完全解説!「持続化給付金」申請について必要なこと

最終更新日:2023年12月05日

完全解説!「持続化給付金」申請について必要なこと
令和2年5月1日、「持続化給付金」という新しい支援策の申請受付が開始されました。当日はニュース等で話題になったこの給付金。すでに振り込まれた方もいるようですね。
さて、これはいったいどのような給付金で、どのような人がもらえて、どのような申請をすればよいのでしょうか?
今回は話題の「持続化給付金」について情報をまとめてみました。ぜひ一度チェックしてみてください。
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画期的な支援策—「持続化給付金」とは?

新型コロナウィルス感染症の影響で、売上が下がっている会社やお店の経営者、また個人事業主(フリーランスを含む)の方々のために、異例のスピードで法案化され、成立したのがこの「持続化給付金」という支援制度です。

給付金ですから、返済不要。申請の資格を満たせば法人で最大200万円、個人事業者で最大100万円のキャッシュが2週間後という短期間に、指定する銀行口座に振り込まれるというものです。

「持続化給付金」が画期的な理由

さきほど「画期的」と言いましたが、何が画期的かというと、主に次の3点です。
・素案設計から成案、受付開始まで異例のスピード
・未来の出来事(2020年5月~12月までも対象範囲)にも支援OK
・手続きをとにかく簡素化

通常、国民の税金を原資にするこのような補助金や助成金は、できるだけ公平に、できるだけ平等に、という原則があるため、どうしても「不正受給」を限りなく「0」にするために、いろいろルールで制限を設けることが多いです。

そのために、成立に時間がかかったり、申請要件が複雑になったり、わかりにくい形になって、そして審査後の入金も遅かったりするもの。

ですが、新型コロナ感染症の影響で、明日や明後日に迫る支払いの事で頭を悩ます事業者さんのことを考えると、「まずは、とにかく、スピード重視」という考え方が、この支援策には色濃く反映されたように感じます。令和2年度の補正予算が成立した翌日(2020年5月1日)に申請受付のホームページが立ち上がっています。おそらくこの日から逆算して随分と前から準備を進めていたのでしょう。

「誰がもらえるの?」持続化給付金の申請資格

では、この持続化給付金はどのような事業者が対象になるのか確認してみましょう。

1)事業を営む個人事業者および法人。法人の場合は、資本金(出資)額10億円未満、また資本金等の定めがない場合は常時使用従業員が2,000人以下(令和2年4月1日時点)の事業者であること
ーこの条件でいえば、全国のほとんどの事業者が対象であると言えますね。なお、この法人には医療法人、農業法人、NPO法人も対象として含まれています。

2)2019年以前(*1)から事業による収入(売上)を得ており、今後も事業継続の意思があること
*1…2019年に創業された場合は、創業特例が別に設定されています。

3)2020年1~12月の間で、新型コロナ感染症の影響により前年同月比で事業収入が50%以上減少した月(以下、この月のことを「対象月」と呼びます)が存在していること

「いつまでに申請すればいいの?」持続化給付金の申請期間

給付金の申請期間は2020年5月1日から2021年1月15日までです。
通常の補助金などは公募されてから2~3ヶ月以内の締切りですが、今回は8ヶ月後の12月の売上減少についても支給要件の対象となっています。

「どういう給付金なの?」持続化給付金の内容

この給付金のポイントは、とにかく「売上が急激に減少した(する)」事業者の方々に、まず現金を支給するというものです。受給された現金は返済不要です。使途も自由なお金です。ただ、減少した売上分全てがもらえるわけではありません。給付金には上限があります。
給付金の上限額は対象によって次の2つの額になります。
●法人の場合=最大200万円
●個人事業者の場合=最大100万円


では、最大ではない場合とはどんな場合なのか?どうなれば最大を受給できるのか?を確認しましょう。給付額は、以下のように決まります。
【A:前年の総売上(事業収入)】-【B:前年同月比▲50%月の売上×12】
この【A】と【B】の売上の差額を、法人では200万円まで、個人事業者では100万円までの間で受給できます。
具体的に例をあげて説明しましょう。

◆給付金額の算出例 3月決算法人の場合

2019年度2019年2020年
4月5月6月7月8月9月10月11月12月1月2月3月
503040504030405050503040
2020年度2020年2021年
4月5月6月7月8月9月10月11月12月1月2月3月
30252020-----

