【2024年】確定申告書の書き方を記載項目別に解説

最終更新日:2024年06月04日

【2024年】確定申告書の書き方を記載項目別に解説
1年間の所得税の金額を確定する確定申告。個人事業主のための制度というイメージが強い確定申告ですが、個人事業主だけではなく副業をしている会社員、ふるさと納税や医療費控除の適用を受けようとする人など、多くの人に関係する手続きです。
この記事では、確定申告書の書き方を記載項目ごとにわかりやすく解説します。必要な書類の準備から各項目の詳細な記入方法まで、一緒に確認しましょう。
【目次】
  • 確定申告書の種類
  • 確定申告書第一表の書き方
  • 確定申告書第二表の書き方
    • 所得の内訳の欄
    • 総合課税の譲渡所得、一時所得に関する事項
    • 特例適用条文等
    • 保険料控除等に関する事項
    • 本人に関する事項
    • 雑損控除に関する事項
    • 寄付金控除に関する事項
    • 配偶者や親族に関する事項
    • 事業専従者に関する事項
    • 住民税や事業税に関する事項
  • 確定申告書の入手方法
  • 確定申告書の訂正方法
  • まとめ
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確定申告書の種類

所得税の確定申告書は大きく分けて「第一表」と「第二表」で構成されています。

確定申告書 第1表
確定申告書 第2表

さらに、株式やFX取引による利益、株の配当、不動産売却による売却益などのように、他の所得と合算せずに分離して税額を計算する方式(申告分離課税といいます)を申告する場合に使用する「第三表」、青色申告書について事業所得や不動産所得で赤字が発生した場合などに、翌年以降に赤字を繰り越すために使用する「第四表」というものがあります。

この4つの確定申告書の中でも、確定申告をするすべての人に関係するのが第一表と第二表です。事業所得や不動産所得がある人だけでなく、「会社員で年末調整を受けている人がふるさと納税や医療費控除などにより所得税の還付を受けるために確定申告する場合」も第一表と第二表を作成することになります。

そのため、以下の項目では第一表と第二表について記入すべき事項や記入の方法について詳しく解説します。

なお、2022年分の確定申告までは給与所得者などが利用するシンプルな確定申告書Aという様式と、事業などを行っている人が使用する確定申告書Bという2種類がありました。

しかし、2023年分の確定申告から確定申告書Aは廃止となり、確定申告書Bの様式に統一されるとともに、名称もアルファベットがつかない「確定申告書」となりました。そのため、特に給与所得者など記載する事項が限られる人については、どの欄への記入が必要かしっかりと理解しておく必要があります。

出典:所得税の確定申告|国税庁

確定申告書第一表の書き方

まずは確定申告書第一表の記載例から説明します。本書類は主に以下の7つのブロックに分かれています。

  1. 氏名など確定申告者の情報を記入する欄
  2. 収入金額等の欄
  3. 所得金額等の欄
  4. 所得控除の欄
  5. 税金の計算欄
  6. その他の欄
  7. 還付口座の記入欄

いまではスマホやインターネットで質問に答えていく形で確定申告書が作成できます。そのため、どの欄にどのような数字を入力すればよいかといった細かい点はシステムが自動で行ってくれるためそれほど気にする必要はありません。

とはいえ、自分の税金を計算するわけなので、確定申告書にどのような情報が記録されるのかといったことは知っておく必要があるでしょう。

1.氏名など確定申告者の情報を記入する欄
この欄には申告書提出日における住所や、その年の1月1日時点での住所、氏名、生年月日、マイナンバー、電話番号、職業などを記入します。職業については、会社員であれば「会社員」、自営業者であれば具体的な事業内容(例:セミナー講師業など)を記載します。

左上には確定申告書を提出する税務署を記入します。提出する税務署は、確定申告書を提出する日における住所を管轄する税務署です。

2.収入金額等の欄
この欄には、それぞれの収入を記入します。収入というのは事業や不動産であれば経費を引く前の売上額、給与であれば額面合計といった形で、受け取った金額そのものを記入します。

この部分の金額については、自らの収入が確定申告すべきかどうか、確定申告すべき収入の場合はどの区分に該当するかということを理解したうえで記入することが必要です。
迷った場合は税務署に相談したり、国税庁が運用しているオンラインの確定申告書作成コーナーを活用したりするなどして、申告すべき所得が漏れないようにしましょう。

3.所得金額等の欄
この欄には、収入金額等の欄からさらに必要経費や給与の場合の給与所得控除などを引いた金額を記入します。この所得金額等の欄の合計額を「合計所得金額」といいます。

