内定承諾書とは?内定通知書との違いや作成方法【テンプレート付き】
最終更新日:2024年08月28日
- 内定承諾書とは?
- 内定通知書や入社承諾書との違い
- 内定に関する書類一覧
- 内定承諾書の役割・効力
- 内定者側
- 企業側
- 内定承諾書の作成方法【テンプレート付】
- 記載すべき項目を確認する
- 送付方法にも配慮する
- 内定承諾書の書き方や流れについて解説!
- 内定承諾書の書き方・記入箇所
- 内定承諾書の提出の流れとマナー
- 内定承諾書の提出後の対応
- 内定承諾書が届かない・記載ミスをした場合の注意点
- 内定承諾後に辞退は可能?どのくらいの確率?
- 内定承諾書に法的拘束力はない!
- 内定辞退の割合は?
- まとめ
内定承諾書とは?
内定承諾書とは、内定者が企業に対して入社の誓約をするための書類で、入社の意思表示と内容の証明、内定辞退の抑制などの効果があります。
法的な拘束力はないものの、提出された時点で労働契約が成立し、その後の辞退は契約違反となる可能性があります。
似た書類に内定通知書がありますが、これは企業が内定者に「内定した」事実を伝えるための書類で、内定承諾書とは別物です。
内定通知書や入社承諾書との違い
就職時の選考プロセスにおいて、内定承諾書と入社承諾書は同じような役割を持っていますが、内定通知書にはまた違った役割があります。
求人の応募者(内定者)に内定を通知するとともに、内定者の職務内容、給与、勤務地などの詳細を記載することで、企業が内定者に対して職を正式に提供するための文書です。
内定者にとっては、その企業への入社を検討するための基本情報が記載されています。
・内定承諾書(または入社承諾書)
内定者が企業から提示された労働条件に同意し、正式にその職を受ける意思を示すための文書です。そのため、「私はA社からの内定を喜んで受け入れ、提案された条件に同意します」という文言が含まれることが一般的です。
内定通知書は応募者が企業の提案を検討するための基本情報を提供し、内定承諾書(または入社承諾書)は応募者がその提案に対して正式に同意することを示すもので、就職するためのプロセスの最終段階を表しています。
内定に関する書類一覧
内定に関連する主要な書類には、内定通知書(採用内定通知書)、労働条件通知書(雇用契約書/労働契約書)、そして内定承諾書があります。
これらの書類は、応募者と企業間の労働契約の成立や条件の確認に重要な役割を果たします。特に内定通知書は、企業が応募者に対して採用を決定したことを正式に伝える書類であり、労働契約の意思表示の証拠となります。
企業が内定承諾書の提出を要求する目的は、内定の証明と内定辞退の抑制の2つがあります。内定承諾書は、応募者が内定を受け入れた証明として機能し、また、優秀な人材の確保と採用コストの削減のために、内定辞退を抑制する役割も担っています。
内定承諾書の作成においては、企業は内定通知書と一緒に内定承諾書を応募者に送付し、署名捺印の上で返送を求めます。このプロセスは、企業と応募者の間での意思の疎通を確実にし、労働契約の成立をスムーズに進めるために重要な手続きとなっています。
内定承諾書の役割・効力
内定者と企業双方にとって重要な内定承諾書の全貌を紹介し、書類の役割と効力を分かりやすく解説します。
内定者側
内定承諾書は、内定者が企業に対して入社の意思を示す書類です。前述のように、法的な拘束力はないものの提出することで労働契約が成立しますので、その後の辞退は契約解除となります。
