なシーンについてはそれぞれの会社によって決められていますが、主には以下のような場面で用いられます。
- 社内で決めた基準の金額を超える固定資産などの設備を導入したいとき
- 仕事のために出張を行いたいとき
- 仕入れなどの社内の重要な取引について新たな取引先との取引を開始したいとき
- 新たな事業を開始したいとき
上記のほかにも、各社の状況に応じて稟議書が必要なシーンは社内規定で決められています。また、案件に応じて決裁者が決められている場合は、稟議書もその決裁者に応じて必要な承認の人数が変わってきます。
稟議と決裁、起案との違い
稟議とは上記のように社内での承認プロセスが必要なときに、文書の形でそれぞれの承認者の承認を得ることです。一般的には、直属の上司から稟議が始まり、課長、部長というふうに承認者の役職が上がっていきます。このように稟議には複数の人が関与することになります。
一方、決裁というのは社内の議案について最終的に採用するか却下するかといった判断を下すことをいいます。稟議の場合は、最後に承認する人が最終決裁者と呼ばれます。小規模な案件だったり小規模な会社だったりすれば、稟議を経ずに直接の上司などが決裁者となることもあります。
また起案とは、稟議に限らずさまざまな案件について議論を開始するために議題を作成することをいいます。
稟議書の書き方
稟議書は社内でフォーマットが用意されていることもありますが、主には以下のような点を押さえて作成します。
稟議書に必要な6つの項目
1)作成日
稟議書の作成日はいつ稟議が開始されたかということを示すために記載します。あまりにも稟議に時間がかかるのであれば、社内の意思決定プロセスの見直しも必要になるかもしれません。
2)起案部署・起案者氏名
起案した部署や起案者の氏名については、稟議内容と業務の関連性を確認するためや、稟議内容の詳細についての問い合わせ先を明確にするために記載します。
3)件名
件名は、稟議の各承認者がひと目で内容をわかりやすくするために、簡潔にかつ要点を押さえて記載します。また、社内管理のために稟議書にナンバー(稟議番号)をつけることもあります。
4)稟議内容
稟議内容がなぜ会社のために必要なのかということや、稟議内容の実施(たとえば設備の導入)によってどのような効果が具体的に会社にもたらされるのかといったことを記載します。承認者が確認するときにわかりやすいよう、数値などを用いて作成しましょう。
5)添付書類
稟議書の添付書類として、稟議内容が設備の導入などの場合は見積書や設備の性能書などが添えられます。そのほか、契約書が添付されることもあります。
どのような書類を添付すれば、承認者がより稟議内容を理解できるのかということを考えながら、添付書類を準備します。
契約書について詳しく知りたい方はこちら
6)決裁者所見
決裁者(場合によっては決裁者以外の承認者)が稟議内容についてコメントをする場合に使用する欄です。稟議を通すための条件や、却下する場合の理由などが記載されます。
稟議書のフォーマットと例文
稟議書のフォーマットは会社で統一されていることが通常です。ここでは一般的な稟議書のフォーマットをもとに書き方の例を記載します。
稟議書を書く際のポイント
要点を簡潔にまとめた文章にする
稟議書を承認する人は日々多くの稟議書を扱ったり、稟議以外の業務を行ったりしています。そうした人にとってわかりやすい内容にすることが稟議書作成の重要ポイントです。
稟議内容がどのようなものなのか、会社にとってどのような効果があるのかといったことを、長くなりすぎず簡潔明瞭に記載することが重要です。
説得力を上げるための情報収集を行う
稟議書に説得力を持たせるには、数値例など定量化できる情報を盛り込むことが有効です。
会社としてもコストをかける以上、そのコストに見合った効果を得られないと稟議を通す意味がありません。そのほかにも第三者による情報など、説得力を上げるための情報を添付書類などで補完するとよいでしょう。
事前に話して通りやすくする
稟議書は文字情報だけになってしまうので、どれだけわかりやすく作ったとしても伝えたいことをすべて伝えるのは困難です。
そのため、あらかじめ承認者に稟議の内容を口頭で話してそのメリットなどを伝えておくと、稟議がより通りやすくなります。
まとめ
稟議書は、主に大企業などで伝統的に用いられている書類です。ベンチャー企業などでは稟議書の形をとらずに直接口頭やメールなどで決裁者に伝える形を採っているところもあります。
しかし、いずれの場合も重要なのは、稟議の内容がその会社全体にとってメリットがあるかどうかということです。自分の周りだけではなく、会社全体にとってメリットがあるかどうかという点を常に頭において、稟議書の作成や上司への提案を行いましょう。
執筆者情報
司法書士事務所V-Spirits 代表 渋田貴正(税理士・司法書士・社会保険労務士)法書士事務所V-Spirits代表、税理士法人V-Spirits社員税理士。
税理士法人V-Spiritsでは、開業時の融資サポートや事業計画の策定支援、会社設立支援、開業後の税務顧問など起業家のためのワンストップサービスを行っている。
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