売れるPOPの作り方(9)鶴の恩返し

最終更新日:2023年12月04日

売れるPOPの作り方(9)鶴の恩返し
POP広告で大事なのはキャッチコピー、つまり、人の心をグッと掴む(キャッチする)コトバです。人の心のちょっとしたクセや動きを理解すると、POPがもっと楽しく?作れます。

これまでも、いわゆる「心理学」をもとにキャッチコピーを作るテクニックをご紹介してきました。
そして今回は、ちょっと高度な・・・でも確実に効果のあるコピーを生み出すテクニックをご紹介しましょう!
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禁止されるとやりたくなる-カリギュラ効果

ここである実験のお話をご紹介します。アメリカのテレビ番組で、単純だけれど、興味深い実験がおこなわれました。それは・・・

「塀に穴を開け、“覗かないように!”と書いた貼り紙をして、通行人がどのような行動をとったのか?」という実験です。その行動結果を観察したのです。

はたして結果は?

カリギュラ効果

はい。あなたのご想像通り、なんと、96%の人が(つまりほとんどの人が)その穴を覗いたのです。“覗かないように!”と言われていたのに。

その気持ち、わかりますよね?(苦笑)

「絶対に箱を開けて中は見ないでください!」と言われた浦島太郎は、玉手箱を開けてしまいました。

「鶴の恩返し」でも、「はたを織っている間は絶対に中を覗かないでください」と言われたのに、おじいさんは部屋の戸を開けて中を見てしまいました。

このように、人は「○○○をやってはダメです!」「○○○は食べないでください!」「○○○は禁止です!」などと言われると逆にそれが気になって、禁止されていることをやってしまう――という性質があります。

禁止

これを心理学では「カリギュラ効果」と呼びます(日本で言うなら~鶴の恩返し効果~ですね)。

これはアメリカで1980年に公開された「カリギュラ」という映画の名前に由来します。この映画、残忍なローマ帝国の皇帝を描いたのですが、そのあまりにも暴力的で残虐的な内容のために、一部で公開が禁止されました。しかし逆にこの「公開禁止」ということが大きな話題となって、他の州にまで行って鑑賞する人が続出したのです。その後、上映が解禁されてどこででも観られるようになると、観客は減少したそうです。この現象が大きな評判を呼んだことから、この映画の名前がこの広告効果の名称になったのです。

では、人は何故これほど「~~してはいけない」に弱いのでしょうか?

それには、しっかりとした理由があります。そもそも人は原則として、「自分の行動や感情は誰にも指示されたくない!自分の意志で自分が自由に決めたい!」という欲求を持っています。つまり「あれをやりなさい!」とか「これをやめなさい!」なんてコトバには、基本的には従いたくないのです。

テレビを視る子ども

あなたもこんな経験ありませんか? たとえば子どもの頃、「さぁ、勉強しようかな・・・」と思っていた矢先にお母さんから「いつまでテレビを視ているの!さっさと勉強しなさい!」と言われたとたん、急にやる気がなくなって「勉強することを止めてテレビを見続けてしまった」という経験。
これも立派な「カリギュラ効果」が発動されたことになりますね。

カリギュラ効果を利用したキャッチコピー

この誰にでもある経験「心理学の効果」をPOP作りに利用しない手はありません!
あなたのPOPが、カリギュラ効果でどんなコピーになっていくのか?例をあげてみましょう!

【本当にトマトが好きな人以外は買わないでください!】
※大事に作ったトマトだから、本当にトマトが好きな人だけに買って欲しいからです

【食べたあとの美味しさは絶対に人に教えないで!】
※たくさん作ることが出来ないので、噂が広まって買いに来る人が増えても困るからです。

【ダイエット中の人にはおススメできません!】
※本当に美味しいので、ついつい食べ過ぎてしまうので、ダイエットが台無しになるためです。

【普通のセールで満足する人は買わないでください!】
※このセールは普通の安さではありません。普通の安さのセールで満足できる人は、それでは満足できない人にこのセールの商品を譲ってあげてください。

どうですか?

ここでちょっとしたコツがあります。それは「※」で書き添えた例のように「禁止している理由」をちょっとだけ添えておくこと。「あ、そうだったのね・・・」と、少し笑顔で終われることが大事です。カリギュラ効果を使ったコピーは、どうしてもお客様に「○○しないで!」という命令口調になります。そのために、効果以上に反感を持たれることだけは絶対に避けたいですからね。

「隠されたり、禁止されたりすると、かえって気になってしまう」カリギュラ効果。ちょっとやってみようかな?ちょっと作ってみようかな?という気になりましたか?それならぜひ今度はこの「カリギュラ効果」でPOPのコピーを考えてみてください!

ただし一つお願いがあります。

「このカリギュラ効果を疑う人は、絶対にこのカリギュラ効果でPOPを作らないでくださいね!」(笑)

執筆者情報

橘高総合広告研究所 代表 橘高唯史(中小企業診断士・フリーライター)
大手百貨店系通信販売カタログのディレクター業務に20年携わり、そこで培った「売れる理由」を体系化して2017年にコンサルタントとして独立。現在は公的機関の経営相談員やセミナー講師を務める一方、ライターとして執筆活動も行なっている。
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