この金額については直接記入するというよりは、この後説明する第二表の数字や別途作成した決算書の数字を転記することになります。

4.所得控除の欄
この欄には、所得控除の金額を記入します。所得控除には以下の15種類があり、各申告者の状況に応じて金額を記載します。

所得控除の種類内容
基礎控除所得金額等の合計が2,500万円以下の人に適用される控除
配偶者控除扶養する配偶者がいる場合に適用される控除
配偶者特別控除扶養する配偶者の所得が一定額以下の場合に適用される控除
扶養控除扶養する親族がいる場合に適用される控除
ひとり親控除配偶者がいない一定の要件を満たす人に適用される控除
寡婦控除夫がいない一定の要件を満たす人に適用される控除
障害者控除本人が障害者、または障害を持つ扶養親族がいる場合に
適用される控除
勤労学生控除一定の要件を満たす学生に適用される控除
社会保険料控除社会保険料を支払った場合に適用される控除
生命保険料控除生命保険料を支払った場合に適用される控除
地震保険料控除地震保険料を支払った場合に適用される控除
寄付金控除寄付金(ふるさと納税など)を支払った場合に適用される控除
医療費控除一定額以上の医療費を支払った場合に適用される控除
小規模企業共済等控除iDeCoや小規模企業共済への掛金を支払った場合に
適用される控除
雑損控除災害、盗難や横領によって損害を受けた場合に適用される控除

上記の所得控除をすべて合計した金額が所得控除の合計額となります。
3.の合計所得金額から所得控除の合計額を引いた金額が課税対象となる所得金額となります。

5.税金の計算欄
この欄には、課税対象となる所得金額や、税額控除の金額を記載します。
まず、課税対象となる所得金額のうち、申告分離課税の対象となる所得以外で課税対象となる所得を「課税総所得金額」といいます。確定申告書上では「課税される所得金額」と表現されています。

この課税総所得金額に応じて以下の税率を乗じて控除額を引いた金額が所得税の金額となります。

課税所得金額税率控除額
1,000円 から 1,949,000円まで5%0円
1,950,000円 から 3,299,000円まで10%97,500円
3,300,000円 から 6,949,000円まで20%427,500円
6,950,000円 から 8,999,000円まで23%636,000円
9,000,000円 から 17,999,000円まで33%1,536,000円
18,000,000円 から 39,999,000円まで40%2,796,000円
40,000,000円 以上45%4,796,000円

また、計算した所得税額そのものを減額できる制度があります。それが「税額控除」です。

所得控除が税率をかける前の課税所得金額を減額する制度なのに対して、税額控除は所得税額そのものを減額する制度です。税額控除の代表例としては住宅借入金等特別税額控除(住宅ローン控除)があります。

さらに会社員や一部の個人事業主については給与や売上から所得税が源泉徴収されています。この源泉徴収されている所得税は、確定申告書上では納税すべき税額の一部として扱われるため、確定申告書で計算した所得税の金額から控除することができます。

税額控除以外に、あらかじめ収入額から所得税の源泉徴収が行われている場合には、その金額も控除することができます。

源泉徴収されている金額はあくまで仮の金額なので、確定申告によって税額が確定した場合は、あらかじめ源泉徴収されている金額を確定した税額から控除することができます。

また、2037年までは所得税に加えて復興特別所得税という税金も課税されます。復興特別所得税は、上記で計算された納めるべき所得税の金額に2.1%を乗じた金額と決められています。復興特別所得税の金額も確定申告書に記載する必要があります。

さらに、前年の確定申告で納税が確定した所得税額が15万円以上あった人については、確定申告の前に年2回の予定納税を支払う義務があります。

この予定納税も源泉徴収された金額と同じく確定申告で支払う所得税の前払いとして扱われますので、確定申告書に記載して納税額から控除する必要があります。

6.その他の欄
その他の欄は、3.の所得金額等の欄の金額を計算するにあたって参考になる金額を記載します。この欄については専門的な内容が並んでいますので、国税庁のサイトの確定申告作成コーナーなどを利用して埋めていく欄になります。

7.還付口座の記入欄
還付口座の記入欄には、確定申告の結果所得税の還付を受けることができる場合に記入します。たとえば、年末調整を受けた給与所得者が確定申告で医療費控除やふるさと納税などの寄付金控除の適用を受ける場合や、住宅ローン控除を受ける場合などが考えられます。

また、確定申告によって確定した税額よりも源泉徴収された所得税の金額のほうが大きければ、その差額の還付を受けることもできます。

所得税の還付は現金で受け取ることも可能ですが、その場合は郵便局に受け取りに行く手間が発生してしまいます。還付先の口座を指定するとよいでしょう。

確定申告書第二表の書き方

確定申告書の第二表は第一表に記載した所得や控除のベースになる情報を記入します。欄ごとに記入すべき概要を説明します。

所得の内訳の欄

収入があった相手先ごとに収入金額や源泉徴収された金額を記入します。源泉徴収される金額には個人事業主であれば売上、会社員であれば給与といったようにさまざまですが、ここでは源泉徴収された所得を漏れなく記入します。

