あなたも受給資格者かも!まだ間に合う「一時支援金」完全解説ガイド

最終更新日:2023年12月05日

あなたも受給資格者かも!まだ間に合う「一時支援金」完全解説ガイド
私たちは今、新型コロナウィルスとの戦いの中で生活しています。2021年4月現在もまだそれは続いています。感染者の増加を防ぐために「緊急事態宣言」も発令されました。ただそれによって、多くのお店や会社の売上が低迷してしまいました。
営業時間に制限を設けられた飲食店、その飲食店さんに食材を販売している事業者さん、器具を作ったり販売したりしている事業者さんたち。それは緊急事態宣言が発令された地域だけでなく、そのお店に関係している人たちすべての人に当てはまります。

このように緊急事態宣言によって影響を受けている事業者さんは実は非常に多いのです。そのような方々を少しでもサポートしようという意図で設定されたのが「一時支援金」です。今回はこの一時支援金がどのような仕組みで、どんな人(事業者さん)がもらえるのか?を完全解説していきます。
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「一時支援金」とは?

緊急事態宣言によって時短営業の要請を受けた飲食店さんの売上減少、また飲食店さんと取引がある事業者さんの売上減少、そして飲食店に限らず、宣言による「外出の自粛」の影響を受けた事業者さんの売上減少。このように、宣言で影響を受けた多くの事業者さんに返済不要のお金が給付されることになりました。それがこの「一時支援金」です。もらえる金額は中小法人が最大で60万円、個人事業主の場合は最大30万円となっています。

「どんな人がもらえるの?」一時支援金の対象者について

では、いったいどんな事業者さんが給付金をもらえるのでしょうか?
ポイントは2つあります。まず1つめは、この緊急事態宣言に伴う飲食店の時短営業または外出自粛等の影響を受けていることを証明できる事業者さん、そして2つめは、今年の1月から3月のどれかひと月の売上が、前年もしくは前々年同月と比べて50%以上減少していること。この2つの条件を満たす事業者さんが、この一時支援金を受けることができます。

<一時支援金の対象者になる条件>
1)緊急事態宣言に伴う飲食店の時短営業または外出自粛等の影響を受けていること
2)今年(2021年)1月から3月のうち任意の月の売上が前年(もしくは前々年)同月と比べて50%以上減少していること

「いつまでに申請すればいいの?」一時支援金の対象者

受付申請期間は2021年3月8日から5月31日の間となります。昨年(2020年)実施された持続化給付金や、家賃支援金の申請期間と比べて、すごく短い申請受付期間となっていますので、「時間ができたら」とか「来週にやろう」と思って少し先送りしてしまうと、あっという間に締切日がやってきますので、注意してください。

「私の場合の給付額はいくら?」給付金の計算のしかた

では、具体的な給付額計算について例を見ながら確認していきましょう。
まず、青色申告している個人事業主さんを例に取ります。2019年、2020年、2021年で、下図のような売上高の推移があったとします。

青色申告している個人事業者の場合

今年2021年の2月には20万円まで売上が下がったという状況です。この事業者さん、2020年の2月は10万円、2019年の2月の売上は40万円でした。この場合、一昨年2019年の2月の売上と比較すると、今年の売上は50%以上減少しています。ですので、売上減少要件は満たしています。

この場合の給付額計算ですが、2019年の1月から3月までの合計売上高140万円から、今年の2月の売上高20万円に3を掛けた金額を引きます。すると80万円になりますが、個人事業主の上限額が30万円ですので、給付額は30万円となります。

(60万+40万+40万)-(20万×3)=80万>30万 ⇒30万円の給付

次に、白色申告をしている事業者さんです。下図のように、白色申告では月別売上高はわかりません。2019年の売上高は合計180万円です。2020年は合計360万円の売上高となっています。そして、今年2021年の2月の売上高は10万円まで落ちてしまっています。
この場合の計算方法ですが、2020年の月の平均売上高(360万円÷12)を出すと、30万円という金額になります。この30万円と今年の2月の売上高10万円を比較すると、50%以上減少しているので、この事業者さんも売上減少の要件資格を持っていることになります。