ある3月決算法人の売上が表のような場合だったとします。すると、各項目の数字は以下のようになります。
・2019年度の売上総額=500万円【式のA】
・2019年7月の売上=50万円
・2020年7月の売上=20万円
この7月の時点で前年同月比の売上が▲50%以上となりました!
そこでこの7月の売上20万円の12倍を、まだ終わっていない2020年度の売上とみなします。
・2020年度の売上(みなし)総額=240万円(20万円×12)【式のB】
・【A】2019年度売上総額500万円-【B】2020年度売上総額240万円=260万円
・260万円>上限額(200万円)
★受給額=200万円
となります。
ここで注意が必要なのは、2020年の3月の売上は2019年度に入っていますから、比較対象する月に入りません。「3月の売上が下がっているから申請しよう!」と思っても決算月によっては該当しませんので注意してください。

次に個人事業者の場合を見てみましょう。
◆給付金額の算出例 個人事業主の場合
2019年度2019年
1月2月3月4月5月6月7月8月9月10月11月12月
302055503040504030406055
2020年度2020年
1月2月3月4月5月6月7月8月9月10月11月12月
5030253025----

個人事業の場合、決算は12月となりますので、年度(FY:ファイナンシャルイヤー)と年(CY:カレンダーイヤー)とは同じになります。
各項目の数字は以下のようになります。
・2019年度の売上総額=500万円【式のA】
・2019年3月の売上=55万円
・2020年3月の売上=25万円
この3月の時点で前年同月比の売上が▲50%以上となっています。
そこでこの3月の売上25万円の12倍を、まだ終わっていない2020年度の売上とみなします。
・2020年度の売上(みなし)総額=300万円(25万円×12)【式のB】
・【A】2019年度売上総額500万円-【B】2020年度売上総額300万円=200万円
・200万円>上限額(100万円)
★受給額=100万円
となります。
この場合、2020年の3月の売上が対象月になりますから、2020年5月1日現在で申請することができます。

「持続化給付金の申請には何を用意すればいいの?」申請の必要書類

持続化給付金に必要な情報は、次の3つの情報です。
1)基本情報 名前や住所、業種などの基本情報
2)売上確認情報 前年と本年の売上情報
3)口座情報 受給の際の振込先の口座情報


具体的には次の4つの書類を揃えることになります。
1)確定申告書第一表の控え *2
2)法人の場合=法人事業概況説明書
 個人事業者の場合=所得税青色申告決算書
3)銀行通帳の写し(口座番号等の確認のため)
4)本人確認書の写し(個人事業者用)

*2…この確定申告書の控えは、税務署で受け付けてもらえた収受日付印が必要です。e-Taxで確定申告を行った場合は、受信通知を添付する必要があります。つまり、この昨年の売上金額は、ちゃんと税務署に報告した金額ですという証明が必要なわけですね。

◎申請要領(申請のガイダンス)は以下になります。
中小法人等向け
個人事業者向け

「申請はどうすればいいの?」申請方法

持続化給付金の申請は、コロナ感染予防の観点からも、多くの人で殺到するであろう窓口提出という形はとっていません。また郵送の申請も受け付けていません。全部「電子申請」となっています。パソコンからも、スマートフォンからも申請できます。

なお、申請の際は、本登録URLを受け付けるためのメールアドレスと、デジタル化された提出書類が必要となります。申請前に準備しておきましょう。
申請作業は次のように進んでいきます。

申請作業の流れ

まず、申請サイトにアクセスします。
「持続化給付金」サイト


(1)サイト画面のトップにある「申請する」をクリックします
(2)メールアドレス画面に自分が受信できるメールアドレスを入力します  
(3)登録したメールアドレスに事務局から本登録用のメールがきます
(4)事務局からのメール本文にある本登録用のリンクをクリックします
(5)ログインIDとパスワードの設定画面でログインIDとパスワードを入力します
(6)入力して登録ボタンを押すと、あなたのマイページが作成されます
(7)マイページで、入力の必要がある事項が一つ一つ聞かれてきますので、必要事項を入力していきます。*3
*3…この際、入力にエラーがあれば、再入力を求められます。入力エラーがなくなるまで、ゆっくりと落ち着いて入力していきましょう。特に生年月日は1999/11/11など、年月日の間にスラッシュ(/)を入れないと最後にエラーになり再入力を求められますので注意してください。
(8)証拠書類をアップロードします。
すべて入力し、アップロードが終われば申請完了です。

「申請後はどうすればいいの?」申請後の流れ

無事申請が完了すれば、あとは振込入金を待つだけとなります。申請した内容に不備がなければ、おおよそ2週間で登録した銀行口座に振り込まれることになりますが、事務局の混み具合によっては少し時間がかかるかもしれません。また振込と同時に登録した住所に通知書が届きます。