相手先が多く書ききれない場合は、別紙で「所得の内訳書」という様式を作成します。

総合課税の譲渡所得、一時所得に関する事項

土地・建物や有価証券の譲渡所得や、賞金、保険の満期返戻金など該当する所得がある場合に記入します。

特例適用条文等

ここでは租税特別措置法という法律によって特別に経費計上や税額控除が認められる特例を使用した場合に、その条文を記入することになります。

ただし、こうした特例の適用は複雑で、多くの場合この欄は税理士が関与する場合に税理士が記入することになると思います。

保険料控除等に関する事項

この欄は社会保険料控除、小規模企業共済等掛金控除、生命保険料控除、地震保険料控除の適用を受ける場合に、保険の種類ごとに金額を記載します。年末調整を受けた場合は、源泉徴収票に記載されている数字をそのまま転記します。

本人に関する事項

本人が寡婦、ひとり親、勤労学生、障害者に該当する場合に記入します。

雑損控除に関する事項

雑損控除の対象になる損害(災害、盗難、横領によって受けた損害)がある場合にその内容を記入します。

寄付金控除に関する事項

寄付金控除の対象になる寄付金(ふるさと納税や公益法人など一定の寄付先への寄付)を支払った場合に記入します。

配偶者や親族に関する事項

配偶者や扶養親族の情報を記入します。ただし、年末調整を受けた給与所得者で、配偶者(特別)控除、扶養控除や障害者控除の額に異動がない場合は、対象者に係る氏名・マイナンバー・続柄及び生年月日の記入を省略できます。

事業専従者に関する事項

事業所得や不動産所得を有する人で、事業専従者(または青色事業専従者)がいる場合に、該当となる者の情報を記入します。

住民税や事業税に関する事項

この欄は直接所得税の確定申告には関係ありません。しかし、税務署に提出した確定申告書の内容は自治体に転送されて、住民税や事業税の課税額の計算に使用されます。そのため、住民税や事業税特有の内容についても所得税の確定申告書に欄が設けられています。

特にふるさと納税をした場合には住民税の欄の「都道府県、市区町村への寄付(特例控除対象)」という欄に寄付額の記載が必要になるなどの注意点があります。住民税の金額に直接影響しますので、記入漏れがないようにしましょう。

確定申告書の入手方法

確定申告書の様式を入手する方法は主に以下の3つの方法があります。

1.国税庁のウェブサイトからダウンロード
国税庁の公式ウェブサイトにアクセスし、確定申告書の様式が提供されているページから直接ダウンロードすることができます。この方法が最も手軽で、かつ最新の様式を確実に入手できる方法でありおすすめです。

2.税務署で直接受け取る
最寄りの税務署に行くと、確定申告書の様式を直接受け取ることができます。ただし、時期によっては置いていないこともあり、またペーパーレスの時代ですので受け取るのに時間がかかる場合もあります。

3.会計ソフトや確定申告用のソフトを利用する
確定申告の機能が付いた会計ソフトや確定申告用のアプリケーションを使うことで確定申告書を作成できるほか、記入前の状態の確定申告書を印刷することもできます。ただし、この方法はソフトの利用料がかかる場合があります。

また、上記の方法は紙ベースの確定申告書を入手する方法ですが、スマホや国税庁の確定申告書作成コーナーを利用する場合は確定申告書の用紙を利用しなくても、オンラインで確定申告書を提出することができます。

確定申告書の訂正方法

確定申告書を税務署に提出した後に間違いに気づいた場合、修正申告または更正の請求という手続きを通じて訂正することができます。

修正申告は、申告した税額よりも実際の所得税が多くなるときに行います。修正申告は原則として申告期限後5年以内に行う必要があります。修正申告する場面としては、たとえば以下のようなケースが考えられます。

・売上を少なく計上した
・申告すべき所得を一部漏らしていた
・所得控除や税額控除を過大に申告していた

一方、更正の請求は、申告した税額よりも所得税が減少する場合に行います。更正の請求も申告期限後5年以内に行う必要があります。
更正の請求をする場面としては以下のようなケースが考えられます。

・源泉徴収されていた所得税の記入が漏れていた
・所得控除や過少に申告していた

いずれの場合にも修正の結果、所得税の金額に変動がある場合にのみ行う手続きです。控除の金額が間違っていたなどの事実があっても、修正の結果、所得税の金額に変動がなければ修正申告や更正の請求の必要はありません。

まとめ

確定申告書は、所得税の金額を確定する重要な書類です。今ではインターネットで確定申告書が作成でき、スマホでも確定申告できるようになりました。このように便利になったからこそ、自分が納める所得税がどのように計算されているのかということが見えにくくなっていることも事実です。確定申告書の仕組みをしっかりと理解して、自分が納める税金の計算過程もしっかりと理解しておきましょう。

執筆者情報

司法書士事務所V-Spirits 代表 渋田貴正(税理士・司法書士・社会保険労務士)
法書士事務所V-Spirits代表、税理士法人V-Spirits社員税理士。
税理士法人V-Spiritsでは、開業時の融資サポートや事業計画の策定支援、会社設立支援、開業後の税務顧問など起業家のためのワンストップサービスを行っている。
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