売れるPOPの作り方(11)幸せすぎて怖い-「デメリット」の安心感

最終更新日:2023年12月04日

売れるPOPの作り方(11)幸せすぎて怖い-「デメリット」の安心感
POP広告のキャッチーなコピーは、人の心をグッとつかんで足を止めさせる。故に「もの言わぬセールスマン」と言われていますが、いえいえ・・・とんでもない。時としてPOP広告は、「もの言うセールスマンよりもよほど雄弁」な時があります。

人の心が何にグッとくるのか?を知っているのと知らないのとでは、その雄弁さに大きな差がつきます。つまり「心理学」ですね。
あなたがPOPを作るのなら、そんな心理学を使いながら・・・ぜひ「もの言う(雄弁な)」POPを作っていきましょう!

今回のテーマは、「幸せ過ぎると人はどうなるでしょう?」という心理を考えたキャッチコピーです。
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「よいこと」づくしはかえって不安?-罰への欲求

さて、ここにひとつの商品があります(あなたが作った農作物だと思ってください)。

あなたが作った農作物

その商品は、
◎ 味はとても美味しくて!
◎ 安心・安全で身体にもよくて!
◎ お値段は他のお店よりもかなり安く!
◎ 形も色も素晴らしく!
◎ 栄養も満点!

だとします。あなたは自信を持って「これだけ素晴らしい商品(農作物)ができたので、ぜひ買ってください!」というPOPを作ります。それは間違っていないでしょう。ただ、間違いではないけれど、よい広告とはいえません。これではあまり売れないかもしれません。ハッキリ言うと、この広告は逆効果です。

なぜなら、次のような「人の気持ち」が働くからです。

あなたがもし、何もかも上手く物事が進み、よいことばかりが起こったときに、どのように思うでしょうか?幸せ続きのとき、「この調子で次もよい事が起こるはず・・・」と思うか、「こんなによいことが続くわけがない」と思うか。

ほとんどの人は「次はそんなに上手くいかないだろうな」と思ってしまいます。あなたもそうでしょう?
それは、人は無意識に「人生は良いことと悪いことはほぼ均しく起こる」と考えていて、あまりに非現実な(幸せ続きの)場面に出会うと「こんなはずではない」「これはウソだ」と思ってしまうのです。

よいこと続きの後に失敗やちょっとした運の悪さに出会うと「あ、やっぱりね」と、かえって安心します。

こういう心理を心理学では「罰への欲求」と言いますが、別に「罰」を欲しがっているのではなくて、人は無意識に「メリット」と「デメリット」のバランスを取ろうとするのです。

メリットとデメリット

3つのメリット、1つのデメリット

さきほどの広告には、「よいこと」ばかりが書かれています。しかも5つも!だから人は、自然にこの広告を警戒します。「そんなに上手い話って・・・ちょっと信用できないな」と、無意識に構えてしまうのです。

この「罰への欲求」はしっかりと覚えておかないと、つい「売りたい」「買って欲しい」という気持ちが強くなって、デメリットを忘れてしまうことになります。

ですから「売れるPOP作りのコツ」として、3つメリットをうたったら、1つはデメリットを書きましょう

それに基づいてコピーを作ると、さきほどの広告はこうなります。

◎ 味はとても美味しくて!
◎ 形も色も素晴らしく!
◎ 栄養も満点!
● でも、保存がきかないので、今日食べてください!

または

◎ 安心・安全で身体にもよくて!
◎ お値段は他のお店よりもとても安く!
◎ 栄養も満点!
● でも、形は不揃いです。ゴメンナサイ・・・

どうですか?
こう言われたほうが「なるほどね」と、安心するでしょう?(苦笑)

この「3つメリット、1つデメリット」の法則は、POPや商品広告はもちろんのこと、あなたのお店の紹介や、あなた自身の紹介の時にも応用できます。1つのデメリットが、あなたへの親近感に繋がります。このヒケツ、ぜひ覚えておいてくださいね!

執筆者情報

橘高総合広告研究所 代表 橘高唯史(中小企業診断士・フリーライター)
大手百貨店系通信販売カタログのディレクター業務に20年携わり、そこで培った「売れる理由」を体系化して2017年にコンサルタントとして独立。現在は公的機関の経営相談員やセミナー講師を務める一方、ライターとして執筆活動も行なっている。
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