売れるPOPの作り方(17)「色使い」のセオリー ~配色~

最終更新日:2023年12月04日

売れるPOPの作り方(17)「色使い」のセオリー ~配色~
私たちが目にするPOPや広告は、「文字」「写真」「イラスト」から成り立っています。その3つをどのように組み合わせて、どのようにアピールしたらよいのでしょうか?「それにはデザインとかセンスとかが必要なのでしょ?」と思っている人も多いのでは?

確かにそうかもしれません。でも大丈夫!この3つをつなぐ役割を果たしてくれる「優れもの」の特徴を知っていれば、あなたが伝えたいことを、上手く伝えることができます。
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「色の相性」で配色を考える

3つのものをつなぐ優れもの-それは「色」。誰もが目にしている「色」がその助っ人となります。

色(カラー)は不思議な存在で、見る人にいろいろなイメージを想起させ、人の心理に影響を与えます。
前回は「色の心理効果」についてご紹介しました。ただ、「赤にはこんな効果がありますよ」とか「青はこんな特徴があるのですよ」とか、「緑はこんな場合に使うと効果的ですね」などという、いわば単独の色のお話でした。

でも、色には文字どおり、"いろいろな"色があります。「どの色とどの色を使えばスッキリとしたPOPができるのだろう?」「この色を使ったら次はどの色を使えばいいのかな?」

悩みますよね?

色の相性

私たちの身の回りには、いろいろな「相性」が存在しています。たとえば「食べ物」もそうです。「蕎麦とわさび」「お肉とワイン」「スイーツと紅茶(コーヒー)」など。単独で食べても美味しいですが、相性の良いもの同士と一緒に食べるとお互いが引き立て合って、より一層美味しさが引き立ちます。

色にも食べ物と同様に「相性」があります。これを知っているのと知らないのとではPOPの仕上がりそのものに大きく影響します。
今回は「色の相性」について学んでいきましょう。

「色相環」による補色を使った配色

色相環(シキソウカン)というコトバを聞いたことがあるでしょうか?コトバは知らなくても、次のような絵(図)は見たことがあると思います。「虹」にみられる7つの色の並びをグルっと一回りさせたものです。これが色相環です。それぞれが影響しあう「相関」と「一周する」意味の「環」と、両方の意味を持っている「シキソウカン」。

色相環

実は色の相性を、私たちはこの色相環から知ることができるのです。片一方の色の反対側に位置する色(たとえば青色の反対側には黄色~橙の帯がありますよね)、これを「補色」と言って、文字通りお互いの色を補う(引き立てる)関係にあるのです。

例を見てみましょう。

補色の組み合わせー青と黄

補色の組み合わせ 青と黄

さきほどご紹介した「青」と「黄色」の補色の組み合わせです。よく見られる色の組み合わせです。クールですが元気でアクティブな感じもします。スウェーデンの国旗カラーですので、北欧的なイメージもあります。いずれにしても見ていて不自然な感じはありませんよね。
どちらをメインの色にして、どちらを差し色にするか?はケースバイケースで。
この配色、タイトル周りにも使いたいカラーです。

補色の組み合わせー緑と赤

補色の組み合わせ 緑と赤

これも反対側に位置している色同士の典型的な組み合わせです。前回の心理効果で説明したように、明快な「赤」は購買色として有効ですが、どこか「セール色」が強すぎて、ギラギラした感じになったり、安っぽくなったりする傾向があります。それをこの補色が上手くフォローして落ち着きを与えます。赤を使うときに使いたい色の本命ですね。

補色の組み合わせー黄緑と紫

色相環を知らなければ、この2つはなかなか組み合せにくいですね。でも、意外にフィットします。メインに紫(パープル)系というのはあまり使いませんので、緑(グリーン)系をメインにしながら、アピールしたいところに、さりげなくこの紫(パープル)系を使うとかなり効果的です。

このように色相環を知っていると何かと便利ではありますが、色の組み合わせは色相環だけで決めるものではありません。

「自然界の色」による配色

色にはそれぞれの特性、イメージがありますよね。春の色、夏の色、秋の色。どんな色を思い浮かべますか?その季節にふさわしい色を私たちが思い浮かべることができるのは、自然の世界で目にするその季節の風景が目に焼きついているから。つまり、自然界の色というのは人間にとってとても心地良い色たちなのです。

そんな自然界のカラーコーディネートを使うことも、色の相性を考えるときには有効です。

例えば春のPOPならこんな色の組み合わせ。

自然の色 春

春の花の色ですね。
そして冬のPOPなら、これ。

自然の色 冬

ポインセチア=クリスマスの色です。

ところで、この色の組み合わせはどこで見たことがあるのか、思い浮かべられますか?

