いつ起こるかわからない自然災害、会社がすべき防災対策とは?

最終更新日:2019年05月21日

いつ起こるかわからない自然災害、会社がすべき防災対策とは?
忘れられない、そして忘れてはいけない自然災害といえば、やはり2011年の東日本大震災です。マグニチュード9.0は、日本の観測史上最大規模の地震でした。その後も熊本や北海道で地震が起こり、四国や近畿地方では台風により、甚大な被害を受けました。
このように、日本は自然災害の多い国です。特に地震などは、いつ起こるかわからない災害です。発生の時間帯によっては、従業員は、帰宅できず会社で長い時間を過ごす場合も考えられます。企業は従業員のためにも、また社会的責任においても防災対策が必要です。そこで今回は、企業が自然災害に備えておくべき対応をご紹介します。
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自然災害に備えて会社がすべきことは?

世界地図を見れば、広大な面積を持つ大陸が大きな割合を占めていることがわかります。日本の面積は、この陸地のなかでわずか0.28%しかありません。しかしながら、全世界で起こっているマグニチュード6以上の地震のうち20.5%は日本で起こっているのです。また、全世界の活火山の7%が日本にあります。これに加えて、温暖化の影響か、異常気象による集中豪雨や台風の大型化による被害も甚大なものになっています。こうした条件のもと、全世界が災害で受けた被害金額の実に11.9%が日本の被害金額です。
日本は、世界の中でも自然災害による被害が大きな国なのです。つまり、ありとあらゆる自然災害に備えておかなければならないということです。それは、個々の家庭はもちろん、会社においても同様です。

従業員を守るために社内の安全性を確認する

災害は、いつ起こるかわかりませんし、災害の状況によっては社内(事業所内)での待機が必要になる場合もあります。

たとえば、台風や集中豪雨など、ある程度予測がつく災害に関しては、天気予報などを確認しつつ、早めに判断し、朝の出勤を控えたり、早めの帰宅を促したり、といった対策をとることで、従業員の安全を守ることができます。
しかし、地震や津波、台風の場合なら急な進路変更など、予測がつかないことも少なくありません。そういった場合も含めて備え、まず事業所内で安全性を確保することが必要になります。

●事業所内の安全を確保する

<建物を地震による倒壊から守るには>
・事業所が建つ土地の地盤を確認する
・建物の耐震診断をおこない、危険箇所を点検する
<建物内の安全性を高めるには>
・火災報知器の有無を確認し、なければ設置する
・スプリンクラーが備えられているか確認し、ない場合はその基準に応じた本数の消火器を用意する
・窓ガラス、壁、看板、塀などの安全性を確認し、問題箇所は補強工事や飛散防止対策などをおこなう
・事務機器、OA機器などの転倒防止対策をおこなう
<オフィス内の安全性を高めるには>
・消火器を設置基準に合わせて用意する
・出入口など避難路を確保するために付近に物を置かない
・パーテーションはコの字、H型に組み合わせると強度が高まる
・書類棚などの中身は、重いものを下に置き、重心を下げる工夫をしておく
・机の上にあるOA機器は、移動したり、落下したりしないよう固定する
・机の引き出しなどが飛び出さないようストッパーなどを備える
・書類棚は上部を固定する
・二段式家具は上部を連結しておく
・ガラスには飛散防止フィルムを貼っておく
・窓ガラスを破損しないようそばにものを置かない
・給湯室の電子レンジなどは落ちないように台も含めて固定する
・冷蔵庫を壁に固定する
<避難経路を確保するには>
・廊下や非常用階段の障害物はなくす
・エレベーターなどの耐震対策をおこなう、万が一の場合の救出対策を確認しておく
<事業を継続するために生産設備を守るには>
・コンピューターなど高度情報機器類については、浸水の影響のない場所に設置する、遠隔地にデータをバックアップしておくなどの安全対策をおこなう
・災害発生時に、生産設備の安全点検や復旧作業がしやすいよう手順作成とともに配置を工夫したり、耐震装置を取り付けるなどの防護対策を進める
・薬品などの危険物の転倒防止措置をおこなう

最近の災害は、常に想定外といわれる規模のものが多発していますので、準備をしたからといって、絶対に安全です、というのは難しいところです。しかし、上記の項目を一つずつ点検・実施し、少しでも事業所内の安全性を高めておくことは防災として必要なことといえるでしょう。

従業員のための非常用物資を用意する

災害時に初期消火活動や救出救護活動を行うことがあります。そのためには、必要な機材をいつでも使える状態で準備しておくと同時に、保管場所や使い方などを従業員全員が知っている必要があります。

●一般的な事業をおこなっている事業所で用意しておきたい防災資機材
・情報伝達用:メガホン、簡易無線機
・初期消火用:消火器、可搬ポンプ、バケツ等
・救助用:バール、つるはし、ジャッキ等
・救護用:担架、救急セット
・避難生活用:ビニールシート、照明器具、発動発電機等
・炊き出し用品:移動式炊飯器、鍋等

また、食料・飲料・生活必需品などは、3日分を人数分用意するのが望ましい備えです。

●非常用物資例
・飲料水:3日分(1人1日3リットルが目安)
・非常食:3日分の食料(ご飯(アルファ米など)、ビスケット、板チョコ、乾パンなど)
・生活用品:トイレットペーパー、ティッシュペーパー、ウェットティッシュ、ライター・マッチ、非常用ライト、カセットコンロ など
・防寒用品:毛布、防寒シート(サバイバルシート)、カイロ など

※飲料水とは別に、トイレを流したりするための生活用水も必要。日頃から、水道水を入れたポリタンクを用意するなど備えておく。



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災害用備蓄品リスト(家庭用)

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作成したら、定期的にチェックしましょう。

従業員の防災意識を高めるために避難訓練を実施する

災害が起きたときは、誰もがパニックに陥りやすいものです。冷静を心がけ、組織だって行動がとれるようにするには、日頃から実践的な防災訓練をおこなって、万が一に備えておくことが大切です。また、一人ひとりが役割を自覚しておくことで組織として適切な行動ができたり、無責任な行動をとることが避けられます。
日本全国どこでも、絶対に安全な場所はありません。防災意識を持続させるためにも、1年間に何回か防災訓練を実施するようにしましょう。

地域との協力関係も重要

会社も地域の一員です。災害が起きたときには、火災の拡大防止、負傷者の救出・救護などを協力しておこなったり、リーダーシップをとって動くこともあるかもしれません。避難場所を提供することもあるでしょう。会社として、被災地域に対する貢献策を事前に検討しておくことも重要です。
また、災害が起きたら地域住民との協力は不可欠になります。日頃から自治会・町内会など地域の住民組織や自主防災組織などとコンタクトをとり、訓練を一緒におこなうなど、地域との交流を深めておくこともいざというときに有効です。

まとめ

自然災害が起きたときに、会社に従業員や顧客を守る法律的な責任は明確にはありません。しかし、最高裁判所が「安全配慮義務」を認めた判例があるほか、東日本大震災の津波による被害では、企業の責任が問われる裁判も起きています。道義的な責任とともに、社会的にも責任を負うことが求められているのです。

自然災害はいつ起こるかわかりません。しかし、建物の備え、設備的な備え、そして心の備えは、一朝一夕でできるものではありません。まずは災害大国であることを自覚し、防災対策を万全にしていきましょう。

次回は、災害が起きたときの事業継続計画(BCP)についてご紹介します。

■参考サイト
一般財団法人 国土技術研究センター



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