白色申告している個人事業者の場合

では、この場合の給付額はいくらになるのでしょうか?
白色申告者の場合は、2020年の平均売上高である30万円に3を掛けた金額(90万円)から、今年50%以上減少してしまった2月の売上高10万円に3を掛けた金額(30万円)を引きます。結果は60万円となりますが、個人事業主の場合は30万円が上限なので、最終的に給付金は30万円となります。

(30万×3)-(10万×3)=60万>30万 ⇒30万円の給付

ここでは個人事業主を例にご紹介しましたが、法人も同じ計算の考え方になります。ただし法人は上限が60万円になりますので、そこが違います。

では、この一時支援金の給付対象のポイントについてもう少し詳しくみていきましょう。

一時支援金の給付対象のポイント

具体的にどのような事業者が該当するのか、という点について、多くの方が勘違いされていたり知らなかったりして「自分たちは一時支援金とは関係ないから」と思われてしまっているところですので、しっかりと確認していきましょう。

業種や所在地は問いません

給付要件を満たす事業者であれば、業種そして所在地を問わず、給付対象となります。緊急事態宣言発令地域の飲食店と取引、または外出自粛の影響を受けた事業者さんが50%以上売上減少していれば、業種、所在地を問わずに給付対象となります。

緊急事態宣言が解除された地域も対象です

緊急事態宣言地域とは、栃木県、埼玉県、東京都、千葉県、神奈川県、岐阜県、愛知県、京都府、大阪府、兵庫県、福岡県が該当します。
なお、一時支援金に関しての「緊急事態宣言の発令地域」の定義では、一度発令された緊急事態宣言が解除された地域も含みます。2月末時点で一部地域の緊急事態宣言が解除されましたが、それによりこの一時支援金における宣言地域から外れるということにはなりません。

給付要件を満たさなければ対象外です

今度は逆に売上高が50%以上減少していて、宣言発令地域に所在する事業者であっても、飲食店との取引によるものや、外出自粛の影響による減少でなければ対象にはなりません。たとえば、売上減少の理由が自動車部品等の注文の減少などは対象外となってしまいます。
また、宣言地域外で、主に地元の顧客と取引している事業者の売上減少は給付対象となりません。

協力金の支給対象の飲食店は対象外です

地方公共団体から時短営業の要請を受けて協力金の支給対象となった飲食店も給付対象外です。協力金の支給対象となっているのであれば、協力金をもらってください、ということですね。

対象は店舗単位ではなく、事業者単位です

一時支援金は店舗単位ではなくて事業者単位です。飲食店の協力金に関しては、店舗ごとに支給されました。けれども、この一時支援金に関しては店舗単位ではなく、事業者単位となりますのでご注意ください。

飲食店時短営業の影響を受けた事業者とは

下の図を見てください。これは、飲食店時短営業の影響を受けている事業者のイメージです。

飲食店時短営業の影響を受けている事業者

一番左が、緊急事態宣言地域内の時短営業の要請を受けている飲食店さん、そしてそれらと取引のある右側、たとえば食品の加工、製造事業者さん、飲食関連の器具、備品の販売事業者さん、さらに川上にさかのぼって、流通関連事業者さん、さらに川上にさかのぼって、飲食品の生産者さん、飲食関連の器具・備品の生産者さん、こういったところまでが、宣言地域内外問わず「影響している事業者」として判断されます。

外出自粛の影響を受けた事業者

次は、外出自粛等の影響を受けている事業者さんのイメージです。宣言地域内では外出自粛をする人たちが当然出てきます。そういった人たちを対象に、たとえば外出の目的地まで移動サービスを提供する事業者さん、目的地で商品サービスを提供する事業者さん、外出に伴う宿泊サービスを提供する事業者さん、こういった方々が、この外出自粛の影響を受けている事業者さんというイメージですね。