万が一、申請内容に不備がある場合は、メールアドレスへ連絡が入ります。申請した後も通知書が届くまでは、時々はメールをチェックしておきましょう。

「こんな場合でも持続化給付金はもらえるの?」持続化給付金の9つの特例

持続化給付金は、誰もが申請しやすくするために、申請方法もシンプルになっていますが、だから逆に「こういう場合はどうなるんだろう?」という疑問も出てきます。日本全国には本当にいろいろな事業者さんがいますから、全部同じ条件とは限りません。

その場合のために、次の9つの特例が設定されています。詳しくは公募要領を確認する必要がありますが、「こんな場合なら、きっと無理だろうな」と諦めずに特例を活用して給付を受けましょう。

■持続化給付金9つの特例
◇給付額に関する特例
1)創業特例=2019年の途中で創業した人の場合の特例です
2)季節性収入特例=ある期間の売上が年間のほとんどを占めるなどの事情がある場合は計算式での【A】と【B】が逆転して給付がもらえない場合を救済します。
3)合併特例
4)連結納税特例
5)罹災特例=昨年の台風などの災害で、昨年も実は売上がなかったので、差が出ないけれど実は前々年の売上が通常の売上額という場合
6)法人成り特例
7)NPO法人や公益法人特例

◇証拠書類等に関する特例
8)直近の確定申告が完了していない場合
9)申請書と証拠書類等の法人名が異なる場合

「持続化給付金で気をつけたいこと」持続化給付金の留意点

持続化給付金については、少し気をつけていただきたいことが数点あります。これはぜひ知っておいてもらいたいです。

持続化給付金で気をつけたいこと-1 【不正受給について】

申請が完了して、無事入金があったとしても、事務局がのちに申請に不審な点があるとして調査に入ることがあります。万が一不正な申請であれば、不正受給として、給付金の返還を求められるうえに、年率3%の延滞金や課徴金として給付金の20%を上乗せで返還することにもなります。絶対に不正受給となる申請はしないでください。

持続化給付金で気をつけたいこと-2 【税金について】

この持続化給付金は、「課税対象」です。振り込まれたお金は売上と同じ扱いとなります。売上不振の補填での給付金ですから、いざという時のために手元に置いておきたいという気持ちも充分にわかりますが、節税対策としては必要経費で使い切ってしまうことも一つの方法です。

持続化給付金で気をつけたいこと-3 【電子申請について】

今回の申請は、窓口に多くの方が来訪されて、集団感染が起きるというリスクを避けるためにも、そして事務局の作業を簡素化して、できる限り早く支給するという目的のためにも「オール電子申請」という方法で実施されています。
普段から「パソコンは苦手で、〇〇〇に全部任せているから」とか「ホームページを見てもよくわからないし、面倒臭そうだな」といって敬遠する社長やオーナーさんも多いと思います。ですが、この持続化給付金の申請を機会にぜひ「電子申請」というものにチャレンジしてみてください。今後の支援策も同じように「電子申請のみ」になる可能性があります。「持続化給付金の時にやってるから今度もできそうだ」と思えるように、ぜひ今回はトライしてみて欲しいです。

まとめ

持続化給付金の内容や申請方法はおわかりになったでしょうか?「よし!これなら申請資格がありそうだ!」となったら、ぜひ申請して、持続化給付金を受けとってください。
ですが、持続化給付金はもらうことが目的ではありません。目的は「時間稼ぎ」です。給付金を使って手元の現金をできるだけ残して時間を稼ぐ。新型コロナ感染症が終息したあと、どのようにご自分の商売を回復、復活させるのか?またこれを機会に、なかなか踏ん切りがつかなかった新しいビジネスモデルへ拡大を図っていくことも考えられるでしょう。
そういう意味で、有効にこの持続化給付金を使ってもらいたいと思います。

◎持続化給付金に関する問い合わせ・相談窓口は下記です
・持続化給付金事業コールセンター
⇒TEL:0120-115-570(フリーダイヤル) 
⇒TEL:03-06-683113(通話料がかかります)
※<5月・6月>全日 8:30~19:00
 <7月>日曜日~金曜日(土曜日・祝日を除く) 8:30~19:00
 <8月>日曜日~金曜日(土曜日・祝日を除く) 8:30~17:00
 
※今回の記事は令和2年5月1日時点の情報を元に作成しています。今後の情報の更新などにご留意ください。

執筆者情報

橘高総合広告研究所 代表 橘高唯史(中小企業診断士・フリーライター)
大手百貨店系通信販売カタログのディレクター業務に20年携わり、そこで培った「売れる理由」を体系化して2017年にコンサルタントとして独立。現在は公的機関の経営相談員やセミナー講師を務める一方、ライターとして執筆活動も行なっている。
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