内定者にとっては、就職活動の終了と入社の誓約を意味します。内定承諾書の提出は、入社の意思が固まった後に行うことが望ましく、もし辞退する場合は誠意ある対応が必要です。
企業側
内定承諾書は、入社意思を確認するための重要な書類です。ここでは、企業側にとっての役割と効力について解説していきます。
企業と内定者双方の意思確認
内定の証明は企業と内定者双方にとっての重要な意思確認の手段であり、企業側にとっては優秀な人材の確保と採用コストの最適化を図ることが目的です。
内定承諾書は、企業が内定者に対して内定を出した証明として機能し、同時に内定者の入社意思を確認するための重要な書類となります。内定承諾書により、企業は採用プロセスの透明性を高め、内定辞退による人員計画や採用コストの影響を最小限に抑えることができます。
内定辞退を抑制する効果
内定承諾書は内定辞退を抑制する効果があります。
内定者がこの書類にサインすることで、企業に対して入社の意思を明確に示すとともに就職活動を終了する旨の誓約を行うことになり、その後の辞退は誓約違反ということになるからです。
内定承諾書に法的拘束力はない
内定承諾書の提出後、内定者が辞退を申し出てきた場合、企業はさまざまな対応を考慮する必要があります。
民法により、意思表示から2週間以内であれば解約が可能です。また、法的拘束力はありません。とはいえ、内定辞退は企業に迷惑や損害を与える可能性があります。したがって、企業は内定辞退の際に応募者に対して誠意ある対応を求めることが一般的となっています。
出典:労働相談|日本労働組合総連合会
内定承諾書の作成方法【テンプレート付】
内定承諾書を作成するうえでの注意点を、テンプレートと合わせて紹介します。
記載すべき項目を確認する
内定承諾書の主な記載内容は下記のとおりです。
- 宛名(社名と代表取締役社長の氏名)
- 内定通知書の受領と入社承諾の文言
- 内定承諾に関する誓約事項
- やむを得ない内定取消の場合の異議申し立てなしの旨
- 内定者本人の署名と捺印
これらの項目は、内定者が入社に向けて必要な手続きを理解し、適切に行動するためのガイドラインとなります。また、企業側としても内定者の意思を確認し、採用計画の進行をスムーズにするための重要書類となります。
内定承諾書は、形式に特別な決まりはなく、企業のニーズに合わせて内容を調整することが可能です。
送付方法にも配慮する
内定承諾書を作成した後、その送付方法にも注意が必要です。
まず、内定承諾書と一緒に、内定通知書や労働条件通知書などの必要書類を同封します。これにより、内定者が就業条件を正確に理解し、入社の意思を確定させることができます。
また、書類の漏れを防ぐために、添え状を付けることが望ましいです。添え状には、内定承諾書の目的と返送に関する指示を明確に記載します。
さらに、内定承諾書は企業に返送する必要があるため、返信用封筒を同封することが重要です。返信用封筒に企業の住所と宛先を明記し、切手を貼り付けておくことで、内定者の返送手続きを容易にします。
送付物がそろったら、破損や情報漏えいを防ぐために、厚手で中身がわからない封筒を使用し、送る書類はクリアファイルにまとめて入れることが望ましいです。
内定承諾書
採用内定が出た際、承諾する旨を事業主に伝えるためのテンプレートです。せっかく内定を出しても辞退されてしまっては困りますので、採用側もなるべく承諾書を提出してもらうようにしましょう。内容はワードで編集できます。
内定承諾書の書き方や流れについて解説!