外出自粛等の影響を受けている事業者

「影響を受けた事業者であることをどうやって証明するの?」保存書類について

上記で説明したような該当事業者であることを証明する書類、つまり「私は飲食店と取引があります。または外出自粛の影響を受けています。今回の一時支援金の対象者に該当します」といった書類は、申請時に提出する義務はありません。が、7年間それら書類を保存する義務があります。

一時支援金事務局からもし提出を要請されたら、その保存書類で証明をしなければならないという義務があります。どのような書類が必要なのか?については、「飲食店時短営業の影響を受ける事業者さんが保存すべき書類」「外出自粛の影響を受ける事業者さんが保存すべき書類」として、それぞれ事業者ごとに分類されて要領に記載されています。
※保存資料など最新の詳細資料は経済産業省「一時支援金」ページ内に掲載されています

保存書類についって、もし「自分がどういった書類を残せばいいのかわからない」ということであればお近くの商工会、商工会議所、各都道府県に設置している中小企業支援センターや、よろず支援拠点などの窓口の方にアドバイスを受けながら確認してください。

「こんな場合はどうなるの?」特例について

次に特例です。これまで説明したのは原則一般的な申請者用でした。ですが、いろいろと特殊なケースの事業者さんのために、特例といったものも用意されています。主な特例は以下の8つとなります。

1)2019年・2020年 新規開業特例
2)季節性収入特例
3)合併特例
4)連結納税特例
5)事業承継特例
6)罹災特例
7)法人成り特例
8)NPO法人・公益法人等特例

以前の持続化給付金の時にも同じように特例が設置されていました。その中で一番多く使われた特例は「新規開業特例」でしたので、これについて少しご説明しましょう。

2019年、2020年に開業した事業者さんは「今年の1月と比べる売上高がわかりません。その時にはまだ開業していませんでしたから」となる場合もあるはずです。そのようなときでも、ある特定のルールにしたがって計算をした結果、要件に該当するようであれば「一時支援金の対象となりますよ」というのがこの特例です。多くの方々に該当すると思いますので、諦めずにチェックしてみてください。

このように、自分のお店(会社)は少し特殊な事情があるといった方々は、「じゃ、私は申請者じゃないんだ」と、ご自分で判断せずに、特例制度に該当するかどうかを一度確認してみてください。

「申請はどうすればいいの?」一時支援金申請の流れ

次に、一時支援金の申請手続き、全体フローを見ていきましょう。今回登場人物は3人います。まず「一時支援金の事務局」、そして「登録確認機関」、最後に「申請者」、つまり事業者の皆さんです。

持続化給付金の頃は、この2番目の「登録確認機関」というものはありませんでした。
皆さんもご存知の通り、昨年の持続化給付金では不正受給というものが多数発生してしまいました。そんな背景もあるのでしょう、この一時支援金に関しては申請前に「登録確認機関にちゃんと事前の確認をしてもらってください」というステップが加えられています。

今回は「事業をしっかり実施していますか?」とか「そもそも一時支援金の給付対象等を正しく理解していますか?」という「不正申請者ではないですよね?」ということを確認した上で申請をしてもらうというように、ここがワンステップ増えています。この点が一時支援金の手続きの大きな特徴となっています。

その上で「全体の流れ」を次の図表に沿って見ていきましょう。

一時支援金申請の流れ

まず、一時支援金の事務局に対して、登録確認機関、および事業者の皆さん(申請者)は、アカウントの申請と登録を進めます。その後、お近くの登録確認機関に、(1)事前確認の予約をします。(2)予約が受付けられたのち、(3)事前確認をTV会議であったり、対面であったり、電話などの形を経由して実施してもらいます。確認をしてもらったら皆さんは、ウェブ上から申請マイページを通じて申請できるようになります。