自然の色 野菜

このパターンは野菜によく見られる組合せです。「ニンジン」を連想させる色ですね。パンプキン(かぼちゃ)も外側が緑で、中が橙(オレンジ)のイメージです。「みかん」も丸い橙の形にちょこっと緑が乗っている印象がありますよね。
単独ではなかなか使いにくい橙ですが、実はこのように自然界に溶け込んでいるのがこの色で、周りの差し色とうまく手を組めば「野菜=自然=温かみ」などのメッセージを書きたいときには主役として活躍します。

さて、今度はもう少し実際的な話として、色はどれだけ使えばよいのでしょうか?補色なら使っても効果的・・・なのでしょうか?

使う色はメイン・サブ・差し色の3色+万能色3色

ここで一つ、ヒケツをお教えします。あなたがもしPOPを作るとしたら、ぜひ守って欲しいヒケツです。

簡単に言ってしまうと・・・「色はあまり使わない」ということです。いろいろな色を使えば使うほど、あなたの言いたいことや、伝えたいことがその色の多さに負けて、打ち消されると思っていいでしょう。ですので、使う色は次の「3つ」と、特別な色「3つ」だけだと思って作ってみてください。その3+3の色を説明します。

メインカラー・サブカラー・差し色

青

1つのテーマを決めます。例えば「セール」、例えば「やさしさ」、例えば「天然素材」など。それに一番ふさわしいと思う色をメインにします。例えば今回は「青」をメインカラーにしてみましょう。

水色

メインの色が決まったら、その同系色の色や補色の周辺色はサブカラーに使えます。今回はサブカラーを同系色の水色にしてみます。
ただし、もし、補色の周辺色をサブカラーに使う場合は、次の「差し色」という3つめの色は使えません。補色に近い色は差し色と同じ役目を果たしていますので、もう一つの差し色を使うと、その色とケンカしてしまう恐れがあります。

橙

アクセントとして、差し色に補色の周辺色を使います。今回は橙を使ってみます。

これが、基本の3色の例です。
メインカラーとサブカラーは全体の雰囲気を作り、メインカラーはアイキャッチなど目立たせたい部分に使うとよいでしょう。

どの色にも合って、全体のバランスも崩れにくく、邪魔をしない「万能色」3色

黒グレー白

この他、「白」「黒」「グレー」は、色ですが色ではないと思ってもOKです。この3色はどの色にも合う万能選手であり、どの色も邪魔をしない優秀な選手です。ですから、差し色やベースの色に使っても大きくイメージが損なわれることはありません。特に「グレー」は使い方によっては非常に高級感と落ち着きがでますので、ぜひ使ってみてください。

色の世界は本当に奥が深いです。どのPOPにどの色を使えば正解なのか?は、誰にもわかりません。それはあなた自身がいろいろ試しながら、いろいろ悩みながら決めるべき世界です。

そのためには日ごろから「色」について興味を持っておきましょう!日頃の興味があなたの目や脳を「色」の世界に導いてくれます。「カクテルパーティー効果」のように。

道端の草花、夕方の空、そして石の色や水や木の色、食べ物や動物や魚の色などの自然界が作る色のコーディネートはもちろんのこと、普段は意識して見ない「街のポスターの色使い」や「雑誌の表紙の色使い」まで。どんな色と、どんな色で組み合わさっているのか?ちょっと意識するだけで、あなたのカラーコーディネートのセンスもどんどん磨かれていくでしょう。

執筆者情報

橘高総合広告研究所 代表 橘高唯史(中小企業診断士・フリーライター)
大手百貨店系通信販売カタログのディレクター業務に20年携わり、そこで培った「売れる理由」を体系化して2017年にコンサルタントとして独立。現在は公的機関の経営相談員やセミナー講師を務める一方、ライターとして執筆活動も行なっている。
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