ここからは、内定者側の立場から、内定承諾書の書き方や記入例、提出方法、マナー、提出後の対応について詳しく説明していきます。
内定承諾書の書き方・記入箇所
内定承諾書における内定者の記入箇所は下記の5点です。
- 記入日(郵送の場合は投函日、企業に手渡しする場合は訪問する日付)
- 入社日
- 住所
- 氏名(署名)
- 捺印
内定承諾書の提出の流れとマナー
内定承諾書の提出期限は期限が明示されている場合は期限内に、もし記載がない場合はできれば1週間以内が望ましいです。
なお、提出前には、労働条件通知書を用いて労働条件の最終確認を行いましょう。
メールで提出する場合は、企業からの指示に従い、必要書類を添付して送信します。
郵送で提出する場合は、送付状を添えるのがマナーです。
封筒は原則A4サイズが折らずに入るものを選びます。白色の封筒を使用し、宛名や「内定承諾書在中」を忘れずに記載してください。
普通郵便でもかまいませんが、配達記録が残る特定記録郵便や簡易書留を選ぶと安心です。
内定承諾書の提出後の対応
内定承諾書を提出した後の辞退は、企業に迷惑や損害を与える可能性があるため、慎重に行う必要があります。内定承諾書提出後、労働契約が成立するため、辞退は契約違反となり得ます。
ただし、民法627条により、意思表示から2週間以内であれば契約解除が可能です。辞退する場合はできるかぎり早く伝え、相手方の立場や感情を考慮し、信頼関係を損なわないように心がけた対応が求められます。
辞退が発生した場合、企業は内定者に対して損害賠償を請求することが可能ですが、実際に請求するケースはまれです。内定承諾書提出後の辞退は、企業との信頼関係に影響を与えるため、内定者は慎重に判断する必要があります。
出典:民法 | e-Gov法令検索
内定承諾書が届かない・記載ミスをした場合の注意点
企業から内定承諾書が届かない場合は、まず企業の担当者に確認の連絡を入れましょう。
また、内定承諾書の記入ミスがあった場合、企業によっては内定取り消しの可能性もありますが、一般的には日付や住所の形式のミス程度では取り消しになる可能性は低いです。不安な場合は、記入ミスに気づいた段階で採用担当者に相談し、適切な対応を取ることが望ましいです。
内定承諾後に辞退は可能?どのくらいの確率?
ここでは、内定承諾後の辞退や、内定辞退がどれぐらいの確率で起こるのかについて解説していきます。
内定承諾書に法的拘束力はない!
内定承諾書には法的拘束力がなく、応募者が内定を辞退することは違法ではありません。
企業は内定承諾書を通じて応募者の入社意思を確認し、採用計画の進捗を把握することができます。しかし、応募者には内定を受けた後でも他の選択肢を検討する自由があり、最終的な入社決定に至るまでの時間を与えることが重要です。
企業側は内定承諾書を正式な書面として扱い、応募者の署名や捺印を得ることで、入社の意思を固めさせる効果が期待できますが、内定承諾書に法的な強制力はありません。応募者が辞退を決断した場合、企業はそれを尊重する必要があります。
企業は内定承諾書を用いて応募者とのコミュニケーションを図り、入社後のトラブルを防ぐためにも、労働条件や職務内容を明確に伝え、双方の認識の齟齬を避けることが求められます。
内定辞退の割合は?
内定の辞退は、調査によって異なるものの、一般的には高い割合で発生しています。株式会社リクルートの調査によると、2021年卒の内定辞退率は57.5%となっています。
出典:就職プロセス調査(2022年卒)「2021年9月1日時点内定状況」|株式会社リクルート 就職みらい研究所
求職者が辞退を選ぶ理由としては、他の企業からの内定、家庭の事情や心身の問題、進路の変更などが挙げられます。
このため企業側としては、内定承諾後の辞退割合を下げるために、スピーディな対応や適切なフォロー、社員との交流機会の提供が重要です。これらへの取り組みは、入社後のミスマッチを防ぎ、結果として採用コストの削減にもつながっていきます。
まとめ
内定承諾書は内定者が入社意思を示し、契約成立を確定する文書です。内定承諾書には契約の成立と条件確認が不可欠です。提出後の辞退については合法ですが、信頼関係構築のためには迅速な対応が必要であることに注意しましょう。また、内定承諾書を提出する際にはマナーに注意した上で、期限や書面の添付方法を確認し、入社手続きがスムーズに進むよう心がけましょう。
執筆者情報
キャリコンリンク合同会社 代表 瀧本 博史(転職コンサルタント・心理カウンセラー)キャリアの専門家として就職指導や職業訓練校、大学講師、ハローワークや公共機関等の相談員歴29年。心理カウンセラーとして心の問題もケアする。著書複数。NHK総合の就活ドラマも監修。取得資格は国家資格2級キャリアコンサルティング技能士、産業カウンセラー他
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