その後、(4)必要項目の入力、また添付書類の添付をした上で、ウェブのシステムを通じて申請、申請した内容が(5)審査され、不備がなければ、この一時支援金が皆さんの元に(6)振り込まれる、という流れです。

ここで注意していただきたいのは、登録確認機関が確認の作業を超えて、申請希望者の「月の売上が50%減少しているかどうか?」など、給付対象であるかどうかの判断まではおこないません。ですので、この事前確認が終わったからといって、それがそのまま「自分の店は給付対象になった」と認められたというわけではありませんので、ご注意ください。

あくまでこの事前確認というものは、「不正受給の疑いがない一般の申請者であるかどうか」の確認レベルだと思っておいてください。

「登録確認機関」を探す時のポイント〜あなたのことを知っている「登録確認機関」で〜

登録確認機関をどこに決めて予約するのか?については、「自分の事業を昔から知ってくれている」または「情報共有をしている」という登録確認機関を探して、そこに確認をしてもらうのが一番スムーズに進められると思います。以前から取引や関係のある登録確認機関さんであれば、このチェックをする際確認ステップがかなり簡略化されるはずですから。

もし皆さんの所属団体、例えば商工会、商工会議所の会員さんが登録確認機関であればそこに、または取引銀行などをお持ちなら、そういった金融機関さん、また個人でお取引している税理士の先生がそうであればそこに確認してもらいましょう。

もし「なかなかそういった確認してもらう機関が見つからないんだけど」という方は、この一時支援金の窓口に相談していただけるとよいかと思います。

なお、今回の一時支援金も、この持続化給付金や家賃支援給付金等と同様に、電子申請のみになっています。オンラインの電子申請ができない方は、サポート会場が用意される予定ですので、そちらの方もご利用ください。

「申請に必要なものは?何を準備すればいいの?」必要書類について

申請に必要な書類について説明しましょう。必要な書類は次の7つです。

実は1から6までは昨年実施された「持続化給付金」とほとんど一緒です。そして7だけがちょっと新しい申請書という形なので、持続化給付金を申請された方であるならスムーズに理解していただけると思います。

1)確定申告書類(収受印がある必要な期間の売上が確認できる確定申告書)
2)売上台帳(2021年の対象月の月間事業収入がわかる売上台帳・様式は自由です)
3)宣誓・同意書「一時支援金」ウェブサイトからダウンロードできます)
4)本人確認書類(個人事業主の場合)
5)履歴事項全部証明書(法人の場合)
6)通帳の控え(表紙と見開きのコピー)
7)その他事務局が必要と認める書類(例=取引先情報一覧など ウェブサイトからダウンロードできます)

まとめ

4月に入ると新年度が始まります。何かと忙しくなる時期です。ですが、この4月は、一時支援金の対象となる今年の1月から3月までの売上が確定する時期でもあります。この記事を読まれている事業者さんで、「え?もしかしたらこの支援金、対象者になってるかも」と思われたのなら、ぜひお近くの商工会や専門家に確認してみてください。

「一時支援金は、店舗単位でないから焼石に水ですよ」という声を聞くこともありますが、それでも、60万円や、30万円の「純利益」が増えるのと同じ効果があるはずです。
ぜひ一度、この支援金を活用して、少しでも「コロナに立ち向かう」原資としてください!

◎一時支援金 問い合わせ先
一時支援金事務局ホームページ
・一時支援金事務局 相談窓口
【申請者専用】TEL:0120-211-240 TEL:03-6629-0479
(通話料金がかかります)

※今回の記事は2021(令和3)年4月1日現在の情報を元に作成しています。今後の情報の更新などにご注意ください。

執筆者情報

橘高総合広告研究所 代表 橘高唯史(中小企業診断士・フリーライター)
大手百貨店系通信販売カタログのディレクター業務に20年携わり、そこで培った「売れる理由」を体系化して2017年にコンサルタントとして独立。現在は公的機関の経営相談員やセミナー講師を務める一方、ライターとして執筆活動も行なっている。
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